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第七十六話 お菓子作り。


「それじゃ作りますか。みんな準備はいい?」


「ん」


「もちろん! 早く作ろ」


「それじゃ、まずはさっき買った果物を細かくカットしてくよ」


 各自選んだ果物を配って一口大にカットしていく。

 林檎は皮の部分も少しみじん切りにしておく。


「ローゼ大丈夫?」


「今話しかけないで!」


 どうやら真剣に梨を切ってるみたいだ。横からのぞいてみると悲惨な現場が出来上がっていた。


「食べる部分残ってないじゃん……」


 剥いた皮には半分ほど身がついていて、種の方も凄い事になっている。

 ここまで不器用なのは想定外だ……。


「ローゼストップ」


「なに?」


「それじゃ食べるの無くなっちゃうから」


「……」


「見本見せるからよく見ててよ」


 ローゼの梨を奪い取って手本を見せる。


「こうやって斜めに差し込んで真ん中で止めて反対からも同じように切れば綺麗に種が取れるよ」


「同じやり方のはずなんだけど……」


「今見た通りにもっかいやってみて」


 言われた通りに梨の種を切るローゼ。斜めに差し込んで……。


「ストップ。その時点でだめだよ。もっと上から切らないと身がなくなるでしょ?」


「はい……」


 種だけでかなりの時間をかけて教える羽目になってしまった。手も切りそうでヒヤヒヤするしローゼは本当に包丁を持たせない方がいいかもしれない。

 ルネさんが最初に会った時に拒否していた理由がようやく実感できた気がする……。


「次は皮ね……。こやって包丁を動かしてを身を付けないようにね」


「どうしたらそんな薄くできるのかがわからないよ」


 しょうがない、あんまりあぶないからやりたくないんだけど。


「こうやって梨を持って包丁はこう」


 後ろから手を伸ばしてローゼの手を取りゆっくりと包丁を梨にいれていく。

 手を切らないようにゆっくりと切っていく。


「手を切らないでよ?」


「ローゼじゃないんだから大丈夫だよ」


「私だって手は流石に切らないからね!」


「ちょ、危ないから動かないでよ」


 下手なのを言われて怒ったのか体を揺らして反抗してくる。切れて痛いのはローゼだから別にいいんだけど、何も考えてなさそうだなぁ。


「傷つけたら責任取ってもらうからね〜」


「もしもの時は責任持ってちゃんと切り落とすよ」


「違うでしょ!? 普通そうじゃないでしょ……」


 え? なら結婚しろって? 貴族やめたら考えてもいいけど。


「ほら文句言ってないでちゃんと覚えてよ」


「もう大丈夫だから。任せて」


 ローゼから離れて1人で剥き始めるのを見守る。

 お、意外と上手にできてる。その調子で最後までおろして……。あ、切った。やらかした。


「痛っ……」


「切らないんじゃなかったの? 大丈夫?」


「油断しただけだもん……。ほんの少しだけだから大丈夫」


 指の先からぷくっと血の粒が浮かぶ。

 本当に浅いみたいだ。良かった。


「水で洗ってちゃんと絆創膏しなよ?」


「絆創膏……?」


「あー。無いよね。だよね。切ったらどうしてるの」


「深かったら布とかで巻いたりするけど」


「これくらいだと?」


「舐めとけば治るよ」


「原始的だ……。こっちでも唾つけとけば治るおばあちゃん理論はあるんだね」


「自己治癒能力でいける! てかこれ可愛くない?」


 小さい血の雫が出た指を目の前に差し出してくる。

 可愛い……? ローゼの感性はちょっとよくわからない。


「血って鉄の味するよね」


「ユウタって鉄食べてるの……?」


 何故かちょっと引かれた。理不尽だ……。


「食べるわけないでしょ。人間が鉄を食べれると思ってるの?」


「ユウタならありえる。てゆうかなんで食べないのに鉄の味知ってるの?」


「なんでって……。そう言われるとなんでだろう」


「変なの。食べたらわかるんじゃない?」


「食べても結局記憶と同じ味だから結果は変わらないよ」


「とりあえず血食べてみる?」


 指をぐいぐい押し付けてくる。

 血がつくからやめてくれ。食べないから。女の子血を摂るとかどんな性癖だ。


「ほら〜」


 執拗に推してくる。むしろ舐められたいのか?

 腕を押し返していると横から眼を光らせたアリスがローゼの指めがけて飛びついて血の浮いた指をぱくりと咥える。

 蛭がいる。養殖の蛭が現れた。


「ちょ! アリスちゃん!? 吸わないでぇ……」


「んー」


「こちょばしからぁ……アリスちゃんっ……」


 ぶんぶん振り回してアリスを引き剥がそうとする。

 なんか艶かしい声を出し始めた。


「喘がないでよローゼ」


「そんな……事言われてもっ! アリスちゃんが……」


 ちゅ〜。と音を立てて吸い続けるアリス。

 もう血は出てないんじゃない?

 そろそろ助けてやろうか。アリスの首根っこを掴んで引き離す。

 ちゅぽんっ。と音を立ててローゼの指からアリスが抜ける。


「んっ……。アリスちゃん恐ろしい……」


「アリスどうしたの突然」


「話の流れに乗った」


「なら仕方ないね」


「仕方なくないよ!」


 涙目でそう訴えるローゼ。ちょっと面白かったから満足。


「アリスは終わったの?」


「ん」


 切り終わった果物擬きを見せびらかしてくるアリス。

 やっぱりこれどう考えても野菜だよね。1つもらって口に含む。


「うへ……苦い。これ絶対野菜だって」


「かも」


「アリスちゃんの使えないの?」


「ん……」


「まぁ、他にも買っといたからこっち使おうか」


「良かったねアリスちゃん」


「ローゼの取っても見なかったことにするけど」


「そんなことはやめて……」


 結局みんな全部食べるんだろうしそんなに気にすることないのに。



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