26話:魔王城へ帰る道で、お母様に報告
26話目です
遅くなりましたが投稿します
人魚の国で1日を過ごした。
ヴァレリア様のレティシアさんは、すぐに医務室へ運ばれ、優秀な治癒師達による治療を受けることになった。
幸い、命に関わるほどではなかったらしい。
暫く人魚の国で療養すれば、少しずつ体力も戻っていくとのことだった。
海莉ちゃんも、ヴァレリア様やロレッタちゃんに囲まれ、少しずつ緊張がほぐれていったようだった。
「また来てね、美桜ちゃん!」
帰る時間になり、ロレッタちゃんが転移門の前で手を振ってくれる。
「はい!また遊びます!」
「ルミちゃんもね!」
「うむ。また来るのじゃ!」
ルミナちゃんも手を振り返した。
私は馬車に乗り込み、隣にはルミちゃんが座る。
その向かい側には、護衛を務めてくれた魔族達が座っていた。
馬車がゆっくりと動き出す。
海中都市の美しい景色が、少しずつ遠さがって言った。
「……なんだか、あっという間でしたね」
私は窓の外を眺めながら呟いた。
「4日しか滞在しておらぬのじゃ」
ルミナちゃんが答える。
「でも、ヴァレリア様のレティシアさんと再会できてよかったです」
「うむ。レティシアさんも、海莉も、これからは安心して暮らせるじゃろう」
護衛の1人が、深く頷いた。
「女王陛下も、とても喜んでおられましたな」
「最初は驚いておられましたが、最後には妹君をしっかりと抱きしめておられました」
「家族の再会というものは、良いのです」
魔族の護衛たちが、それぞれ感想を口にする。
私はその話を聞いながら、胸が温かくなった。
(本当に、会えて良かったなぁ…)
暫くして、馬車は転移門のある場所へ到着した。
私達は門をくぐり、魔王城へ入るとーー。
「お帰りなさい〜」
出迎えてくれたのは、ルミナちゃんのお母様であるロザリアさんだった。
優しい笑顔を浮かべているが、私達の顔を見ると、少しだけ心配そうな表情になる。
「ヴァレリアがいる国では、何があったの?」
私達は馬車から降りると、すぐに頭を下げた。
「はい。実は、ご報告したいことがあります」
「まぁ〜。何かあったのね〜」
「はい……凄い出来事がありまして」
ルミナちゃんが隣から口を挟む。
「母上、聞いて驚くのじゃ」
「ルミナ?」
「人魚のヴァレリアの妹レティシアさんを見つけたのじゃ!」
ロザリアさんの目が、大きく見開かれた。
「まぁ〜!」
私は急いで説明を続けた。
「帰り道で、森の奥にある古い家を見つけたんです。そこに、鱗のある海莉ちゃんと、病気で寝込んでいるレティシアさんが暮らしていました」
「それが、女王陛下の妹君だったのです」
護衛の魔族が捕捉する。
ロザリアさんは胸元に手を当てた。
「まぁ〜。それではヴァレリア〜」
「はい。無事に再会出来ました」
私は頷いた。
「最初は信じられないと言うご様子でしたけれど、レティシアさんが【久しぶり、お姉ちゃん】と呼びかけて」
「…それは、どれほど嬉しかった事でしょう」
ロザリアさんの表情が、柔らかくなる。
ルミナちゃんも嬉しそうに続けた。
「ヴァレリアはレティシアさんを抱きしめておったのじゃ。海莉にも優しく接していたのじゃ」
「海莉ちゃんも最初はレティシアの故郷でもある人魚の国へ行くことを怖がっていました」
私は海莉ちゃんの事を思い出しながら話した。
「人魚と人間の混血だから、嫌がれると思っていたみたいで…。でもヴァレリア様は、【貴方は大切な姪です】って言ってくれました」
ロザリアさんは静かに微笑んだ。
「これは、本当に良かったわ〜」
「ヴァレリア様の妹レティシアさんは、今は人魚の国で療養しています。海莉ちゃんも、ロレッタちゃんやヴァレリア様と一緒に過ごすことになりました」
「長い間離れていた家族が、ようやく一緒に暮らせるのですね」
「はい!」
私は大きく頷いた。
すると、ロザリアさんが私の方へ近づいて来た。
「美桜さん」
「はい?」
「貴方が見つけてくださったのね」
「えっ、いえ、私はただ……気になって追いかけただけで…」
「それでも、貴方が声をかけなければ、再会はもっと先になっていたかもしれません」
ロザリアさんは優しく私の手を取った。
「ありがとう」
「そ、そんな…!」
私は慌てて首を横に振る。
「私は、困っている人を放っておけなかっただけです。それに、ルミナちゃんや魔族の護衛の皆さんも協力してくれましたし」
「うむ。妾も頑張ったのじゃ」
ルミナちゃんが胸を張る。
「はいはい。ルミナちゃんとても頑張りましたね」
私が頭を撫でると、ルミナちゃんは少し頬を赤くした。
「こ、子供扱いするではないのじゃ」
ロザリアさんは、そのやり取りを楽しそうに笑った。
「フフっ。皆さん、お疲れでしょう。今日はゆっくり休んでくださいね」
「ありがとうございます」
私は深くお辞儀をした。
魔王城へ帰ってきた安心感と、人魚の国で起きた出来事の余韻が、胸の中に残っている。
(異世界に来てから、いろんな事が起きているなぁ〜」
ブラック企業で働いていた頃には、こんな経験は絶対に出来なかった。
私は馬車を振り返り、静かに微笑んだ。
(来てよかった。人魚の国へ行って、本当に良かったな〜)
作者コメント
見てくださりありがとうございます
次は27話です




