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小さな賢者は隠しごと 〜三歳のレオンは、のほほんと照らす〜  作者: マシュマロ羊


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コソコソしなくていい

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

お待たせいたしました。

ひとときのほほんとよろしくお願いします。

のんびりお付き合い頂ければ幸いです( * ॑꒳ ॑*)

 





 抜けるような青空の下庭の隅っこには、小さな背中と大人になりきれない背中が、二つ並んで揺れています。


「ニコ、今日も草むしりよ」


「はい、レオン坊っちゃま。やりましょう」


 レオンとニコは今日ものんびり草むしりをしながら、周りを忙しく動く使用人たちを見ていました。


「ニコおしごとは?」


「旦那様から、みんな同じ料理でいいと言われたので、マルコさんがレオン坊ちゃまに付いてるようにと」


 ブルーノもバタバタと忙しく、他の使用人たちもまた忙しいため、心配したマルコが気を利かせたのです。


「フフフ♪おかげで時間気にせずお手伝いできますね、レオン坊っちゃま。さっそく材料集めですか?」


 レオンから話を聞いたニコは、ワクワクしていました。

 そんなニコの様子に、レオンもうれしそうにです。


 いつもなら「レオン様、何をされているのです?」と来るはずの侍女たちも、最近は遠くの廊下を歩いているだけ、その足取りは重く、目も少しうつろです。

 楽しそうに笑い合うレオンたちを見て、『微笑ましいわぁ』としか認識できていません。

 屋根の上に並べておいた草が、お日様の光を浴びてカラカラに乾いています。


 ニコが麻袋に入れると、カサカサという音がしました。


「つぎはあっち」


 二人は先日ゴミを燃やした穴に向かうと、山の部分を触り、ヒンヤリした表面の一部を壊します。


「レオン坊っちゃま、コレですか?」


 用心のために棒を二つ使い、黒い塊を挟んで中から取り出しました。

 ゴロンと地面に落とした塊を見て、レオンは喜びます。


「そぉ!それー!」


 いつもならレオンの背後にブルーノが控え、止めるか、詳しく聞こうとしたはずです。

 しかし彼は今忙しくていません。

 今現在レオンの周りにいる大人たちは、連日大忙しです。


「あら、レオン様。今日も元気ね……」


「ニコもお手伝いかしら? えらいわね……」


 目の前で三歳児が黒い塊を抱っこし、ニコが穴から塊を取り出していても、通りかかる大人たちは不審に思わず、そのまま通り過ぎていきます。

 なんか面白い遊びを始めたのね、とみんな思うだけでした。


「ニコ、……おめめに、はきないの」


「……ですね、ってレオン坊っちゃま。……本当によく、難しい言葉を知ってますよね……」


 遠目から見る大人たちは、歩き方に生気が乏しいゾンビです。

 そんな大人たちの姿を見て、二人は決意します。

 今の彼らを止めるものは、……何もありません……。





「ふたつ……」


 ニコに小さな木べらを動かしてもらい、白色の塊をひとつ、手鍋の中に放り込みました。

 先ほど作ったものは優しいけど、すぐに落ちてしまいます。

 せっかくキレイな絨毯を、汚すわけにはいきません。


「もう、……ひとつ、ん、ひとつ……ん~?」


 比率を変えた液体は、先ほどよりも重たく、糸を引くような質感に変わります。

 温度が下がれば布に塗り見た後、レオンは自分にあてがいました。


「……ぺたっ」


「レオン様!!」


 ニコが焦ったように叫びますが、レオンの目は丸くなりました。

 吸い付くような、確かな手応え……!!


