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第九十九話~デザートアーケロン退治~

レッドの存在を確認したデザートアーケロンは血相を変えてレッドに襲い掛かる。

それを察知したレッドは退避すべく動き出そうとするが、デザートアーケロンの動きは先程までのノロノロとしていた様子とは打って変わり、途轍もない速さでレッドに攻撃を仕掛ける。


デザートアーケロンの大きく広いた口は、レッドを丸呑みにせんとばかりに襲い掛かってくる。

そして、先程までの様子からは想像できない程の凄まじい勢いでレッドを地面ごとかぶりついてしまった。


あまりの衝撃に周囲には砂煙が舞い上がる。

その様子を遠くから見ていたレッド以外のメンバー達はまさかの展開に焦りの色を見せる。


「(ブルー)ま、まさか、あの穏やかなデザートアーケロンが。。。」


「(イエロー)そ、そんな、レッドー!」


「(グリーン)さ、流石にこれは笑えないな。。。」


「(ピンク)キャー!レッドー!」


「(ブラック)くそっ、まさか襲って来るなんて想定外だ。それになんだあの動きは!亀の速さじゃないぞ!」


しばらくして砂煙が収まると、デザートアーケロンは口を半開きにしながら顔を上げる。

半開きになった口の隙間からはサラサラと砂が流れ落ちている。


メンバー達はあの巨大な口の中にレッドが飲み込まれてしまったと思っていた。


しかし次の瞬間、アーケロンは半開きになっていた口を大きく開き、口の中に入っていた砂を全て吐き出してしまった。


アーケロンの口からは大量の砂が滝のように落ちていったが、その中にレッドの姿はなかった。

レッドは間一髪のところで地中に潜り、難を逃れていたのである。


「(レッド)ボコッ!ふぅ、危ないところだったぜ!」


レッドはアーケロンの攻撃を無事に回避し、地中を潜ってメンバーの所まで帰還した。


「(ブルー)おいおい、やられちまったかと思ったぜ。」


「(イエロー)本当だよ!心配させないでよ!」


「(グリーン)まったく笑えない冗談だったね。」


「(ピンク)本当よ!もうあんな危険な事しないでよね!」


「(ブラック)まったくだ、格好つけるのも大概にしろよな。」


「(レッド)あぁ、すまない、本当にさっきのは殺されてもおかしくなかった。が、問題はこれからだ。あいつの様子を見てくれ。」


レッド達がアーケロンの様子を伺うと、標的を見失ったアーケロンの動きはまたゆっくりな状態に戻ったが、あの鋭い目つきは変わっていない。

もし今、奴に見つかってしまったら先程見せた驚異的なスピードでこちらに襲い掛かってくるだろう。


そんな事になったらレッド達は今度こそ本当にひとたまりもない。


「(ブルー)くそっ、もう本当に諦めるしかないのか。」


最初から望み薄ではあったが、もはやアーケロンとの交渉が決裂した以上、彼等に残された術はない。ここは大人しく身を引くのが最善の策である。

だが、その時、イエローが何かを察知する。


「(イエロー)皆、ちょっと待って!下から何か聞こえる!、、、これはカイト様達の声だ!僕達の巣にカイト様達が来ているみたいだ!」


「(レッド)何!?イエローそれは本当か!?このタイミングで何という幸運だ。あの御方達ならばこの状況を何とかしてくれるかもしれない!イエロー、我々はここであいつの様子を観察しておく、急いでこの状況をカイト様達に伝えてくれ!」


「(イエロー)分かった!じゃあ行ってくる!」


こうしてカイト達の存在に気が付いたイエローは急いで地下に潜り、カイト達の元へと向かったのである。


「(イエロー)という訳です!」


と、ここまでが俺達がここに来るまでにサンドワーム達に起こった出来事であった。


「なるほど、話は分かった。そのような状況であるなら、流石のお前も慌てて転げ落ちて来てもおかしくはないな。」


「はい、焦り過ぎて途中で変な方向に進んでしまい、よく分からない場所から落ちてきてしまいました。カイト様、どうか我々の巣を脅かす怪物を退治してくれませんでしょうか?」


「勿論だ。お前達は私の忠実なる下部であり大切な仲間だ。困っている時に助けるのは当然である。それに後でお前達に頼みたい事もあるしな。ここで殺されたり、住む場所を失ったりされてはこちらも困る。」


