閑話─世界に一つだけの「プピ・シャキン……」転生者は監察する。②
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もう少しかかりそうです(。>ㅅ<。)ゴメンなさい
現在ストーリーを執筆しております。
再開まであともう少しだけお時間をください……!
感謝を込めて、本日は閑話をお届けします。
今現在レオンたちは?の風景ストーリーです。
ひとときのほほんとよろしくお願いします。
のんびりお付き合い頂ければ幸いです( * ॑꒳ ॑*)
どうしようかと、二人はああでもない、こうでもない、とアイデアを出し合います。プピーとなるということは、音が出るという事です。
「……笛を布でつつむのか?」
「ヴィクトール様、音がなりません」
第一プピーっと鳴るというのは……。
「草笛か……?」
閃いたようにヴィクトールが顔を上げます。
ブルーノはその一言に、真面目な顔で考え込みました。
「確かに草笛は音が出ますが、坊ちゃまが『シャキン』と振るたびに草を口にくわえるのは、少々無理がございましょう。それに枯れてしまえば音が出ません」
「そうだな……。レオンは『振ると鳴る』ことを望んでいるようだ。布の中に笛を仕込んでも、振った風圧だけで音を出すにはかなりの速度が必要だぞ。ブルーノ、お前の速度なら鳴るだろうが、三歳のレオンには……」
「……厳しいですね。私が思いっきり振れば『ヒュオッ!』と鳴らせますが、坊ちゃまが求めているのは、もっとこう……愛嬌のある『プピー』です」
いい大人な男性二人が、必死に「プピー」の音源について大真面目に議論している光景は、客観的に見ればかなりシュールです。
そこへひょっこりと顔を出したのが、ニコでした。
「あのー……旦那様、ブルーノさん、さっきからどうされたんです?レオン坊っちゃまに関する悩みですか?」
「ニコか。実はレオンがな……」
ヴィクトールが事情を説明すると……、ニコは手を叩き、懐からあるものを取り出しました。
それは彼が厨房で時々使う、ソースを吸い上げるための「革製のスポイト」でした。
「 この袋の部分をギュッと押すと、空気が抜けて音がするんです。これの先に、俺が実家で弟たちに作ってやってた『鳥笛』の芯を差し込めば……」
ニコは手早く作業し、革袋をギュッと握りました。
「――プピッ!」
庭になんとも気の抜けた音が、けれどレオンが喜びそうな可愛らしい音が響きました。
「これだ……!」
「これです、ヴィクトール様!」
ヴィクトールとブルーノの目が、かつてないほど鋭く輝きました。
「これを元にして、何度でも鳴るように工夫が必要ですが……」
「ニコ、その案から、プピィーと鳴る布製の剣を作れるか?」
「がんばります!レオン坊ちゃまが握るたびに、中の空気が押し出されて鳴る仕組みを作ります。さらにブルーノさんのハサミみたいに合体させる部分は、強力な紐ボタンで『シャキン!』と合体できるように工夫します!」
ニコは鼻の頭をこすりながら、すでに頭の中で「プピ・シャキン」の設計の構想を作り上げていました。
「よし、ニコ。材料は最高級のものを使え。……レオンがその『プピー』で満足してくれるようにな」
ヴィクトールは、ようやく肩の荷が下りたように溜息をついて笑いました。
ブルーノもまた、自分の殺傷武器が「プピー」という平和な音に変換されていく未来を、どこか誇らしげに(そして少しだけ複雑な心境で)受け入れたのです。
「……よし、やるぞ! 坊ちゃまを最高に笑顔にする『聖剣』を作るんだ!」
厨房の隅で、ニコは山積みの端切れ革や生地と格闘していました。
「レオン様のイニシャルを刺繍しようぜ」
「また刺繍、私がしてあげるわよ」
ニコは喜んで、キャンパス生地を渡しお願いします。
さらには庭仕事の手が空いた他の使用人たちも集まってきました。
「ボタンはこっちの硬い木を削って作っておこうか?」
いつの間にか厨房の裏は、レオンに内緒の「極秘工房」と化していました。
レオンの「プピーって鳴るシャキンがほしい」という一言を受けて、ニコもですが、使用人たちの創作魂に火がついたのです。
「このスポイトをそのままじゃあ、吸い上げが悪いから、こうすれば……」
ニコは厚手の硬い革を薄く削り、V字に折り曲げて弾力のあるバネを作りました。
これを骨組み(フレーム)としてスポイトの革袋の中に仕込み、笛を差し込んだ隙間を熱した松脂で丁寧に塞ぎます。
「……あ、今の音、ちょっと低すぎる。もっと『プピィ!』って、可愛い音にならないか? 」
言われたを事を何度か調整し、皆で可愛い音を探ります。
「こうすれば内側から革を押し広げてくれるので、握る力も強くなるし、手を離した瞬間にまた空気を吸い込んでくれます。後はこのV字の頂点に、実家で弟たちに作ってやった『鳥笛』の芯を差し込めば……」
ニコが完成した剣の柄をギュッと握り込むと……。
「――プピーッ!」
厨房裏になんとも気の抜けた力強い音が響きました。
「これならレオン坊っちゃまがどれだけ乱暴に振り回しても、中の骨が折れる心配はないよね」
プピーの音がなる仕組みは出来ました。
後はシャキン、布剣の部分です。
先に刺繍をして貰い、プピーを仕込み、シャキンのギミックを作る!ゴールは目の前です。
