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ブラック企業で過労死した私、召喚された先で魔族の少女に癒されています。  作者: 宝妖夜るあ


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10/36

10話:魔王城に響く、謎のピアノの音

10話目です。

新しく登場したキャラ

ヴァイオラ・シルヴァスタ

ロザリアさんのお姉さん

ロザリアさんの旧姓はヴァイオラ

性格は凛とした女性。怒らせると怖い。

髪の色:淡い銀色(色を変える時もある)

髪型:長い髪

バスト:F


ある朝。


私は、いつもより早く目を覚ました。


窓の外は、まだどんよりと薄暗かった。


夜明け前の空は、濃い黒色から明るくなり始めている。


庭園には白い霧がかかっていた。


「………起きないと」


私はベッドから起き上がった。


部屋の中は静かだった。


いつもなら、廊下から魔族たちの足音や話し声が聞こえてくる。


けれど、今朝は違った。


静かな城内にーー。


ポロン。


ポロロン。


美しい音が響いた


「………ピアノ?」


私は耳を澄ませた。


ポロン、ポロン。


ゆっくりとした旋律。


どこか寂しく、それでいて美しい音色だった。


(こんな朝早くから、誰が弾いているのだろう?)


私は部屋を出た。


廊下は薄暗く、窓から差し込む朝の光(赤い光)が赤い絨毯が淡く照らしている。


音は、城の奥から聞こえていた。


私は音を頼りに、長い廊下を進んだ。


角を曲がる。


階段を降りる。


更に奥へ進む。


やがて、1つの大きな扉の前にたどり着いた。


扉の向こうから、ピアノの音が聞こえる。


私はそっと扉を開いた。


そこには、大きなピアノが置かれていた。


窓から差し込む赤い光、部屋の中を赤く染めていた。


そして、ピアノを弾いていたのはー。


見知らぬ美しい女性だった。


長い髪。


落ち着いた色のドレス。


背筋を伸ばした姿勢。


指先が鍵盤の上を滑るたび、優しく音色が部屋いっぱいに広がっていく。


私は思わず、その場に立ち尽くした。


(……美人)


ルミナちゃんのお母様ロザリアさんとはまた違う美しさだった。


ロザリアさんが柔らかくて優しい雰囲気なら、この女性は凛としていて、近寄りがたいほどの気品をまとっている。


ピアノの音が止まった。


静かになった廊下には、先程まで響いていた美しい旋律の余韻だけが残っている。


(………どうしよう。入っていいのかな?)


