24話:人魚の国へ、再び
24話です
人魚の姉妹が再会するシーンです
それでは、どうぞ
転移門の前まで、馬車が進むと、魔族の護衛達が周囲を確認し、ゆっくりと門へ入っていった。
青白い光が馬車全体を包み込む。
次の瞬間ーー。
私達は再び美しい海中都市へと到着していた。
透明な結界の向こうには、色とりどりの珊瑚や、光を放つ魚達が泳いでいる。
以前来たときと変わらない、幻想的な景色だ。
すると、転移門の近くから元気な声が聞こえてきた。
「また来てくれた〜〜!」
人魚の少女ーー人魚の国のお姫様であるロレッタちゃんが、こちらへ駆け寄ってくる。
私は馬車から降りると、笑顔で挨拶した。
「ロレッタちゃん、2日ぶりです!」
「美桜ちゃん、また来てくれた!ルミちゃんも!」
ロレッタちゃんは嬉しそうに私の手を握り、それからルミナちゃんの方へと飛びついた。
「急にどうしたの?また遊びに来てくれたんの?」
「それなのじゃが……」
ルミナちゃんは少し真剣な表情になった。
私は、馬車の中にいるレティシアさんと海莉ちゃんを見ながら説明する。
「実は、帰り道でこの親子にであったんです」
「親子?」
ロレッタちゃんが馬車の中を覗き込む。
そこには、横になっている人魚の女性と、隣で心配そうに座っている少女がいた。
「この女性は、ロレッタちゃんのお母さんの妹のレティシアさんなんです」
「え……?」
ロレッタちゃんの目が大きく見開かれる。
「ママの……妹?」
「はい。森の奥で暮らしていたんですが、体調を崩していて……。それで、ヴァレリア様に会ってもらおうと思って連れてきました」
ルミナちゃんも頷く。
「レティシアさんは、長い間行方が分からなくなっていたヴァレリアの妹なのじゃ」
ロレッタちゃんはしばらく言葉を失っていた。
やがて、レティシアさんの顔をじっと見つめる。
「本当に…お母様の妹なの?」
レティシアさんは穏やかに微笑んだ。
「ええ。貴方が生まれる前にはもう私はいなかったもの」
「じゃあ……あ母様がずっと探してきた人が帰ってきたってこと?」
ロレッタちゃんの表情が、パッと明るくなった。
「すぐにお母様に知らせなきゃ!」
「待つのじゃまずは落ち着いて、ヴァレリアのいる部屋に案内するのじゃ」
ルミナちゃんがそう言うと、ロレッタちゃんはコクコクと頷いた。
「うん!こっちだよ!」
魔族の護衛達はレティシアさんを乗せた馬車を慎重に動かし、海莉ちゃんもその隣を歩く。
私は海莉ちゃんの側に寄り添いながら声をかけた。
「大丈夫。ヴァレリア様はきっと、貴方達を歓迎してくれますよ」
「……本当に?」
海莉ちゃんは不安そうに私を見上げた。
「うん。ヴァレリア様はずっとレティシアさんの事を心配していたんです。恐るためじゃなくて、会いたかったんだと思います」
海莉ちゃんは少しだけ表情を和らげた。
「……そうだといいな」
「きっとそうですよ」
ロレッタちゃんは先頭を歩きながら、何度もこちらを振り返る。
「お母様、びっくりするだろうなぁ〜!」
「かなり驚くと思うよ」
私はそう答えながら、胸がドキドキしてくるのを感じていた。
(ついに再会するんだ……。長い間離れていた姉妹が…)
王宮へ続く大きな道を進むと、真珠で飾られた門が見えてきた。
その先には、以前訪れたヴァレリア様の部屋がある。
ロレッタちゃんが扉の前で立ち止まり、振り返った。
「お母様、今この中にいるよ」
ルミナちゃんがレティシアさんを見る。
「準備は良いのじゃな?」
レティシアさんはゆっくりと頷いた。
「えぇ……。少し怖いけれど、会いたいわ」
海莉ちゃんは母親の手をギュッと握る。
私はその様子を見て、静かに息を吸った。
そして、ロレッタちゃんが扉を開く。
「お母様!大変!合わせたい人がいるの!」
部屋の奥にいたヴァレリア様の視線が、馬車から降ろされたレティシアさんへと向けられる。
ヴァレリア様の表情がゆっくりと変わっていった。
「…まさか」
レティシアさんは、懐かしそうに微笑む。
「久しぶりね、お姉ちゃん」
部屋の中に、長い年月を越えた再会の言葉が響いた。
作者コメント
見てくださりありがとうございます
見てくれただけ書く気力が湧きます




