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ブラック企業で過労死した私、召喚された先で魔族の少女に癒されています。  作者: 宝妖夜るあ


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2話:異世界で推し活、始めました。

作者から一言

2話目を見てくださりありがとうごさいます


魔王城の中に用意された部屋は、私が想像していた以上に広がった。


天井は高く、壁には美しい装飾が施されている。


大きな窓の向こうには、夜の庭園が広がっていた。


月明かりに照らされた噴水。


風に揺れる黒い花。


遠くには、城を囲む森の木々が見える。


「…ここ、私が使っていいんですか?」


「そうじゃあ」


ルミナは当然のように答えた。


「ベッドも机も、衣服を入れる場所もある。必要なものがあれば、城の者に言えば良い」


「すご…」


部屋の中央には、大きなベッドが置かれていた。


白いシーツはふかふかで、枕も柔らかそうだった。


私は恐る恐るベッドに腰を下ろした。


ぽすん、と体が沈む。


「……」


「どうしたのじゃ?美桜(みお)」


「……最高」


「またそれか…」


私はベッドに倒れ込んだ。


体全体が、柔らかな布に包まれる。


今まで使っていた安い布団とは、比べものにならない。


(こんなベッドで毎日眠れるの……?)


ルミナは少し得意そうに胸を張った。


「魔王城の客室じゃからな。寝心地には自信があるのじゃ」


「ありがとうございます。ルミナちゃん」


「だから、ちゃん付けは…」


ルミナちゃんが何か言いかけたが、私はもう目を閉じていた。


限界まで疲れていた。



体がベッドに沈んだ瞬間、意識が遠のいていく。


最後に見えたのは、ベッドの横でこちらを見ているルミナちゃんの姿だった。


***


翌朝。


窓から差し込む柔らかな光で目を覚めた。


「……朝?」


私はゆっくりと体を起こした。


窓の外では、小鳥のような生き物が枝に止まって鳴いている。


空は淡い青色で、雲がゆっくりと流れていた。


遠くからは、城の中を行き交う人々の声が聞こえる。


私はしばらく、ぼんやりと天井を見つめた。


(………よく寝た)


こんなに深く眠ったのは、いつ以来だろう。


目覚まし時計に、起こされることもない。


上司からの電話もない。


仕事の夢を見なかった。


私はベッドの上で大きく伸びをした。


「……幸せ」


その時、部屋の扉が開いた。


「起きたか、美桜」


入ってきたのはルミナちゃんだった。


朝の光を背にしたルミナちゃんは、昨日と同じように可愛らしいドレスを着ていた。


小さな角。


ふわりとした髪。


少し眠そうな目。


「……」


私は固まった。


「なんじゃ?何か変か?」


「……可愛い」


「またか!?」


「朝から可愛い…」


「何を言っておるのじゃ!」


ルミナちゃんは顔を赤くして、プイッと横を向いた。


(待って。朝から推しがいる)


私はベッドの上で、心の中で叫んだ。


(しかも角と翼がある魔族の少女。可愛すぎる)


「朝食の時間じゃ。食堂へ行くぞ」


「はい!」


私はすぐにベッドから降りた。


会社に行く時とは、動きの速さが全く違う。


朝食が楽しみだからではない。


ルミナちゃんと一緒にいられるからだ。


食堂へ向かう廊下は、長く広かった。


壁には大きな絵画が飾られ、床には赤い絨毯が敷かれている。


窓の外には、魔王城の庭園が見えた。


黒い薔薇。


銀色の噴水。


見たことのない青い鳥。


全てが幻想的だった。


「……すごい」


「何がじゃ?」


「全部です。景色も、お城も、ルミナちゃんも」


「最後のは余計じゃ!」


ルミナちゃんはそう言いながらも、少し嬉しそうだった。


食堂に入ると、長いテーブルの上に朝食が並んでいた。


焼き立てのパン。


色鮮やかな果物。


温かいスープ。


卵料理。


香ばしい匂いが、部屋いっぱいに広がっている。


「……こんな朝食、毎日食べていいんですか?」


「当然じゃ」


「前の世界では、朝食はパン1枚か、何も食べない日もあったのに……」


「美桜の世界は、本当に大変だったのじゃな」


「はい…」


私はスープを一口飲んだ。


優しい味が、疲れた体に染み込んでいく。


「…美味しい」


思わず声が漏れる。


ルミナちゃんは満足そうに頷いた。


「そうであろう」


私は朝食を食べながら、ルミナちゃんをチラチラと見た。


パンを食べる姿。


スープを飲む姿。


少し頬を膨らませる姿。


全部が可愛い。


(……推せる)


その言葉が、頭の中に浮かんだ。


推し。


私が大きな存在に向ける言葉。


(この子、私の推しにしよう)


私は静かに決意した。


異世界での新生活。


仕事なし。


残業なし。


怒鳴る上司なし。


そしてーー。


可愛い魔王の娘を推す生活。


(……最高すぎる)




3話目も観てくれると嬉しいです


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