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ブラック企業で過労死した私、召喚された先で魔族の少女に癒されています。  作者: 宝妖夜るあ


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22/36

22話:再会の知らない娘

22話です

私は目の前の女性を見つめたまま、暫く言葉が出なかった。


人魚の国の女王ヴァレリア様が、長い間探していた妹レティシアさん。


その人が今、私の目の前にいる。


「……本当に、ヴァレリア様の妹レティシアさんなんですか?」


レティシアさんは小さく頷いた。


「えぇ。私は、あの国を出た人魚です」


ルミナちゃんも驚いた顔をしていた。


「まさか……本当に生きておったのじゃな」


「貴方は?……」


「妾は魔王城から来た者じゃ。母上と人魚の国のヴァレリアとは知り合いなのじゃ」


レティシアさんは少しだけ目を見聞いた。


「そう……。姉は、今も女王を続けているのね…」


「はい」


私はすぐ答えた。


「ヴァレリア様は、ずっと貴方の事を心配していました」


「……そう」


「生きているのか、亡くなっているのか分からないって」


レティシアさんは静かに目を閉じた。


「そうでしょうね……。何も知らせずに出ていったのですから」


「ヴァレリア様は怒っていません」


私が言うと、レティシアさんは少し驚いたように顔を上げた。


「……怒っていないのですか?」


「はい。むしろ、謝りたいと言っていました」


「え?」


「レティシアさんの気持ちを理解出来なかったこと。自由を奪おうとした事。そして、最後はにきつい言葉を言ってしまった事を」


レティシアさんの瞳が揺れた。


「姉が…そんな事を」


「はい」


レティシアさんは暫く黙り込んだ。


海莉が不安そうに母親の手を握る。


「ママ……」


「大丈夫よ」


レティシアさんは海莉(かいり)の手を優しく返した。


「私は、姉を恨んでいた訳ではないの。ただ、あの頃は自分の人生を自分で選びたかったの」


「……」


「人間の世界へ行けば、きっと大変な事があると分かっていました。それでも、私は行きたかった。」


レティシアさんは窓の外を見た。


「私は、あの人を愛していましたから」


「パパは?」


海莉が小さな声で尋ねた。


レティシアさんは少しだけ悲しそうに笑った。


「貴方のお父さんは、優しい人だったわ」


「今は…?」


「もう、ずっと前に亡くなったの」


海莉は黙って母親の手を握り直した。


「だから、私達は2人で暮らしてきたの」


「……そうだったんですね」


私は胸が痛くなった。


海莉は人間と人魚との間に生まれた事で、どこにも居場所がないと感じている。


レティシアさんは病気になり、人魚の国に戻ることも出来ずにいる。


けれど、ヴァレリア様は今もレティシアさんを待っている。


「ヴァレリア様は、貴方に会いたいと思っています」


「……私も、姉に会いたい」


レティシアさんの声が震えた。


「本当は、ずっと前から会いたかった…」


「なら、会いに行くのじゃ」


ルミナちゃんが静かに言った。


レティシアさんはルミナちゃんを見る。


「でも、娘が…」


「海莉も一緒に行けばよいのじゃ」


ルミナちゃんは海莉ちゃんを見た。


「ヴァレリアはきっとお主達を拒ぬのじゃ」


「でも、私の姿を見たら…」


海莉ちゃんは鱗のある腕を隠した。


私はその手をそっと見つめた。


「大丈夫です」


「…本当に?」


「はい。ヴァレリア様は、種族や姿だけで人を判断する方ではありません」


私は少し笑った。


「それに、貴方のお母さんはヴァレリア様の妹さんです。貴方は、ヴァレリア様にとって大切な姪っ子になるんですよ」


海莉ちゃんは目を見開いた。


「…私が?」


「はい」


レティシアさんは海莉ちゃんを見つめた。


そして、ゆっくりと口を開いた。


「……もう1度だけ、姉に会ってみようかしら」


「きっと喜びますよ」


私は力強く頷いた。


レティシアさんは窓の外を見た。


森の向こうには、人魚の国へ続く道がある。


長い間、離れていた姉妹。


その再会が、今、始まろうとしていた。


「美桜」


ルミナちゃんが私の隣に立った。


「どうするのじゃ?」


「決まっています」


私はバッグからギュッと握った。


「この親子を、人魚の国へ連れて帰ります」


海莉ちゃんは不安そうに私を見た。


けれど、その目にはほんの少しだけ、希望の光が浮かんでいた。


作者コメント

見てくださりありかとうございます

見てくれただけでも書く気力が湧きます!


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