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小さな賢者は隠しごと 〜三歳のレオンは、のほほんと照らす〜  作者: マシュマロ羊


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待ちに待ったじゃがいもの収穫

いつも応援ありがとうございます!

プライベートがバタついているので、しばらく更新が遅く不定期になります。

でもレオンくんたちのお話は大切に書いていきます٩(。•ω•。)و

少しお待たせしてしまうかもしれませんが、のほほんとお待ちいただければ幸いです。

これからもどうぞよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)

 




 連日の快晴からレオンの菜園に優しい風が吹き、南側のエリアのジャガイモたちが収穫を今か今かと待っています。


「……明日、ほりほりね」


 隣に立つニコは、手にしたスモックを広げました。


「レオン坊っちゃま。明日のための勝負服ですよ。どんな泥んこでも大丈夫です!」


 レオンはそれを受け取ると、ぱぁっとお顔を明るくしました。


「……あ、ガォーさん!」


 レオンはガォーさんのたてがみをなでなでします。


「ガォーさん。ボク、がんばる」


「フフ……、レオン坊ちゃまと一緒にジャガイモを掘る特別なライオンさんですね」


 レオンはスモックをぎゅっと抱きしめて、ユルユルと微笑みました。

 すでに屋敷ではレオンが作った石鹸と洗濯板が大活躍して、メイドさんたちも「レオン坊ちゃま、ドンドン汚しても平気ですよ!」と、笑顔で応援しています。

 レオンはスモッグを被り、ジャガイモの畝のそばへ歩きました。


 トコトコポテポテ……!


「ガォーさん、……がんば」


 レオンが小さな声で言うと、ガォーさんの返事を待つように見ています。


「……ガォー。……フフ」


 ニコはおもわず、返事を返しました。

 自分でして恥ずかしさと可笑しさが混ざり合います。

 魔法みたいな力はないけれど、レオンの周りはあたたかな時間が流れていました。


「……おなか、すいた。……あした、ほくほくね♪」


 お腹をなでてうんしょと立ち上がり、スーッとした香りが風に運ばれてきた菜園の一角を見ると、占領せんばかりに茂っている数種類のミントがもふもふとしていました。

 更にその奥には、数人の大人に混ざりイナリもいます。

 レオンはイナリの艶やかな黒髪と、異国情緒たっぷりな服を見ていました。

 ポテポテと歩み寄り、もふもふミントに隠れるように見ると、鼻がスースーして鼻水が垂れます。


「……レオン坊っちゃま、顔がスゴいことになってますよ」


 ニコが呆れたように声をかけますが、何をしてるのか見たいレオンは、涙をポロポロ流しながら必死に我慢しました。

 ですがニコにより、レオンは回収され家路へとつくのです。






 よく晴れた翌日の朝、レオンの菜園はとても賑やかです。


 今日はいよいよ、春に植えたジャガイモの収穫日!


