閑話─世界に一つだけの「プピ・シャキン……」転生者は監察する。①
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現在ストーリーを執筆しております。
再開まであともう少しだけお時間をください……!
感謝を込めて、本日は閑話をお届けします。
今現在レオンたちは?の風景ストーリーです。
ひとときのほほんとよろしくお願いします。
のんびりお付き合い頂ければ幸いです( * ॑꒳ ॑*)
侯爵邸を彩る初夏のバラ園は、今がまさに美の絶頂にありました。
亡き母が愛した「緑の遺産」であるバラたちは、情熱的な紅になり、淡い真珠色に染まり、初夏の風に乗って濃厚で甘い香りを菜園まで届けています。
そんな芳香の渦の中心で、庭師のブルーノは静かな「処刑人」のように、バラと対峙していました。
……シャキン、シャキン。……パラリ。
レオンは菜園の土の上にぺたんと座り込み、その光景をジーーーッと瞬きもせずに見つめていました。
ブルーノの大きな手で、鋭い剪定バサミが銀色の光を跳ねさせます。
シャキン、シャキン♪
リズムよく軽快な音が響くたびに、役目を終えた花殻や、主役の邪魔をする余分な枝が、重力に逆らわずパラリ、パラリと足元に落ちていきました。
(……まよい、ない。……すごいねぇ)
レオンの脳裏には、ふと不思議な「ちしき」が浮かびます。
『風を通し、光を招き、次なる芽吹きに力を注ぐ。切ることは、殺すことではなく、生かすこと……』
ブルーノはかつて、闇の中で刃を振るった隠密、それと同じで、一切の無駄がない動きでバラを整えていく……。
太い枝を落とすと、今度は懐から小さなハサミを取り出しました。
チョキチョキ♪ チョキ、チョキ♪
指先ほどの繊細な隙間に刃を差し入れ、細かな芽や傷んだ葉だけをピンポイントで弾き飛ばします。
そしてまた、大きなハサミに持ち替えて、シャキン、シャキン……。
バラの鋭い棘さえも、ブルーノの硬く鍛えられた指先を恐れるかのように、彼を傷つけることはありません。
整えられたバラの木は、それまでよりもずっと誇らしげに、青い空へと背を伸ばしたように見えました。
「……ブルーノ、おわった?」
レオンがのほほんと声をかけると、ブルーノはハサミを鮮やかな手つきで収め、膝をつきました。
「はい、レオン様。このバラも、これで今夜の雨を心地よく浴びられるでしょう」
「……ん。きれいになった。バラさん、……わらってるねぇ」
レオンの小さな指先で、整えられたばかりの瑞々しい葉をなでると、そこにはブルーノが切り開いた「光の通り道」が、キラキラと初夏の陽光を透かしていました。
バラの甘い香りに、切り取られたばかりの茎の青い匂いが混ざり合い、レオンの鼻先を優しくくすぐります。
マルコが焼いたクッキーを最後の一枚まで平らげると、フーッと小さく満足げな息をつきました。
穏やかな風が吹き、レオンのスモックの裾を優しく揺らします。
のんびりとブルーノが淹れてくれたハーブティーの香りを嗅いでいたレオンでしたが、ふと蒼い瞳をキラリと輝かせました。
「……あっ!」
レオンは、ブルーノの腰にぶら下がっている大きな剪定ハサミをじーっと見つめます。
大きなハサミが二つに分かれ、ブルーノの手の中で鋭い光を放ったあの瞬間……。
「……ブルーノ!」
「はい、坊ちゃま。お茶のお代わりでしょうか?」
ブルーノが穏やかな声で膝をつくと、レオンは小さな指をぴしっとハサミに向けました。
「……ボクも、シャキン、ほしい」
「……は?」
思わず聞き返したのは、ヴィクトールです。
初夏の穏やかな風に誘われ、じつはレオンと一緒にお茶をしていました。
「シャキン、って……レオン、それは庭師の道具だぞ?」
「ちがうの。……カチャッ、てして、シャキン! ……ってなったの」
レオンは短い両腕を胸の前で交差させ、そこから外側へとはじくように広げてみせました。
ブルーノが刺客を一瞬で制圧した時の、あの双剣を抜くポーズです。
「……ブルーノ、シャキンした。……カッコいい。……ボクも、やりたい」
ブルーノは顔を真っ赤にして、石のように固まっています。
レオンはじっとブルーノを見つめ、にへらっと笑いました。
「ブルーノといっしょ。……ボクも、シャキン、ほしいなぁ」
上目遣いでヴィクトールを見つめ、期待に満ちています。
「……シャキン、か」
ヴィクトールは苦しげな顔で、ブルーノと顔を見合わせました。
ブルーノとしては、レオンの瞳に「恐怖」ではなく、自分への純粋な「憧れ」を向けられ嬉しいのです。しかし……。
「……坊ちゃま。あれはとても重くて危ないものにございます」
3歳の幼子に持たせていいモノではありません。
「……う~ん、ボク持てない」
レオンはぷっくりした自分の手を見ました。
「それに動かせますか?」
「……ムリ」
振り回されてコケる自分が想像できます。
しかし欲しいものは欲しいのです。
シャキン♪っと、カッコよくキメッとしたい!
「う、う~ん……、グスッ」
思い通りにいかなくて、涙がジワジワと浮かび上がります。
それを見て慌てるブルーノは、ヴィクトールに助けを求めます。
しかしヴィクトールにはどうすることも出来きず困っています。
さすがに親バカでも、我が子に危険とわかっているモノを、おもちゃとして渡せる訳がないのです。
レオンは涙でぐしゃぐしゃになりながら、一生懸命に考えました。
(ボクでも持てるシャキン……、ボクでもブンブンできるチョキチョキ、シャキン……)
するとホワホワ……と、なんとなくひらめくモノがあります。
「……ん?……なら、ボクのは、……安全で軽い?、プピーって音がなるのがいいなぁ……」
頭を右に左にと傾げながら、レオンには珍しく難しい顔で言いました。
「……プピー、ですか?」
……どこか、……遠くを見るような目でレオンは言います。
「……ん!……プピーってなって、シャキン、ってなるの。……ボク、かっこいいする♪」
レオンの中で、はっきりと完成図が浮かび上がったようです。
「強くてカッコいいブルーノ」とお揃いで、でも自分でも扱える音が鳴る特別なシャキン!
「……わかった、レオン。世界一カッコいい『シャキン』を職人に作らせよう……」
苦味潰した顔で頷くヴィクトール。
「……わぁい!とうさま、ありがとう♪」
レオンは嬉しそうに、ヴィクトールの胸に顔を埋めてグリグリとしました。
ブルーノは自分の武器が「憧れ」の対象になったことに嬉しさと戸惑いの中で、どうするつもりかとヴィクトールを見ます。
すると、……途方に暮れ「どうしょう……」と顔に書かれたヴィクトールがいました。
「「……」」
二人はどうするべきか考えながら、喜ぶレオンの頭を無言で撫でるヴィクトールと、それを呆然と眺めるブルーノがいました。
「伝説の隠密」のハサミが、この小さな賢者の手によって、「平和なパトロールの道具」に生まれ変わる日が来るのでしょうか?
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