1話:なぜじゃあああああっ!
作者から一言
小説を書きました。
少しずつ投稿しますが温かい目の見てくれると嬉しいです。
批判コメント等はNGです
(作者はガラスのハートの持ち主です)
午後11時57分。
会社の窓の外には、真っ暗な夜の街が広がっていた。
昼間なら多くの人が行き交っているはずの道路も、今では走っている車が数台見ているだけ。
ビルの明かりはほとんど消えていて、このフロアに残っているのは私一人だった。
パソコンの画面には、大量の数字と文字が並んでいる。
その横には、冷めきったコンビニ弁当。
更にその隣には、飲みかけの栄養ドリンク。
「…終わらない」
私は小さく呟いた。
今日中に終わらせろと言われた仕事はまだ半分も終わっていない。
そもそも、今日中に終わらせろと言われたのは、今日の夕方だった。
それまで私は別の仕事をしていたし、昼休みもまともに取れていない。
(どう考えても無理でしょ、これ…)
心の中で愚痴をこぼしながら、私はキーボードを叩き続けた。
カタカタカタカタ…。
静まり返ったオフィスに、キーボードを打つ音だけが響く。
天井の蛍光灯は、少しだけジジジ…と音を立てていた。
空調の音も、冷蔵庫のような機械音も、今はすべてが遠く感じる。
私は社会人5年目。
入社したばかりの頃は、まさか5年もこの会社にいるとは思っていなかった。
最初は【3年は頑張ろう】と思っていた。
3年経った頃には【ここまで来たんだから、もう少し】と思った。
そして今ではーー。
(辞めたい)
それしか考えられなくなっていた。
上司は怒鳴る。
仕事は増える。
給料は対して増えない。
休日にも連絡が来る。
眠る時間は減る。
趣味の時間もなくなる。
友達と遊ぶ時間もない。
家に帰っても、お風呂に入って、ご飯を食べて、少しスマホを見たらもう寝る時間。
そんな生活が、何年も続いた。
(…癒しが欲しい)
私はパソコンの画面を見つめながら、ポツリと呟いた。
可愛い動物。
可愛い女の子。
ふわふわしたもの。
甘いお菓子。
何も考えずに過ごせる場所。
怒鳴る上司もいなくて、納期に追われることもなくて、朝起きたら、会社に行かなきゃと思わなくてもい異世界。
「異世界とかに行けたらなぁ…」
冗談半分で呟いた。
最近、私は異世界ものの小説やアニメをよく見ていた。
主人公が突然異世界へ召喚され、特別な力を手に入れ、仲間たちと楽しく暮らす物語。
(いいなぁ…私もそんな世界に行きたい!)
もちろん、そんな事が本当に起こるはずはない。
そう思っていた。
その時までは。
「…あれ?」
突然、視界がぼやけた。
パソコンの文字が二重に見える。
頭が重い。
胸が苦しい。
指先が冷たくなっていく。
「ちょっと…休憩…」
私は椅子の背もたれに体を預けた。
ここ数日、ほとんどまともに眠っていなかった。
昨日は午前2時に帰宅し、今朝は6時に起きた。
睡眠時間は4時間に満たない。
(疲れすぎたのかな…)
私は目を閉じた。
少しだけ休むつもりだった。
けれどーー。
もう二度と、目を開けることはなかった。
***
次に気づいた時、私は見知らぬ場所に立っていた。
「…え?」
床は黒く光る石でできている。
壁には奇妙な模様が刻まれ、天井はとても高い。
空中には青白い光が浮かんでいて、部屋全体を照らしていた。
電球も配線を見当たらない冷たい空気が机に触れどこか不思議な香りが漂っている。
足元には、巨大な魔法陣が描かれていた。
「…どこ、ここ?」
私は周囲を見回した。
大きな柱。
赤い絨毯。
壁に飾られた旗。
どれも、現代日本では見たことがないものばかりだった。
その時、魔法陣の向こうから声が聞こえた。
「…え?」
そこに立っていたのは、小さな女の子だった。
長い髪。