勝手に入るのは失礼だと思ったけれど、先程の女性の姿がどうしても気になってしまう。


長く美しい髪。


凛とした目元。


背筋を伸びた姿勢。


そして、ピアノの弾く指先の優雅さ。


まるで絵画から抜け出して来たよう人だった。


「………そこにいるのは、美桜さんでしょう?」


突然扉の向こうから声がした。


「は、はい!」


驚いて背筋が伸びる。


「入ってきなさい」


「失礼します…」


私はゆっくりと扉を開けた。


窓から差し込む朝の赤い光が、ピアノの表面に反射している。


先程の女性は、ピアノの椅子に座ったままこちらを見ていた。


「そんなに緊張しなくてもよいでしょう」


「いえ、その……とても綺麗な方だったので…」


「綺麗?」


女性は少し眉を上げた。


「はい。凄く美人です。ピアノを弾けるなんて……」


「フフ。お世辞が上手なのね」


「お世辞じゃないです。本当にそう思ったんです!」


思わず力を込めて答えてしまう。


女性は少し驚いたように目を瞬かせた後、静かに笑った。


「なるほど。貴方は、思ったことをそのまま口にする人なのね」


「よく言われます……」


「それで、貴方はルミナと中が良いようだけれど」


「はい!ルミナちゃんには毎日癒されています!」


「ルミナちゃん?……」


女性の表情が僅かに変わった。


「貴方、あの子をそう呼んでいるの?」


「はい。とても可愛いので」


「……あの子が、可愛い?」


「はい!物凄く可愛いです!」


即答すると、女性は口元に手を当てた。


「フフフ…」


「あ、あの、何か変なこと言いましたか?」


「いいえ。ただ、あの子をそんな風に褒める人は珍しいと思って」


「そうなんですか?」


「ええ。ルミナは強い魔王になろうとしていて、いつも難しい顔をしているから」


「でも、実際はとても可愛いですよ」


「そうね」


女性はピアノの鍵盤に視線を落とした。


「小さい頃から、負けず嫌いでね。何でも1人で出来ると思っている所があるの」


「ルミナちゃんらしいです」


「貴方は、あの子のことをよく見ているのね」


「はい。毎日見ていますから!」


「……毎日?」


「服を作ったり、写真を撮ったり、応援ボードを作ったりしています」


「応援…ボード?」


「はい!ルミナちゃんを応援するための物です!」


私はバッグから、以前作った応援ボードを取り出した。


そこには大きな文字で、【ルミナちゃん、今日も可愛い!】と書かれている。


女性はそれを見て、しばらく黙っていた。


「……なるほど」


「どうですか?」


「とても……独特ね」


「褒めてます?」


「ええ。多分」


女性は小さく笑った。


その笑顔はとても上品だったが、どこか近寄りがたい雰囲気もあった。


その時、廊下から足音が聞こえてきた。


「叔母様ー!」


元気な声とともに、ルミナちゃんが部屋へ入ってきた。


「…叔母様?」


私は思わず聞き返した。


ルミナちゃんは女性の側まで駆け寄ると、嬉しそうに顔を上げた。


「やはり来ておったのじゃ」


「ええ。久しびりね、ルミナ」


「うむ。元気そうで何よりじゃ」


私は思わず声を上げた。


女性はゆっくりと立ち上がり、私に向かって優雅に頭を下げた。


「初めまして。ルミナの母ロザリアの姉ヴァイオラ・シルヴァスタです」


「は、初めまして!青葉美桜です」


「貴方のことは、妹から聞いてますよ」


「ロザリアさんからですか?」


「ええ、異世界から来た不思議な女性が、ルミナの側にいると」


「不思議な女性…」


「可愛い服を作ったり、妙な道具を出したりしているそうね」


「妙な道具…」


否定できない。


「でも、ルミナが楽しそうにしていると聞いて安心しました」


その言葉に、ルミナちゃんが少しだけ頬を赤くした。


「べ、別に楽しんでいるわけではないぞ!」


「そう?」


「そうじゃ!」


「では、その服は?」


シルヴァスタさんの視線がルミナちゃんの服へ向ける。


今日のルミナちゃんは、私が作った可愛異ワンピースを着ていた。


「こ、これは…美桜が勝手に作っただけじゃ!」


「でも、着ているのね」


「一度だけじゃ!」


「フフ、よく似合っているわよ」


「……っ」


ルミナちゃんの顔が更に赤くなる。


私はその様子を見て、心の中で叫んだ。


(シルヴァスタさんに褒められて照れてるルミナちゃん、可愛すぎる!)


シルヴァスタさんはそんなルミナちゃんを見て、優しく目を細めた。


「美桜さん」


「はい!」


「これからも、ルミナをよろしくお願いしますね」


「もちろんです!」


私は大きく頷いた。


「ルミナちゃんは私の大切な推しなので!」


「推し…?」


「えっと、応援したい大切な存在という意味です!」


「そう。なら、安心ね」


シルヴァスタさんは満足そうに笑った。


その後、シルヴァスタさんはピアノの蓋を閉じた。


「そろそろ私は戻らなくては行けません」


「もう帰るのか?」


「ええ。自分の領地にも仕事がありますから」


「シルヴァスタさんの領地って、どんな所なんですか?」


私が尋ねると、シルヴァスタさんは少し考えてから答えた。


「静かな場所ですよ。転移で行かなければならない所ですよ。私の配下たちも暮らしています」


「配下の魔族がいるんですか?」


「ええ。私にも従える者がいるんですよ」


その瞬間、近くにいた魔族の一人が小声で言った。


「シルヴァスタ様は、とてもお強いお方なのです」


「そうなんですか?」


「はい。普段はお優しいのですが…」


「ですが?」


「怒らせると、本当に恐ろしいお方です」


「……え?」


私はシルヴァスタさんの方を見た。


シルヴァスタさんは穏やかな笑顔を浮かべている。


「何か言いましたか?」


「い、いえ!何も!」


魔族の一人は慌てて頭を下げた。


ルミナちゃんは少しだけ苦笑している。


「叔母様を怒らせてはならぬぞ!」


「そんなに怖いんですか?」


「……怒った時は、母上より怖いのじゃ!」


「え、ええ!?」


シルヴァスタさんは静かに笑った。


「ルミナ。余計なことを言うものではありません」


「ごめんなさいなのじゃ!」


そのやり取りを見て、私を見たシルヴァスタさん。


「美桜さん」


「はい?」


「貴方が来てから、ルミナの周りが明るくなったそうですね」


「え……」


「これからも、あの子の側にいてあげてくださいね」


「はい。もちろんです」


シルヴァスタさんは優しく微笑むと、ルミナちゃんの頭をそっと撫でた。


「また会いましょう。ルミナ」


「また来てくれるのじゃな?」


シルヴァスタさんはそのまま、数人の配下を連れて魔王城を去っていた。


窓から外を見ると、魔物の馬がゆっくりと遠さがっていく。


「……行ってしまったのじゃ」


「寂しい?」


「少しだけなのじゃ」


「また会えますよ」


「そうなのじゃ」


ルミナちゃんは遠さがる魔物の馬の馬車を見つめていた。


その横顔は、いつもの強気な表情とは違っていた。


少しだけ寂しそうで、でも嬉しそうだった。


(家族っていいな…)


私はそんなことを思いながら、ルミナちゃんの隣に立った。



皆さんこんにちは!

コメント

13時に投稿しました!

1日に2つの投稿していたのにすみません

これ以降かもしかすると

1日に2つ投稿するかもしれません

皆さん読んでいただきありがとうごさいます!

書く気力が湧きます!



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