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第三十七話 かつお節作り。


 ローゼとルネさんに枝集めに行って貰っている間に茹でていた魚を取り出して網に乗せて野風に当て冷ます。

 穴を掘り、周りを270度石でぐるりと囲い新しい網を乗せてその上にもう一度石を積み上げる。最後に木の板を乗せておもし用の石を置いたら完成だ。


「こんなのでちゃんとできるのかなぁ……。不安だ」


 色々と微調整を続けているとローゼとルネさんが帰ってきた。

 枝の乾燥を頼んで、冷ましていた魚を骨抜きを使って徹底的に骨を取り除く。

 2人が持ってきた枝を軽く折りながら穴の中に入れていく。


「この形なに?枝燃やすのにそんなに魚遠くに置くの?」


「蒸し焼きですかね?でも水は何処に……」


 残念ながら水じゃなくて煙なんだよね。

 燻製の文化は無いのかな? 保存方法として重宝されるのに。


「まぁ見てればわかるよ」


 枝に火をつけてこっそりアイテムボックスから桜のチップを少し追加する。

 前の世界の自分、色々と手を出しててグッチョブ。浅く広く中途半端にやってるおかげで物だけは揃ってるぞ。


「すごい煙でできましたよ! 大丈夫なんですか!?」


 ルネさんが凄いヒヤヒヤして落ち着かない様子でなんちゃって釜を見つめる。


「大丈夫ですよ、こういう調理法ですから。枝木を燃やして煙で燻すんですよ、そしたら食材の水分が抜けて日持ちしますよ? 後は燃やす木によって僅かに味が変わりますね」


 日持ちさせるためよりお酒のおつまみのために作るほうが一般的だけど。いや俺は飲まないからね? 断じて! 未成年だしね!!


「それで煙でもくもくしたらこれを食べるの?」


 暇なのか穴の中の枝を枝で突きながらローゼが問いかける。


「これは食べないよ。1時間くらいやったら冷まして、またこれやって3回くらいしたら完成かな?」


「それでラーメンもう作れるの?」


「一応できるけどもっと美味しいもの作るにはまだまだかな」


「一回食べてみたいんだけどー」


 わがままだなぁ。このお嬢さんは。


「今度試作して見るよ」


「早めね」


 今度手持ちのちゃんとした材料で作ってみようかな。

 それよりこの待機時間暇だなぁ。ついでだから他の燻製も作って食べようか。


「ローゼ……。いやルネさん、この卵を茹でてきてもらえませんか?」


「え? 私ですか? わかりました」


 卵を受け取って家の中に入っていくルネさん。


「ユウタ今私にやらせようとして辞めたでしょ。ゆで卵くらい出来るからね?」


「なら半熟は何分?」


「え、えーと2分くらい?」


「帰れ」


 アホな子ローゼはほっといて干してる肉を削ぎに向かう。これ完成する前に無くなるんじゃないのか? フラグじゃないからねフリでもないよ。

 あとはチーズがあれば王道3種盛りなんだけどこっちの世界には無いぽい。


 視界上でアイテムボックスの食材のカテゴリーからチーズを探す。カマンベールとさけるチーズがあった。カマンベールはもしかしたらチーズ製作に使うかもしれないから取っておきたい。

 設備を考えると何年後になるのかな。


 卵と肉とさけるチーズでいくか。

 さすがにさけるチーズを燻製にしたことがないがチーズだからいけるよね……?

 ローゼのところに戻るとルネさんが戻ってきていた。


「あ、ユウタ様卵茹でときましたが……」


「ありがとうございます」


 アルミホイルを出して網の空いたスペースに敷いてお肉チーズ卵をのせる。


「またなんか見たことないのさらっとだしてきたよ」


「別にいいじゃないの。いちいちローゼに説明してたら口が裂けちゃうよ」


 今度料理の本でも貸しておくか? でも日本語って読めるのかな。



 30分後、燻製にした3種類だけを取り出す。

 燻製された独特な香りときつね色になった食材を見て驚きの声を上げる2人。


「いい匂いーこんなのでこんなものになるんだね」


「煙を当てるだけでこんなものになるんですか……」


 ルネさんは当たり前のようにメモを取っている。これくらいならすぐに誰でもできるからお手軽に出来そうだね。あぁ、どんどんローゼの屋敷のご飯が地球に染まっていく。

 まずは卵を3つに切り分けて配る。


「はい。美味しいですよ?」


 卵を鼻に近づけて、くんくん。と匂いを嗅ぐローゼ、犬みたいで可愛い、じゃなくて何してんだ?


「この匂い癖になりそう〜食べるのもったいない」


 確かに燻製の匂いは癖になるけど食べないと意味がない。

 ルネさんはローゼと違って躊躇いもなく口に運んで咀嚼している。

 いつもみたいに質問が来るかと思ったけど静かだな。噛んだ断面を眺めたり味を確かめるように口の中で転がしたりしていた。


 いやガチ勢かよ……。いくら初めて食べるものでもそこまで気にしないでしょうに。

 あっちでフォアグラとか食べる機会があったとしてもこうはならない自信はあるな。例えが正しいのかはわからないけど。


「驚きですね……こんな味になるなんて」


 この後にまだ2つもあるんだから驚き切るのはまだ早いですよ?

次に肉を渡した。ローゼは相変わらず匂いを嗅いで


「さっきと少し違う」だの「固そう」だの言ってる。


 文句? しか言わんなこの小娘は!

 まぁ、このお肉はすでに塩漬けしてあるやつだしそんなにあれかな?



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