「あ、ありがとうございます!しかし、相手は見た事もない大きさの怪物です。くれぐれもご注意ください。」


「あなた、誰に物を言っているのかしら?我々がそんなちょっと大きい亀如きに遅れを取るとでも思っているの?」


「まったくッス!そんな亀、すぐに蹴散らしてやるッスよ!」


「イエローよ、そういう事だ、心配はいらない。その巨大なデザートアーケロンは我々の手で必ずや屠ってみせよう。」


「あ、ありがとうございます!マスター・オブ・デザート一同感謝いたします!」


「よいのだ。では早速地表へ案内してくれ。」


「はい、かしこまりました!では私に付いて来て下さい!」


イエローはそう言うと壁を伝って巣に空いた無数の穴うちの一つに入って行った。

俺達もフライ(飛行)の魔法でイエローの後を追い、どんどん穴の中を進んで行く。


そして、しばらく穴の中を地表に向かって進んで行くと日の光が見え、外に出た。

地表に降り立つと、そこには残りのメンバーの姿があった。


「(レッド)おぉ、これは、これはカイト様、お久しぶりでございます。このようなタイミングでここにいらしていただけるとは我々は何と幸運な事でしょう。ここにいらしていただけたという事はそういう事でよろしいのですね?」


「やぁ、レッド、それに他のメンバー達よ、久しぶりだな。あぁ、お前の思っている通り我々はあの亀を倒しに来た。話は全てイエローから聞いている。今から我々が奴を屠ってくる。お前達はここで待っているだけで良い。」


「(レッド)なんと頼もしい!承知いたしました、我々はここで戦況を見届けさせていただきます。」


「あぁ、頼んだ。では行くぞ、ボアード、カーミラよ。」


「(ボアード、カーミラ)はっ!」


ボアードとカーミラに声を掛け、フライで標的のデザートアーケロンに接近する。

遠くからでも奴の姿は巨大である事が分かっていたが、いざ接近して見てみると、改めてその大きさを実感する。


「やっぱり近くで見るとでっかいッスね!倒し甲斐がありますッス!」


「しかし、あんなデカブツにまともな攻撃が通用するのかしら?」


ボアードは張り切っているようだが、カーミラは冷静だ。

確かにいくら我々が強力な魔法や攻撃を行使出来るとしても、今回はあまりにもサイズ感が違い過ぎる。

いつもの調子で戦ってもあの図体には傷一つ付けられないのではないかと思えてしまう。

その時、アーケロンは視線をこちらに向け、咆哮を上げた。


「グウォーーーーン!」


アーケロンはこちらの姿を捉えた途端に一気に加速して突進してくる。


「おっと、気付かれたようッスね!ここは自分にお任せ下さいッス!おりゃー!」


こちらに突進してくるアーケロンに対してボアードが先陣を切る。

大剣を抜き取り、大きく振りかぶり、長く伸びたアーケロンの首を一刀両断しようとする。


一方、アーケロンは先と同じように大きく口を開けてボアードを丸呑みにしようとしているようだ。


「いくら甲羅が硬くてもここなら関係ないッス!もっらたー!」


だがその時、アーケロンはボアードの攻撃を見切ったのか、首と足と尻尾を瞬時に甲羅の中に引っ込めて、突進してきた勢いを利用して高速回転を始めた。


「なにっ!?くそっ、おりゃーッス!」


アーケロンの行動にボアードも対応を変えて高速回転する甲羅に向かって大剣を振り落とす。

両者の剣と甲羅は激しく衝突し、周囲には巨大な砂埃が舞い上がり、ボアードの剣は摩擦で激しい火花を散らしている。


流石はボアードといったところか、あの怪物と単純な力比べで互角に渡り合っている。

それは良いのだが、この力と力のぶつかり合いで周囲の地面は激しく揺れている。

これはアーケロンの足音なんてもんじゃない。

このままボアードにやらせてしまうと、サンドワーム達の巣どころか地形が変化してしまうかもしれない。

一旦退かせなくては。


「ボアード、一旦下がるのだ!」


「え、何でッスか?今いいところなんスけど、グググ。」


ダメだ、やはりあいつはただ単純に戦いを楽しんでいるだけだ。


「いいから下がれ!このままだと地形が変化してしまうぞ!」


「それはまずいッスね!了解しましたッス!おりゃあ!」


やっとこちらの意図が通じたのか、ボアードは剣でアーケロンの甲羅を薙ぎ払うと後退し、両者は一旦距離を取った。


アーケロンは甲羅から引っ込めていた体を素早く出し、態勢を整えた。


ボアードをこのまま本気で戦わせれば勝てるのだろうが、それだと周囲の環境に与える影響があまりにも大き過ぎる。


そのため、俺は別の手段で奴を討伐する方法を思案するのであった。

「面白かった!」


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