表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな賢者は隠しごと 〜三歳のレオンは、のほほんと照らす〜  作者: マシュマロ羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/73

ベネディクトは戦慄する。死神犬の懐き

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

お待たせいたしました。

ひとときのほほんとよろしくお願いします。

のんびりお付き合い頂ければ幸いです( * ॑꒳ ॑*)

 





 地下牢の湿った静寂の中で、エドワードはふと思い出したように問いかけました。


「そういえばブルーノ。レオンの様子はどうだ? 」


 その問いに、ブルーノは少しだけ視線を泳がせ、困ったような笑みを浮かべました。


「それが……最近は準備や調整に手を取られ、屋敷に帰っていないのです」


 それを聞いたエドワードは、愕然とします。

 あの『やらかし』レオンを、気がつけば騒動の種を仕込んでいる『無自覚』レオンを、コイツは現在放置しているらしい。

 エドワードからジーッと見られ、ブルーノも改めて考え込みました。

 ブルーノとて心配ではありますが、周りにたくさんの目があるのです。しかし……


((……嫌な予感しかしない))


 エドワードとブルーノの脳裏に、同じ言葉が浮かびました。


「大丈夫だ。ヴィクトールがいるし、周りも優秀な大人たちが、それこそ数えきれないほど、レオンの周りにいるだろう?」


 エドワードが納得するように言い、ブルーノに同意を求めます。しかし……。

 ブルーノの目が、泳いでいました。

 あのブルーノが……、エドワードを見て笑ったのです。エドワードは恐怖しました。


 そんなエドワードを放置して、ブルーノは考えました。ヴィクトールはむしろレオンの行動に振り回される筆頭ではないだろうか?

 周りの大人たちとて、レオンの可愛らしさに毒気を抜かれ、結局は「やらかし」を笑顔で見逃す集団に成り下がってはいないか……?


 考えれば考えるほど、二人の表情は深刻なものへと変わります。

 そんな二人に、大司教ベネディクトが訪ねてきました。


「……お二方いかがなされた?まるで天災が降ってくるような顔をして?」


 二人して顔を引き攣らせ、互いに目で何やら訴えているようです。


「フム……。二人して何をそんなに考え込むのかわらかぬが……」


 ベネディクトが、目を細め楽しげに笑いました。

 二人の胃は現在キリキリと締め上げられ、レオンが『やらかし』てないか心配です。


「いや、……実は、あの、な……、そう、ブルーノの『レオン不足』症状だ。こいつ……、最近はこの件で付きっきりだろう」


 無理やり話を取り繕い誤魔化したつもりが、当の本人がぬけぬけと真面目な顔で呟いたのです。


「……ここ数日、お側にお仕えできておりません。レオン様は……、私がいなくて、寂しがっておられないだろうか……」


 一切の冗談を含まない響きが、地下牢の澱んだ空気に伝いました。

 かつて返り血を浴びても眉ひとつ動かさず、敵対者を冷酷に淡々と、処理し続けた「死神」の面影などありません。

 ベネディクトはかつてブルーノの切れるような殺気を思い出しながら、目の前の男の言動に激しい眩暈を覚えました。

 ベネディクトの困惑を余所に、エドワードはブルーノへ隠しきれない軽蔑と呆れ、そして「お前、本当に自分の言葉がどう聞こえてるか分かってるのか?」という冷ややかな視線です。


 ブルーノがレオンしか()()()おらず、それ以外の人間――たとえそれが旧知のヴィクトールやベネディクトであっても――、「レオンを守るための盾か、あるいは背景」としか認識していないような男です。


「誤魔化したつもりが、真実だった……」


 エドワードは自分が吐いた「レオン不足」という言葉が、今のブルーノに嵌っています。

 かえって彼の「ワンコな気質」を浮き彫りにしてしまいました。シラケきった眼差しを向けますが、当の本人はどこ吹く風です。


「寂しいのはお前だろう。レオンは今頃のほほんと楽しそうに、お前のいない菜園を満喫している」


 エドワードの容赦ないツッコミに、ブルーノは一瞬、本当に一瞬だけ、捨てられた仔犬のような表情を浮かべます。

 その様子をベネディクトは戦慄しました。

 かつての死神をここまで骨抜きに、いや、ある意味、質の悪い方へと塗り替えてないか?


