第九十七話~ドワーフ国~カンナ砂漠~
スライムを討伐してリザードマンの村へと戻って来たカイト達。
すると、いつの間にかゾリューは交換条件である労働力を用意しており、カイト達はあれよあれよと流れに乗せられて出発を迫られるのであった。
「カイト様、何か急展開過ぎないッスか?」
「私もそう思います。それにこの馬鹿騒ぎみたいな雰囲気。私には低能に見えて苦痛です。」
「うむ、私も正直戸惑いを隠せないが、これがリザードマン流のおもてなしとでも思っておこうではないか。それに我々は先を急いでいるし、ゾリューが一方的に提供してきた労働力も申し分ない。であればもうここは用済みとなる。少し躊躇われるが、今回はこの流れに乗って退散するとしよう。」
「そうですか、カイト様がそうおっしゃるのであれば問題ございません。」
「自分も大丈夫ッス!スライムと戦えて楽しかったッス!」
「そうか、すまないな。ではカーミラよ、ゲート(転移門)を頼む。行先はドワーフ国だ。」
「はい、かしこまりました。では、ゲート。」
カイト達はステージから降りると、カーミラがゲートを唱える。
するとカイト達の目の前に真っ暗なゲートが開かれる。
ゲートを初めて見るリザードマン達も多く、得体のしれない物体を前にざわついている。
「皆の者よ、心配するな。これはゲートと言って魔法による立派な移動手段の一つである。私が先導するので安心して通るがよい。では世話になったなゾリュー、そしてリザードマン達よ。お前達から提供されたこの百名は私が責任を持って預からせてもらう。」
「おぉ、元気でな!またこの件が済んだら会えるのを楽しみにしているぞ!」
こうしてカイト達はリザードマンの村と別れを告げて、ドワーフ国へと戻って行った。
ゲートは手筈通りドワーフ国の王の間に繋がっており、カーミラがゲートを唱えた頃、またドワン王はあたふたしていた。
「おぉ、なんじゃ、バドラスよ、またゲートが出現したぞい!」
「王よ、落ち着いてください。この前も見たではありませんか。これはカイト様達のゲートです。」
「おぉ、そうじゃったな。して、出発してからまだ数日しか経っていないと思うのじゃが、何の用かのう?」
すると、ゲートからカイト、ボアード、カーミラが先陣を切り、大勢のリザードマンを引き連れて王の間に入って来た。
「突然失礼する。ドワンよ、久しぶりだな。」
ドワンは最初ゲートが突然出現した事に驚いていたが、それよりもカイトがリザードマンの大群を引き連れて乗り込んで来た事の方にもっと驚いていた。
「ど、ど、ど、ど、どうしたのじゃカイト様!?まだお約束の期限までお時間があると思うのですじゃが!?」
カイトはドワンの慌てっぷりを見て、勘違いしている事に気が付き宥める。
「ドワンよ、安心しろ。決して我々は何か気に食わない事があったりしてこの国を侵略しに来た訳ではない。このリザードマン達は我々がリザードマンの村から得た労働力だ。決して危害を加えたりはしない。寧ろ手伝いに来てやったとでも言っておこう。」
ドワンはカイト達がリザードマンを引き連れてこの国を乗っ取りに来たのではないかと思っていたが、自分の勘違いだと分かりホッと胸をなでおろす。
「そうでしたか。それは安心しました。それに手伝いに来て下さったとはどういう事ですじゃ?」
「あぁ、それなのだが、採掘と金属生成の進捗はどうだ?」
「はい、コロン様のお力添えもありまして今の所順調に進んでおりますじゃ。このままのペースでいけばお約束通り一週間でのご用意は可能かと。」
「そうか、それはよかった。順調に進んでいるなら必要ないかもしれないが、もしよければこのリザードマン達にも手伝わせてもらえないだろうか?」
「リ、リザードマンをですか!?」
「安心しろ、お前がリザードマンにどのような印象を持っているか知らないが、少なくともここに居る奴等は我々に従順なリザードマン達だ。どうだ?人手は多いに越したことはないだろう?」
