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老エルフ吟遊詩人の語った物語  作者: まろんねこ


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【挿話】エルナ・グラウシュミット依頼を受ける

エルナ・グラウシュミットについて少し掘り下げたくなりました。

話が途切れてしまいますがお許しください。

ギルドには酒場が併設されている。


酒は安いエールに、一見ワインぽい酸味の強いスグリ酒。

季節ごとの果実水が少し。

市街の酒場みたいな洒落たツマミは出ない。


「何の肉を詰めたか聞かない方がいい」

と奥で頬に傷のある調理人がソーセージをカウンターに置き片目をつぶる。

「卵を産まなくなったからな。後は俺たちがあの世に送ってやるのさ」

年老いた鶏をつぶした串焼きの乗った皿が続く。


それでも安い。

出てくるのも早い。

飲み物は冷え、料理は熱い。


「依頼達成までは穴蔵でバケモン退治だ。暫くは干し肉しか食えねぇからな」

頑丈な歯で串焼きから肉をこそげとる片目で彫りが深く背の高い男。

「おまけに水分も皮袋の酒精か、湧き水しかねぇからな」

景気付けと言いながら何杯目かの陶杯を飲み干すスキンヘッドは既に頭まで赤い。


なにより食い物が暖かい。

氷魔法で飲み物が冷たい。


午前中は依頼に出る前、午後になると達成した報告後、ここはほぼ満席。


◇      ◇      ◇


「座れるか? おい、さっきの踏み台を持ってこい!」


エルナがよじ登るように椅子に座り、照れたようにはにかむ。


「ほら、これがエールだ!冷えててうまいぜ」


にこりと笑みを返し陶杯に手を伸ばすエルナ。


「イケル口だろう?ドワーフ……の血が入ってるんなら」


「はい」


手にし陶杯が口元で傾く、そのまま一息に……、飲み干した。


「ほっほっほぉ~。流石だなぁ。だがこれ1杯だ」


「そうそう、2杯目からは自分で稼いで飲め」


口元を軽く指でなぞり頷くエルナ。


「ありがとうございます。ごちそうさまでした」


「おぅ、頑張んな。最初は採集辺りだ。まだ1~2枚残ってんだろう」


酒を奢った男が顎で掲示板の方をしゃくる。


椅子から軽々と飛び降りたエルナは男にぺこりと頭を下げた。


掲示板に向かって歩く姿を見送りながら男が誰に言うでもなく呟く。


「あれじゃぁなぁ……。軸はちゃんちとしてるが、ちっちゃすぎる。しかも細い」


「あぁ、ちょっとした裏技は使えそうだが、力技もなきゃぁ先はねえ」


先ほどロングソードを取り落した太った大男が相槌を打つ。


短くはない冒険者生活を送ってきた彼ら。

エルナが冒険者として大成する図は、どう描いても描けなかった。


◇     ◇      ◇


「ほんとうだ。2枚しか残ってないや」


掲示板の前でエルナはため息をついた。


それぞれの依頼書に目をやる。


「うん。ちゃんと読める」


左右どちらも依頼内容は"採集"。


近場の森だから、切ったはったはまずないだろう。


「こっちがいいかな」


依頼書:8011347

「王都8年の今日、47件目ってことかな」


案件:"採集"

物品:メリッサ

「これなんだろう?受付のサリエリさんに聞かなくっちゃ」


数量:30

「数が少ない!これ1日でだよね」


期日:本日中


報酬:300クード

 ※ 品質により上下あり


「1日頑張って300かぁ~。王都なら安宿1泊で消えちゃうなぁ~」

しまうだろうな。


頭の隅で計算しながら依頼書を手に受付に向かうエルナ。


「大丈夫かなぁ」


受付のサリエリは不安げにエルナを目で追っていた。

やっぱりどう見てもドワーフと言うより子供だよねぇ。

駆け出しのままならまだ生きていけるだろうけれど。


思いを巡らせていると、いつのまにかエルナが自分を見上げていた。


「あっ、すみません。できそうなものはありましたか?」


「はい。とりあえずこれを」


依頼書を受け取り目を通す。


「"採集"ですね。ランクも大丈夫です。採集場所と採集するものはわかりますか?」


「いいえ。どっちもわかりません」


でしょうね。


「ちょっと待って下さい」


サリエリは前日の採集物の棚を探る。

中から不良品で撥ねていた薬草を手にして受付に戻りエルナに手渡す。


「はい。これがあなたが集める"メリッサ"です。痙攣や痛みを治す薬草です」


エルナは受け取った薬草を見つめ、小首をかしげた。


「これアタシがもらっていいんですか?」


「それねぇ、実は不良品。いいものはもっと瑞々しくて、葉っぱも大きいんです」


「なるほどわかりました。で、どこに行けば採れるんですか?」


「王都西口から出た街道を真っすぐ。最初の森の中です。今から出れば昼前には着きます」


「わかりました。じゃぁ行ってきます」


踵を返し、足取り軽く扉へ向かうエルナに思わず大きな声が出る。


「待って!日が暮れれば獣や、弱いと言っても魔物が出ます。気を付けて!!」


「はい」


振り返りにっこり笑ったエルナが出ていく。


「ずいぶんと軽い奴だな」

「大丈夫かよ」

「痛い目に合わなきゃいいがなぁ……」

「メリッサだって簡単にゃぁ採れねぇのに」


心配やら、ため息やらが彼女を見送った。

お目にとめていただきありがとうございます。

良かった、悪かった、何らかの反応をいただければ幸いです。

AIではないので遅筆です。

とりあえず書き進めた分をひとつずつ投稿していきます。

誤字脱字のご報告もいただけると幸いです。

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