「おぉ……くっついたぁ♪」


 振っても、バタバタと地団駄を踏んでも、剥がれません。


「これならだいじょうぶ」


 満足げに頷くレオンでしたが、ふとあることに気づきます。

 試しにシートの端を指でつまみ、剥がそうとしたところ……。


「……ん、ぐぐ……っ」


「レオン様!大丈夫ですか?!」


 無理やりベリッ!と剥がしました。


「痛いっ!」


 三歳の柔らかな肌には強すぎます。

 涙目になりながらレオンは思いました。


「……とうさま、……一番おつかれ。……がっしりなら、へっちゃら?」


 慌てるニコを尻目に、レオンは首を傾げ、その「超強力仕様」を見つめています。









 先日ブルーノが語った計画は、いままでの常識を根底から覆すものでした。

 しかし傍らに『常闇の鎌』No.2のゼロンがいて、気にする事なくブルーノは淡々と作業を進めています。


「捕らえた彼らを引き取り、商会を立ち上げるとは……、本気なのだな」


 エドワードがゼロンを睨みつけながら、たずねました。場を弁えているのかゼロンは、薄笑いを浮かべて上品に佇んでいます。

 ベネディクトもエドワードと同じような表情を浮かべていました。

 聖職者の言うべき事ではありませんが、通常、暗殺者や密偵はほぼ使い捨て同然だからです。


 未だ狐疑不決な彼らにブルーノは、もう一度詳しい内容を説明しました。

 教会側にも、その内容は関係するものです。


「泥石鹸ですか?」


「ええ……配合が極めて難しく、致死量の毒をミリ単位で扱う彼らなら適任です。指先の感覚の鋭い彼らなら、すぐに配合できるようになるでしょう」


 ブルーノの話には確かな説得力があり、まだエレーナの手記には、隠し玉があるらしい……。


「……フフフ、本当に誰の描いた絵なんだろうね?こんな楽しい事を思いつくなんて!フフフ……、今から合うのが楽しみだよ、ブルーノ」


 ゼロンが淑やかな笑みを湛えたまま、ひどく熱を帯びた声で言いました。

 ゼロンが執着しているのは、タケノコからエグ味を抜いてみせた人物です。

 その異常なまでの知的好奇心を、彼は瞳の奥にチラつかせています。


「……黙れ」


 ブルーノの声に、一瞬だけ剥き出しの拒絶が混じりました。

 その様子から、当主のヴィクトールですらブルーノを大人しく御せるとは思えず、ベネディクトはブルーノを動かす何者かが、気になりました。

 しかしエドワードは思い当たるのか、愕然としブルーノに詰め寄ります。


「……おい、まさか?!お前正気か!絶対に許さんからな、俺は!!」


 しかしブルーノは面倒くさげにエドワードを眺め、このゼロンが消息不明とされる天才薬師ゼロニアであることを告げました。


「なっ……お前が、ゼロニアだと……!? 他国の王宮から突如消息を絶ったという、あの、天才薬師!」


 明かされたゼロンの正体に、エドワードは驚愕します。


 闇へ堕ちた研究者は、過去を懐かしむ風でもなく、品の良い微笑みを崩さぬまま、喉の奥でクックッ……と愉しげに笑い、エドワードの動揺を観察しています。

 ここから出て新たな知恵に触れるためなら、いくらでも猫を被るつもりなのでしょう。


 ブルーノは思い描くように、静かに目を細めました。


「襲撃に使った者が、巧妙な罠を『手土産』に、依頼主の元へ舞い戻る……。皮肉が効いてよろしいかと思いませんか」


 ブルーノは仄暗い微笑みを浮かべ、未来予想をするように語ります。

 その言葉に、ベネディクトはハッとしました。

 今後また騒動が起こるたびに、侯爵家や教会が矢面に立つのはあまりにリスクが大きい。

 しかし、武力も狡猾さも、それにゼロンのような者たちがいるならば……、彼らが商会という名の盾になれば話は変わります。

 襲撃者だった怪物たちが、今度は守り手となる。それどころか――。

 ――最高の罠を『手土産』にして、依頼主の元へ舞い戻ることになる。

 ブルーノが組織しようとしているあまりに冷酷で完璧な訳あり集団のプロセスに、ベネディクトは深く舌を巻くのでした。








湿った風が吹き抜けるたび、若葉を揺らす風がさらさらと光の粒をこぼします。

見上げる緑の天蓋から、ぽつりと小さな雨粒が落ちてきて、足元に目を向けると、青々と茂ったじゃがいもの葉が、黄色にほぼ変わり始めました。


「……もうすぐホリホリなの。でも、ブルーノいない……」


「レオン坊ちゃま、ブルーノは近いうちに戻って来ますよ。約束は必ず守る方です。のほほんと今は待ちましょう。まだまだ青い葉はありますから」


しょんぼりするレオンに、ニコは優しく頭を撫で慰めました。

辺りを見渡すと、レオンの背丈をとうに追い抜いたトウモロコシは鋭い葉をピンと伸ばし、野いちごは宝石のようにきらめいてます。

菜園の様子をのんびり見ていると、マルコもじゃがいもの葉を見ながら、レオンへ近づいてきました。


「まだかかりそうですね、レオン様。今年は雨の降り始めが早そうです」


少し湿った空気の中で、彼のチュルチュルな赤毛が、水分を吸ってさらにチュルルン赤毛になっています。


(……あ、まきまきが、ふえてる)


マルコの頭の不思議な変化に目を丸くし、自分のぽわぽわとした柔らかな髪を手で触り、もう一度マルコの頭をジーーーッと見つめました。


(……ボクのあたま、あめふったら、チュルルン、なるかなぁ?)


ブルーノがいない寂しさが、マルコの愉快な髪型のせいで吹き飛び、レオンは雨を待つ菜園で首を傾げています。






読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

たくさんのブクマやポイント嬉しいです( * ॑꒳ ॑*)

とても励みになり、がんばろうと思いです。

メールもとても嬉しくネタになることも♪

誤字脱字報告ありがとうございます。(о´∀`о)

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