小さな角。
背中には蝙蝠のような翼。
黒と紫のドレスを着て、手には杖を持っている。
どう見ても普通の人間ではない。
けれど、私が最初に思ったことーー。
(…可愛い)
だった。
女の子は私を見つめたまま、数秒間固まっていた。
そして突然、頭を抱えて叫んだ。
「なぜじゃああああああっ!」
「えっ!?」
声が部屋中に響き渡った。
「なぜじゃあー!なぜこうなるのじゃあ!?」
「えっえっと…」
「わらわが呼びたかったのは、こんな者ではない!」
「こんな者!?」
私は思わず自分を指指した。
「私、普通の会社員ですけど!?」
「普通の会社員を召喚した覚えはないのじゃ」
「私だって召喚された覚えはないよ!」
女の子は魔法陣を睨みつけた。
「本来ならば、強力な力を持つ魔物を呼び出すはずだったのじゃ!」
「魔物?」
「巨大な竜や恐ろしい魔獣など、とにかく強い存在じゃ!」
「それで、私が来たと…」
「そうじゃ!」
女の子は涙目になって叫んだ。
「なぜ普通の人間なのじゃああああっ!」
私は困り果てた。
けれど、目の前の女の子は怒っているのに、どうしても怖く感じられなかった。
むしろ、角も翼も表情も、全部が可愛らしい。
「…可愛い」
「なんじゃと!?」
「いえ、可愛いなぁと思って」
「かっ……!」
女の子が一瞬で真っ赤になった。
「わ、妾は魔族じゃぞ!恐ろしい魔族の少女じゃぞ!」
「でも可愛いです」
「恐ろしがれ!」
「無理です」
「何故じゃあああっ!」
私は思わず笑ってしまった。
会社では、毎日怒鳴られていた。
でも、目の前の女の子の怒鳴り声は、何故か嫌ではなかった。
(…ああ)
私は、ようやく気づいた。
(私に、癒しを求めていたんだ)
「…ここって、異世界ですか?」
「そうじゃが?」
「本当に?」
「本当に決まっておるじゃろう!」
「私、異世界に召喚されたんですか?」
「だからそう言っておる!」
女の子は頬を膨らませた。
私は深く息を吸った。
「…会社に戻らなくてもいいんですか?」
「かいしゃ?」
「私が働いていた場所です。怒鳴る上司がいて、仕事を押し付けられて、寝る時間もなくて…」
「それは呪いか何かなのか?」
「ある意味、呪いです」
女の子は真剣な顔で考え込んでいた。
「…貴様の世界は恐ろしいのじゃ」
「本当にそうですよ」
私は心から同意した。
女の子はしばらく考えた後、ため息をついた。
「召喚してしまったものは仕方ない。しばらく、この城に滞在するがよい」
「…本当に?」
「うむ」
「会社に行かなくても?」
「行かなくても良いのじゃあ」
「怒鳴られなくても?」
「誰もそなたを怒鳴らぬ」
「残業しなくても?」
「働きたくなければ働かなくても良い」
「…最高ですね」
「そうなのか?」
「最高です」
私は深く頭を下げた。
「今日からよろしくお願いします」
「まだ住むと決まっただけじゃぞ!」
女の子は呆れたように言った。
私は、もう1度その子を見つめた。
「お名前は?」
「妾はアングロース・ルミナ。この魔王城に住む由緒
正しき魔王の娘じゃあ」
「ルミナちゃんですね」
「ちゃん付け!?」
「可愛いので」
「だから可愛いというではない!」
ルミナの叫び声が、再び城内に響き渡った。
こうして私は、異世界での新しい生活を始めることになった。
読者のお礼
見てくださりありがとうございます
誤字脱字がありましたら気兼ねなく書いてくださると嬉しいです
キャラ紹介
青葉美桜
25歳、可愛いもの系が好き
髪色は柔らかいミルクティーブラウン
髪型はポニーテール
趣味服を作ること、料理を作ること
胸:D、身長:167cm
アングロース・ルミナ
魔王の娘
髪色:淡い銀色
バスト:A、身長:140cm
性格:ツンデレ(可愛い)
長い髪の毛