「……エドワード。その、レオンというのはエレーナの……?」


 ベネディクトの疑問に、エドワードは力なく頷きます。


「エレーナがブルーノを守護者として、レオンをコイツに託したおかげで、この『 死神』は現在子育て中だ。いつも何かしらやらかすんだな」


 ブルーノは二人の視線を無視して、捕虜たちの処遇へと意識を戻しました。


「さて、……レオン様が寂しがる前に、この闇の者たちを教育し、商会へ送り出す準備を済ませてしまいましょう」


 殺気すら感じさせる爽やかな笑顔で、ブルーノは袖をまくり上げます。

 その背中を見ながら、エドワードは確信しました。

 レオンが「やらかす」以上に、それを守護し、甘やかし、暴走させるこの大人たちこそが、本当の意味での「爆心地」なのだと……。






 その頃……。

 飼い主のレオンは木箱の上に立ち、真剣な面持ちで小さな手鍋を覗き込んでいました。


「ひとつ、ひとつ、ひとつ……。よし、これでいいはず」


 目の前の器には材料がありました。

 レオンはニコに手伝って貰いながら、小さな木べらを使って、小鍋でそれらを混ぜ合わせます。


(……あ、これ、ちょっと柔らかすぎるかな?)


 指先に少しつけて冷ましてみると、それは「ペタッ」というよりは「しっとり」とした高級な軟膏のような質感でした。


「いれて……、火バイバイ、して……まぜまぜして……完成!……ニコ」


「テストですね、レオン坊ちゃま」


 リネンの布の端切れに薄く塗り広げます。


「ぺたっ、て。これでいいはず」


 レオンは満足げに手のひらを見つめました。

 指先が少しヌルヌルしますが、それも研究の証です。


「なんか変な感じがします。レオン坊ちゃま」


「効いてる?」


「……まだわかりませんが、垂れますね」


「やっぱり……、しっぱい……」


 遠目では、レオンとニコがのんびり座って、おしゃべりして過ごしているように見えます。


「ウフフ、可愛い」


「そうね。相談かしら?」


 通りかかる使用人たちは、この二人が怪しい研究をしている事に気づかず、平和な時間が流れていました。


 のんびりと様子見をしていると、レオンは空を眺めています。


「……じゃがいも」


「……丸々だったみたいですね。少し掘り出しますか?」


 ニコがボーッと空を眺めているレオンに言うと、「もうすぐ、ツユなりそう」と言い首を振ります。

せっかくのじゃがいもが、病気になりダメになるからです。


「「……そういえば!」」


 二人が同時に言葉が出し、顔を見合せます。

ぼうとしてたら、閃きがありました。


「……レオン坊ちゃま、休憩最高ですね」


「うん。お休み必要。問題かいけつ?」


 とりあえず、やってみないとわかりません。

 ニコとのんびりお野菜も見回すと、あんなにとったはずのミントが、わんさかと茂っていました。


「……レオン坊ちゃま、ミント増えましたね」


「とってもげんきよ。……ミント不死身くん」


「……坊ちゃま、難しい言葉を、本当にどこで覚えて来るんですか?不死身って……」


 ニコは困惑してレオンに聞くと、頬に人差し指を当て「う~ん?」と考えています。


「……アタマに、ポンッて出てくるの」


「……?頭にポンですか?」


「そう、……ボク、スゴい子だから」


 なんの気負いもないレオンの坦々とした様子に、ニコは思いました。


(……これが本当の天才なのかと)


 世の中には常識が通じないことがあるものです。

 レオンのボク、スゴい子発言は、配慮された言葉だったようです。







読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

たくさんのブクマやポイント嬉しいです( * ॑꒳ ॑*)

とても励みになり、がんばろうと思いです。

メールもとても嬉しくネタになることも♪

誤字脱字報告ありがとうございます。(о´∀`о)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