「レオン、準備はいいか? 汚れてもいいように、その『スモック』を着るんだろう?」


 騎士訓練の合間に駆けつけたアルベルトが、レオンの頭を大きな手でわしゃわしゃと撫でました。

 レオンはニッコリ笑い、ニコに手を借りスモックを被ります。

 レオンが「んんーっ、ずぼっ!」と勢いよく首を通すと、「ぷはぁ。でた!」と可愛いお顔が飛び出します。

 ニコが首元の紐をきゅ~っと引っ張ると、お仕立てが得意なメイドさんが作ってくれた白い布がくしゅくしゅと縮んで、フワフワな『ライオンのたてがみ襟』が完成しました。



「……ん。ボク、ガォーさんといっしょ。……じゅんび、オッケー!」


 レオンが片腕を上げ気合いを入れると、隣にいたカトリーヌが、ドレスの裾をヒョイと持ち上げしゃがみ込みました。


「フフ、そのガォーさんとっても強そうね。レオン、私にも手伝わせてちょうだい?」


「……ねーたま、いっしょ。……ここ、ほりほりするの」


 レオンはカトリーヌの手を引いて、ジャガイモへトコトコと向かいます。

 そこにはヴィクトールも、公務の合間を縫って駆けつけてくれました。


「ついに収穫だな、レオン。さあ、やってごらん」


 ヴィクトールの言葉に頷いて、レオンはスコップを土に差し込み、周りから掘ります。

 ブルーノが丁寧に作ってくれた土は、とってもふかふかで柔らかです。


「……しょ、しょ……よいしょ……。……あ!」


 レオンの小さな両手で株を掴みすくい上げ、土を優しく崩しかき出すと、そこからゴロンゴロンと、薄茶色の丸いお芋が転がりました。


「……お、おっきい! ……ころん、した!」


「おお、見事だなレオン!」


「すごいわ、本当にジャガイモができたのね!」


 アルベルトとカトリーヌが声を上げ、家族みんながレオンを囲んで笑顔です。

 離れたところからニコとマルコが、嬉しそうに手を振っています。

 ブルーノが次々と土を返すと出るわ出るわ、芋が「ゴロゴロ、ゴロゴロ」と、まるでおもちゃ箱をひっくり返すように、立派なまん丸いイモが次々と躍り出ました。


 その様子をヴィクトールは絶句し、積み上がるイモの山を、あんぐりと口をあけて見ています。


「……ブルーノ。それは本当に、我が家の庭で獲れたものか? 市場の最高級品でも、これほど太くて丸い形は見たことがないぞ」


 通常ジャガイモは土の中でひしめき合い、形が歪んだり、小粒が混ざったりするものです。

 しかしレオンの指示通りに施した「離した追肥」と「高い土寄せ」が、個々のイモに十分な栄養と、自由な成長スペースを与えたのです。


「……これは私の腕ではなく、全てレオン様の指図によるものです」


 ブルーノは泥だらけ賢者(レオン)を誇らしげに見つめました。

 当のレオンは、積み上がったお芋の山を前に……。


「……ふわぁ、いいね。おひしゃま、あんがとう!げんきな、土も、いいこ!」


 レオンはお礼を言うと、嬉しさが爆発したように、スモックのガォーさんを揺らしながら小さな身体で、キャッキャと手を叩き動かしながら踊り始めました。


 首元の白くて柔らかいたてがみ襟を「ふわふわ」と弾ませ、スモックのガォーさんを揺らし足踏みしながら踊る小さなライオン。


 そのあまりの愛らしさに、先ほどまで絶句していたヴィクトールも思わず目元を緩め、使用人たちはほんわかと胸を温かくします。


「お芋さんいっぱい♪お料理もいっぱい♪」


 レオンが抱き上げたイモは、三歳の腕では抱えきれないほど大きく、その出来はきめ細かく輝いていました。


 ──六畳の菜園の南側、収穫できるスペースはほんの少しでしたが、そこには家族みんなの笑い声が溢れています。

 レオンはスモックのガォーさんに見せるようにして、のほほんと笑います。


「……ボクのおてがら!……ガォーさん……ほくほくよ」


 その様子を見ていたヴィクトールは、周りの庭園を見渡しました。

 こんなにレオンが楽しそうに、植物を育てているのです。


(……六畳では狭すぎるな。もう少し、レオンの庭を広げてやるか)


 誇らしげに笑うレオンを見ながらヴィクトールが、そんな計画を立てたことを知らずに、レオンは次のジャガイモを探しに、またウンショと掘り始めました。

 アルベルトも始めての芋掘りに大笑いしています。横ではカトリーヌが、芋の太さを自慢して、そんな二人にレオン「ウマウマよ♪」と、自慢します。

 両方からレオンは頭を撫でられ嬉しそうです。


 そんな子どもたちの姿に、ヴィクトールは呟きました。


「……エレーナ、俺たちの子どもは逞しいな」


 幸いカトリーヌには聞こえませんでしたが、女心を分かれというように、ヴィクトールの周りを一陣の風がバラの香りの香気を伴って、ヴィクトールの額を小突くように吹き抜けるのです。







 菜園のすぐそばに真っ白なテーブルクロスを広げ、料理長マルコの料理が置かれました。


「お待たせいたしました。レオン様ご希望の品、まずはこちらです!」


 マルコが大きな皿を置くと、そこには収穫したばかりのジャガイモが、皮ごとこんがりと焼かれ並んでいました。


「……わぁ!ホクホクよ。……これ、ボクのほくほく焼き!」


 ヴィクトールが芋を持ち、お芋を二つに割りました。

 すると中からは真っ白な湯気が立ち上がり、甘い香りがふわんと広がります。


「熱いから気をつけなさい」とヴィクトールが言いながら少しバターをのせて、レオンはフーフーしてパクリと食べました。


「……んむ。……おいち。……ほっくほく!」


 レオンがほぉーと幸せそうに頬を膨らませるのを見て、アルベルトも、カトリーヌも、一斉にお芋に手を伸ばしました。

 テーブルの上には、マルコたちの『調味料バーム』も置かれています。

 さっそくアルベルトは、そのバームを使って、ホクホクなお芋を食べました。


「本当にアツいな♪外はこんがり、中は驚くほどホクホクだ!」


「自分で採ったお芋が、こんなに美味しいなんて……」


 カトリーヌもパラパラと塩をかけ、フォークで食べて感動しています。

 マルコはさらにジャガイモを使い、クリーミーなポタージュと、お肉と煮込んだ料理を運んできました。


「……ねーたま。……これ、のんで?」


 レオンはニコと一緒に用意した、ガラスのピッチャーを指差します。

 中には透明なお水と、西のエリアから摘んできたばかりのミントが入っていました。


「あら、良い香り♪レオンが摘んでくれたミントなのね」


 カトリーヌがミント水を注いで一口飲むと、口の中がスーッとして、爽やかな風が通るようです。


「……お口、スッキリ♪」


「確かにリセットしたな。レオン、どれも最高のおもてなしだ」


 ヴィクトールが温かな眼差しでレオンに言うと、アルベルト、カトリーヌも満面の笑みでお礼を言いました。

 レオンはなんだか誇らしさでお腹いっぱいです。


「レオンには、明後日はじめての旅行だな」


「フフ……、お菓子をたくさん準備しましょ。レオンのミント水もよろしくね」


「うん、ボク、ミント水する♪」


「レオン、ちょうど領地は、羊の毛刈りをやっている。いろいろ楽しみがあるはずだ」


 レオンは嬉しくなって、ミント水のグラスを掲げ、何度も「かんぱーい!」を繰り返し、ニコも、ブルーノも、マルコもその輪に混ざり、全員で笑い合いながら、庭の豊かな恵みを心ゆくまで味わいました。


「……ボク、つくってよかった。……またおいしい、しよっと♪」


 賑やかにみんなで舌つづみをうったじゃがいもパーティーは、大盛況で終わりを迎えます。

 領地旅行はいよいよ明後日、レオンは今からワクワク胸を踊らせるのでした。









読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

たくさんのブクマやポイント嬉しいです( * ॑꒳ ॑*)

とても励みになり、がんばろうと思いです。

メールもとても嬉しくネタになることも♪

誤字脱字報告ありがとうございます。(о´∀`о)

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