12話:初めての異世界旅行!行き先は人魚の国
12話です。
人魚の国へ行く所です。
その日の夜。
私は自分の部屋で、旅行用の荷物を広げていた。
ベッドの上には、服、タオル、帽子、バッグ、そして水着が並んでいる。
「……よし」
私は腕を組んで、真剣に荷物を確認した。
「着替えよし。タオル良し。日焼け止め…は、海の中だから必要かな?」
バッグから必要そうな物を次々に取り出していく。
この不思議なバッグは、本当に便利だった。
欲しいと思った物を願えば、大体出てくる。
【海の中でも使えるカメラ】
そう願うと、防水仕様のカメラが出てきた。
【水中でも書けるメモ帳】
それ出てきた。
【濡れても大丈夫なお菓子入れ】
これも出てきた。
「……便利すぎる」
私はバッグを見つめた。
(このバッグ、異世界のために存在しているのでは?)
そこへ、扉をノックする音がした。
「美桜、入るぞ」
「どうぞ!」
ルミナちゃんが部屋へ入ってきた。
「何をしておるのじゃ?」
「旅行の準備です!」
「まだ行くと決まっただけで、明日出発とは言っておらぬぞ!」
「旅行は準備している時も楽しんですよ!」
「そういうものなのか?」
「そういうものです!」
私はルミナちゃんに、用意した服を見せる。
「これは海の国用の服です!」
青と白を基調にした、涼しげで可愛い服だった。
海をイメージしたデザインで、袖や裾には波のような模様を入れている。
「……また作ったのじゃな」
「はい!ルミナちゃん用です!」
「妾の服まで?」
「もちろんです」
ルミナちゃんは受け取り、じっと見つめた。
「青と白か……」
「海にピッタリだと思いませんか?」
「まぁ、悪くはない」
「着てくれますか?」
「……一度だけじゃぞ」
「やった!」
私は思わずガッツポーズをした。
「これから、これもあります」
私は箱を取り出した。
「何じゃ?」
「水着です!」
「…水着?」
「海で遊ぶなら必要ですよね!」
ルミナちゃんは箱を開け、中を見た。
可愛いらしいデザインの水着が入っている。
「こ、これは……」
「もちろん、ルミナちゃん用です」
「なぜ妾の分まで用意しておるのじゃ!?」
「だって人魚の国ですよ?海ですか?泳ぐんですよ?」
「妾は泳げるのじゃ!」
「なら問題ないですね!」
「そういう問題ではない!」
ルミナちゃんは赤くして、水着を箱に戻した。
「……着るかどうかは、現地で考えるのじゃ」
「はい!」
その返事だけで、私は十分嬉しかった。
翌朝。
朝食を終えた私たちは、魔王城の玄関前に集まっていた。
そこには立派な馬車が用意されている。
黒い馬が2頭並び、馬車の側面には魔王家家紋が刻まれていた。
「これで人魚の国へ向かうのですか?」
「途中までは馬車じゃ」
ルミナちゃんが説明する。
「海へ続く専門の転移門がある。そこから人魚の国へ行くのじゃ」
「転移門……!」
私は目を輝かせた。
「移動方法までファンタジーですね!」
「美桜は本当に楽しそうじゃな」
「楽しいです!」
ロザリアさんも見送りに来てくれた。
「美桜さん、忘れ物はありませんか?」
「ありません!」
「ルミナ、美桜さんをしっかり守るんですよ」
「分かっておるのじゃ」
「無理をしてはいませんからね」
「母上、妾を子供扱いするではないぞ」
「フフ。いってらっしゃい」
ロザリアさんは優しく微笑んだ。
私たち馬車に乗り込み、魔王城を出発した。
窓の外には、広い草原や深い森が流れていく。
遠くには雪をかぶった山々が見え、道沿いには色とりどりの花が咲いていた。
「綺麗……」
私が窓に顔を近づけた。
「魔王城の周りってこんな景色だったんでですね」
「そうじゃ。季節によって景色も変わるぞ」
「いいなぁ……」
現代にいた頃は、毎日会社と家の往復だった。
景色を見る余裕なんてなかった。
でも今では、馬車に揺られながら異世界の景色を眺めている。
(本当に、私死んだんだな……)
ふと、そんなことを思った。
けれど、不思議と悲しくはなかった。
隣にはルミナちゃんがいて、これから人魚の国へ行く。
それだけで胸がいっぱいだった。
暫く進むと、海のような青い光を放つ大きな門が見えてきた。
「これが転移門じゃ」
「わぁ…」
門の中央には、水面のように揺れる光が広がっている。
兵士たちが周囲を確認し、準備を進めていた。
「この先が人魚の国ですか?」
「そうじゃ」
「楽しみ……」
馬車がゆっくり門へ近づく。
青い光が私達を包み込んだ。
一瞬、体がふわりと浮かぶような感覚が広がった。
透明な水の向こうに、巨大な珊瑚の建物。
光る魚達が空を飛ぶように泳ぎ、道には真珠や水晶が飾られている。
まるで海の中で作られた夢の都市だった。
「……え?」
私は言葉を失った。
「ここが……人魚の国……?」
ルミナちゃんが得意そうに笑った。
「ここが、人魚の国なのじゃ」
作者コメント
見てくださりありがとうございます
見てくれただけも書く気力が湧きます
次は13話です