「ええっと、まずはこの中に空気を溜める袋を入れて……。ああっ、紐を通す穴がズレた! これじゃ『シャキン』って合体した時にライオンの顔が逆さまになっちゃう!」
慣れない針仕事に、ニコの指は傷だらけです。
そこへお盆を持った筆頭メイドのアンナが通りかかり、呆れたようにため息をつきました。
「もう、見てられないわね。ニコ、その縫い方じゃ、坊ちゃまが一度振り回しただけで中身の綿が飛び出しちゃうわよ。……貸しなさい、私が脇を縫ってあげるから」
「えっ、アンナさん! いいんですか!?」
「勘違いしないで。坊っちゃまの為よ」
アンナが鮮やかな手つきで針を動かし始めると、今度は洗濯係の老女がやってきて、ふかふかの羊毛を持ってきました。
「ニコ、中身はこれをお使い。弾力があるから、ギュッとした時に一番いい音が鳴るはずだよ」
夜も更けランプの火が小さくなる頃、ニコの目の前には、なんとかカタチにし、愛情をこれでもかと込めた布製の双剣が出来上がりました。
「……できた。皆さんありがとうございます。レオン坊っちゃまの『プピ・シャキン』完成しました!」
数日後、隈を作ったニコが誇らしげに立っていました。
「ヴィクトール様……お待たせしました! 使用人一同の知恵と愛が詰まった、特製『プピ・シャキン』です!」
差し出されたのは、アンナが縫った丈夫な布の剣に、ニコが調整した笛が仕込まれ、お婆さんの羊毛でパンパンに膨らんだ、世界に一つの武器『プピ・シャキン』。
ヴィクトールがその持ち手を軽く握り「――プピーッ!」と、高く澄んだ最高に可愛らしい音が響きました。
ヴィクトールの瞳が、ハッと見開きニコを見ます。
「……凄いな」
感心し嬉しそうにヴィクトールは、何度でも「プピ、プピー♪」とおもちゃを握り鳴らしながら確かめます。
確かにこれなら安心してレオンへ渡す事が出来る!
「よくやった、ニコ。助かったぞ!」
おもちゃの双剣を大事に抱え、晴れやかに笑うヴィクトールでした。
エドワード殿下とアルベルトのプレゼント騒動で、ヴィクトール自身からはレオンに、労いの贈り物ができていません。
だから今回無理をして、レオンの希望の贈り物をあげたかったのです。
「レオン!おまえ専用の新しい武器『プピ・シャキン』だ。……さあ、手を取りなさい」
ヴィクトールがうやうやしく『プピ・シャキン』を、レオンに誇らしげに差し出します。
「う?……す、スゴい!できた?!できちゃった!うわ、うわぁー!!」
片方づつ黄色と赤の色違いの柄が入った布製の双剣です。
繋ぎの部分にはライオンマークが入っています。
(……うん、これ、これだよ!3歳児の武器は、これくらいの『おもちゃ』でいいんだよ)
レオンは自然と満足げに頷くと、さっそくその剣をギュッと握りしめました。
……プピーッ!
間の抜けた音に、レオンの目がまぁるく見開かれます。
もう一度、……今度は両手でギュッと!
……プピィ、プピィーッ!
(な、なにこれ、……たのしい!エンドレスでできるやつだ♪)
アタマの中でたのしげな声が聞こえます。
たしかに「プピィと音が鳴り、ボクが鳴らした!」という喜びが胸いっぱいに広がり、なんだか身体がウズウズします。
レオンはプピ・シャキンを手に入れました!
レオンは夢中で、大きな木のボタンに紐を掛け、「シャキン!」と二つを繋げます。
連結部もしっかりしていて、3歳のレオンが振り回してもびくともしません。
「……ブルーノ! 見て、できた! プピ・シャキン!」
「……はっ。……なんと!その一撃(音)、私の鼓膜を優しく貫きました……! ニコ、よく作ったな、スゴいおもちゃだ……」
ブルーノが大げさに耳を押さえて膝をつくと、後ろで見守っていたアンナや使用人たちも、ニコと一緒に「やった!」と小さくガッツポーズをしました。
テクテク、ポテポテ♪
フワッフワの髪を揺らしながら、ニコの周りを「プピプピ」と音を鳴らして走り回ります。
「ニコ、ありがと!とうさまにきいたの。 ……えい、えい!」
「あはは、坊ちゃま、やめてくださいよー! 擽ったいです!」
ニコの傷だらけの指を見て、レオンは小さな手でぎゅっと握りしめました。
「みんなもありがとう。ボクうれしい♪」
屋敷のみんなの「想い」が形になったその剣は、レオンにとってどんな本物の刀剣よりも強く、輝いて見えるのでした。
「ブルーノ! 必殺チョキチョキ、シャキン!」
レオンは、ポテポテとブルーノの足元に駆け寄り、脛に「プピ・シャキン」双剣をポフッと押し当てました。
……プピィッ!
「……ぐはぁっ!? なんという……なんという威圧感(プピ音)……! 坊ちゃま、その一撃、……私の心(笑いのツボ)を貫きました……!」
ブルーノは必死に笑いを堪えながら、大げさに膝をつきます。
「伝説の隠密」の威厳はどこへやら、今は「プピーッ」という間の抜けた音に合わせて倒れるのが、彼の新たな任務(遊び相手)になりました。
「にーさまも! 必殺プピー!」
「わああ、助けてくれ! レオンの『鳴る聖剣』に包囲されたー♪」
トコトコ、ポテポテ♪
庭中を響き渡る気の抜けた「プピプピ」という音と、レオンの楽しそうな笑い声は、今日も元気に「平和なパトロール」に励んでいます。
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