「確かにですじゃ。金属の生成を頼むのは難しいかもしれませんが、これだけの数がいれば採掘の方で大いに役に立ってもらえそうですじゃ。それではこの者達をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、問題ない。我々は他の用事を済ませたらまた様子を見にここへ来る。では聞け、リザードマン達よ。まず初めにお前達はこのドワーフ国で一働きしてもらう。我々は一旦ここを離れるが、我々がいない間はこのドワーフの王であるドワンがお前達の雇い主だと思え。分かったな?」
「(リザードマン達が一斉に)はい、かしこまりました、カイト様!」
リザードマン達は声を揃えてカイトの命令に大きな声で返事をする。
ここに来るまでの間に特に何をしたという訳でもないのだが、カイトの主としてのカリスマ性はリザードマンの村での演説で既に完成されたものとなっており、もはやここに居る百名はカイトの思うままであった。
「という事だ、ドワン。では後は頼んだぞ?」
「な、なんて統率力の取れた集団ですじゃ。あの血の気の多いと言われているリザードマン達をこの短期間でこれ程手懐けてしまわれるとは。しかもこの数を。カイト様の手腕は恐れ入りますじゃ。これだけ統率が取れていれば問題ないな、バドラス?」
「はい、これでかなりの作業効率アップが図れるかと思います。」
「そうか、それは楽しみだ。ではまた数日後に会うとしよう。カーミラ、ゲートを頼む。次はカンナ砂漠だ。奴等の巣へ向かうぞ。」
「はい、かしこまりました。ゲート。」
こうしてカイト達は百名のリザードマン達を残し、次の目的地へと向かうのであった。
カイト達が次にやって来たのはカンナ砂漠である。カイト達はここで出会ったサンドワーム達、通称マスター・オブ・デザート(砂漠の主)の力を借りるため彼等の巣に転移して来たのだが。
「あれ、カイト様、マスター・オブ・デザートがいないッスね。食糧でも探しにどこかへ行っているんでしょうか?」
「うむ、そのようだな。少しここで待っていれば戻ってくるかもしれないな。カーミラ、どう思う?」
「そうですね。カイト様、あちらをご覧ください。あそこにまだ比較的新鮮な果実が山積みにされています。恐らく彼らがどこからか採ってきた物かと思われます。そう考えると、またしばらくすればここに誰かは戻ってくるかと思われます。」
カイトはカーミラが指を差した方を見ると、部屋の隅に山積みにされている新鮮な果物があった。
それはこの近辺では採取出来ないような果物で、林檎、蜜柑、バナナ、ヤシの実、パイナップル、ココナッツのような類の物と似ていた。
地球とは世界は違えども、この世界で採れる果物は地球と似たような物ばかりであった。
この様子を見るに、サンドワーム達はカイト達と別れた後、大陸各地の地下を掘り進めながら巡り、各地の食糧を調達する事に成功しているようだった。
「そうだな。では、時間が惜しいがしばらくここで待たせてもらうとするか。」
カイト達がしばらくその場で待機しようとしたその時、大きな衝撃が巣全体に走る。
「ズシーン、ゴゴゴゴ、ズシーン、ゴゴゴゴゴゴゴ。」
その衝撃は一定の間隔で発生し、ズシーンという音と共にサンドワーム達の巣は地震でも起きたかのように激しく揺れ、天井からパラパラと砂が落ちて来る。
その衝撃は鳴り止むどころか、徐々に大きくなっていく。まるで何かがこちらに近付いているかのように。
「な、なんスかこの揺れは!?地震でも起こっているんスか!?」
「いや、落ち着けボアードよ。地震のように揺れているが、これはまた他の何かのようだ。恐らくは、、、上に何かいるな。」
「私もカイト様がおっしゃる通りだと予想します。この衝撃の正体は地表にいる何かである事は間違いないでしょう。カイト様、このままだとここは崩れて生き埋めにされかねません。ここは一度地表に脱出しますか?」
「うむ、それが最善の手段だな。では脱出するとして、どうやってここから抜けるか。出来ればこの真上あたりに出たいのだが、地表までの距離感がいまひとつ掴めていない現状では、転移魔法は難しいか。」
「ボカッ、ドスーン。」
カイトが巣からの脱出方法を考えていると、天井からボカッっと大きな穴が開き、そこから何かがドスンと勢いよく落ちて来たのであった。
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