ヤミコの闇
おっはよーう☆
私、雨ケ崎ヤミコ!
実は低血圧でテンション激低なんだ!
ごめんーね☆
さぁーて、今日も朝の日課からはじめちゃうよ!
さてと、
ヒロくんに悪い虫が寄り付きませんように。
ヒロくんに悪い虫が寄り付きませんように。
ヒロくんに悪い虫が寄り付きませんように。
ヒロくんに悪い虫が寄り付きませんように。
・・・え?何してるかって?
嫌だなぁ決まってるじゃない☆
厄・除・け♡
私のお家ね、古くからあるみたいで、仏壇が凄く立派なの☆
だから、ご先祖様に、毎日お願いしてるんだ!
・・・私を守らなくていいから、ヒロくんに他の女近づけないでよねっ
てね☆
写真の中のお祖父ちゃんのお顔が日に日に痩せ細っていくように見えるけど、そんなわけないよね!だって写真だもん☆
さーて、次は本命のお・ま・じ・な・い!
・・・かしこみかしこみかけまくもかしこき
あまつかみくにつかみやおよろずのかみがみよこのちをまもり、このひとのよをてらすみかむいにつつしみてもうしあげたてまつりますみじゅくなるわがみなれどこころをただしけがれをはらいこのねがいをここにささげますどうかわがおもうひとの・・・
かしこみ、かしこみ。
うん!上出来!
今のはね、神様にヒロくんを守ってねーっていうのと、私のこともっと好きになってほしいなーっていうの、神様にお願いする言葉なんだー☆
・・・叶えてくんなかったら、マジで許さないけど。
さてさて、今日もご飯をちょっぴりだけど食べて、学校に向かうよ!行ってきまーす♪
梅雨ももうすぐ明けるらしいね。
最近はね、ヒロくん!
さっきおまじないした人、皆知ってるかと思って説明してなかった!テヘ☆
・・・当たり前すぎて面倒だったし
ゴホン
ヒロくんは、私の最愛の彼ピッピなのだ♡
入学式の日からこんな私に優しくしてくれて、もうLOVE2000って感じで今に至る?みたいな感じのイケメンオブザイヤー特別賞なの!!
もう、本当に大好きなんだ。
その彼と、なんと!
最近は毎日!一緒に登校しちゃってまーす☆
エヘベロ☆
待ち合わせは、学校のある駅の出口!
来ないかな、来ないかな、来ないかな、来ないかな、
来ないかな、来ないかな、来ないかな、来ないかな、
来た!
そうだよね、そろそろだよね!
今日はいつもよりちょっぴりお寝坊だったから、1本遅い電車だと思った!
おはよう、ヒロくん♡
「おはよう、ヤミコさん。」
えへへへ、エヘヘヘ
大好きな匂いがするぅよぉ♡
「あの、ヤミコさん腕に抱きつくのはちょっと、」
そんな必死に頭を引き剥がそうとしないでぇー。
ヒロくんバッテリーが切れそうなんだよぉ。
充電させて?
駄目なの?
・・・そうなんだ。
あーあ、さみしいな。昨日駅でバイバイしてからというものまるでその半身を引き裂かれるかのようなせつない思いで夜を過ごしてちょっと盛ったごめん昨日はアニメ見てたからヒロくんの音聞こえなくてしょぼんまぁそれはいいとして私としては一晩中でも一緒にいたいやいやいやいやてぃやなわけで・・・ってちょっとヒロくん待ってよー!!
・・・最近のヒロくんは、読んで字のごとく雨が降ろうが風が吹こうが、な時がある。
特に、この間の七夕のお祭りの時から。
もしかして、晴れに出来なかったの、怒ってるのかなぁ?
・・・どう思う?
「あーしに聞かんでヒロトに聞けよ。」
この娘はキョウコちゃん。
私の数少ない同性のお友達。
この娘も雨風気にしない、珍しいタイプ。
めっちゃギャル。
だけど、体育大会のバレーでネイルが取れちゃったみたいで、
それからネイルしてるの見たことないな。
無理させちゃったかな。
「これはいいんよ。気分転換。」
そう?
「んで、ヒロトがそっけないって?」
そうなの・・・前はもっと、色々構ってくれたんだけど、最近は暖簾に腕押しって感じで。
「ヤミコ手玉に取られててウケる。」
笑い事じゃないよぅ。
そりゃ、困らせるつもりは無いんだけど、
もっとおしゃべりしたくて。
「あほくさ。」
な、なによう。
「ヒロトがそっけなくなるなんて、理由一つしか無いっしょ。」
一つしか無い・・・
え、それってもしかして
「んなことより、これ見てみ。マジウケる。」
・・・なんでこんなおバカな動画ばっかり見つけてくるのー!?
ヒロくんがそっけなくなる理由。
一つしかない?
キョウコちゃんは茶化してたけど、
私の経験上、それは、
一番認めたくないことで。
一番見たくないことで。
一番、避けたかったこと。
ヒロくんは優しい。
今日も一緒に帰ってくれた。
でも、やっぱりそっけない。
こっち見てくれなくなったな。
ふと、昔を思い出してしまう。
まるで、あの時みたいに。
あの時
うぷ
・・・気持ち悪い。
全部戻したと思うのに、まだ気持ち悪い。
胃液だ。
もう出るものないよ。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
うぷ
『ヤミコちゃん怖い』
『バケモノだ』
『ごめん、付き合うとか、もう無理だ』
『近づかないで』
うぷ
胃液が無くなったら、今度は血。
次の日の朝。
ヒロくん、なんだかいつもと違う。
何か決心したような、吹っ切れたような、
真っ直ぐな目。
私もダル絡みばかりしてたわけじゃない。
わかる。
ヒロくん、決めたんだ。
何かを決めたんだ。
放課後、ヒロくんは生徒会室に向かった。
やっぱりそうだったんだね。
やっぱり、ナオコちゃんがいいんだ。
分かってた。
ずっと好きだったんだもんね。
だから私は縛った。
彼氏彼女の関係を、20万円払って。
でないと、あなたを独り占め出来なかったから。
・・・結局何の意味もなかったなぁ。
嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
助けて
誰か助けて。
いつもの帰り道。
確かめたい、でも怖い。
・・・生徒会室で何してたの?
「ケジメつけてきたの。ヤミコさんが心配するようなことは・・・怖い怖い怖い怖い」
震える手で傘を構える。
返答によっては、このまま・・・このまま!!
「・・・あの、さ、ヤミコさん。」
・・・なぁに?
「僕、その、ヤミコさんに言いたいこと、あって。」
来た
来てしまった。
それはきっと
きっと・・・
お別れの言葉なんでしょ?
嫌だ
「え?」
聞かない。
「は?」
絶対、絶対聞かないから!!!!
私は逃げ出していた。
その言葉を聞きさえしなければ、
私たちはずっとこのままでいられるから。




