11話:この世界には、いろんな種族があるらしい
11話目です。
シルヴァスタさんが帰った翌日。
私は魔王城の中庭にあるベンチに座り、ルミナちゃんと一緒にお茶を飲んでいた。
中庭には色とりどりの花が咲き、噴水から流れる水の音が静かに響いている。
空は赤く、黒い雲がゆっくりと流れていた。
「そう言えば、ルミナちゃん」
「何じゃ?」
「この世界って、魔族以外にもいろんな種族以外にもいろんな種族がいるんですか?」
「そうなのじゃ、以前も話したではないか」
「もっと詳しく聞きたいです!」
私は身を乗り出した。
「例えば、人間以外にはどんな種族がいるんですか?」
ルミナちゃんは指を折りながら説明し始めた。
「まずはエルフじゃな。森に住み、長い耳を持つ者たちじゃ」
「エルフ!」
私の目が輝く。
「やっぱり耳が長いんですか?美人が多いんですか?魔法は得意なんですか?}
「質問が多いのじゃ!」
「だってエルフですよ!?」
「まぁ、耳は長い。魔法や弓も得意な者が多いな」
「会ってみたい……」
私は遠い目をした。
異世界に来てから、まだエルフには会っていない。
是日一度、実物を見てみたい。
「次に人魚じゃ」
「人魚!?」
今度は思わず立ち上がりそうになった。
「人魚って、本当にいるんですか!?」
「いるに決まっておるのじゃろう」
「上半身が人間で、下半身が人魚の?」
「そうじゃ」
「海の中に住んでいるんですか?」
「人魚の国がある。海の底に大きな都市があるのじゃ」
「水中都市…」
頭の中に、美しい珊瑚の街や、光る魚たちが泳ぐ景色が浮かんだ。
「行きたいです!」
「話を最後まで聞くのじゃ!」
ルミナちゃんが呆れた顔をする。
「他にも獣人がおる。獣の耳や尻尾を持つ種族じゃ」
「猫の獣人とか犬の獣人とかですか?」
「そうじゃな。猫の獣人、狼の獣人。兎の獣人など、色々おるのじゃ」
「……最高ですね」
「何がじゃ?」
「いえ、何でもありません」
私は真剣な顔でお茶を飲んだ。
(猫の獣人…犬の獣人…兎の獣人…。この世界、私をどうするつもりなの?)
癒しの供給が多すぎる。
「それからドワーフもおる」
「ドワーフって、小柄で鍛治が得意な種族ですよね?」
「そうじゃ。武器や道具を作るのが得意じゃ」
「職人さんなんですね」
「そうじゃ、頑固な者も多いが、腕は確かじゃ」
「竜人もいるのじゃ」
「竜人!?」
「竜の力を持つ種族じゃ。角や翼、尻尾を持つ者もおる」
「強そう…」
「実際、かなり強い者が多いのじゃ」
「会ってみたいです!」
「美桜は、どの種族にも会いたがるのう」
「だって異世界ですよ!せっかく来たんですから、いろんな種族を見てみたいじゃないですか!」
私は両手を握りしめた。
「エルフ、人魚、獣人、ドワーフ、竜人…。まるでファンタジーの世界そのものです!」
「美桜はこの世界に居るじゃろう」
「そうでした!」
ルミナちゃんは呆れたようにため息をついた。
「ただし、全ての種族が仲良く暮らしている訳ではないぞ」
「え?」
「昔は種族同士で争いも多かった。今でも仲が悪い種族もおるのじゃ」
「そうなんですね……」
「魔族と人間も、場合によっては警戒し合っている」
「でも、魔王城には人間も来るんですよね?」
「うむ。商人や旅人、使者などはたまに来るのじゃ」
「じゃあ、種族が違っても仲良く出来る場所はあるのですね」
「そうじゃな……」
ルミナちゃんは空を見上げた。
「妾は、いろんな種族が普通に話せる世界の方が良いと思うのじゃ」
「私もそう思います」
私は笑った。
「だって、可愛い子や美人さんが種族違いだけで仲良くできないなんて、勿体ないですから!」
「結局そこなのじゃな…」
「もちろんです!」
その時、、遠くから魔族の執事が走ってきた。
「ルミナ様、美桜さん」
「どうしたのじゃ?」
「近い内に人魚の国から使者が来る予定だそうです」
「人魚の国から!?」
私は勢いよく振り向いた。
「本当ですか!?」
「はい。詳しい話はまだですが、交流のための訪問だと聞いてあります」
「人魚…」
私は頭の中に、人魚の姿が浮かぶ。
美しい髪。
キラキラ輝く鱗。
優雅な尾びれ。
(会える…?本物の人魚に会える!?)
私はルミナちゃんの方を掴んだ。
「ルミナちゃん!」
「な、何じゃ!?」
「人魚の国に行きませんか?」
「まだ決まっておらぬ!」
「でも、行きたいです!」
「落ち着くのじゃ!」
私は深呼吸をした。
しかし、心臓の鼓動は全く落ち着かなかった。
異世界に来て、魔族の少女に出会い、美人のロザリアさんやシルヴァスタさんにも会った。
そして今度は、人魚。
私がいた世界で夢で見ていたのもが叶っていく。
ルミナちゃんはそんな私を見て、少し考え込んだ。
「……そうじゃな」
「え?」
「人魚の国へ行く話、母上に相談してみるか」
「本当ですか!?」
「うむ。ちょうど交流の話もあるのじゃしな」
「やったー!」
私はベンチから立ち上がり、両手を上げた。
「人魚の国!人魚の国!」
「騒ぐでないぞ!」
「楽しみすぎます!」
ルミナちゃんは呆れながらも、どこか楽しそうに笑っていた。
11話目見てくださりありかとうございます!
見てくれただけでも書く気力が湧きます!
次は12話です。
人魚の国へ行く感じです。




