レオンは考える。……ん?
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プライベートがバタついているので、しばらく更新が遅く不定期になります。
でもレオンくんたちのお話は大切に書いていきます٩(。•ω•。)و
少しお待たせしてしまうかもしれませんが、のほほんとお待ちいただければ幸いです。
これからもどうぞよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
アルベルトは満足そうなレオンの顔を見ながら、レオンがなぜ『あっち』にこだわるのか気になっていました。
レオンはイチジクのコンポートを、幸せいっぱいに食べています。
「レオン、それお兄様が採取なさったのよ。朝早くから果樹園へ行かれてね」
「にいちゃ、おいちーの!」
美味しそうに食べるレオンの姿を、カトリーヌはのんびり眺めながら話します。
カトリーヌは湧水でいれた紅茶に、イチジクシロップで甘みを足していました。
この何気ないほのぼのとしたひと時が、最近までなかったことがウソのようです。
アルベルトはしみじみとこの幸せを実感するのでした。
今朝領民が持ってきたヤギミルクを飲んで、テーブルの上にコップを置きました。
レオンもコンポートを食べ終わえて、同じように飲みぷはぁ♪としています。
「レオン、新鮮なミルクだ。互いに身長をギュンギュンと伸ばそうな!」
レオンの頭をわしゃわしゃ撫でて言うと、レオンは「ギュンギュン♪」と言って、アルベルトを見て笑いました。
「もう、お兄様ったら! レオン、白いおヒゲがありますわよ。フキフキしなさいな」
そう言ってカトリーヌがナフキンをレオンに手渡します。
ナフキンで口元をフキフキしているレオンを見ながら、アルベルトは肘をテーブルにつき、頭を撫でつつ尋ねてみることにしました。
「あのさ……。レオンはなぜ『あっち』にこだわったんだ? たまたまあの『泥』を見つけたけれど、レオンはそれが目的じゃないんだろ?」
そんなアルベルトの問いに、レオンは首を傾げて「……あっち?」と聞き返します。
「そう、あっち」とアルベルトが言葉を返すと、レオンは「う~ん……」と少し悩んだ後、パチンと手を叩いて話し始めました。
「……ボク、みんなたいへん、思ったの。ニコもバタバタ、がんばって、テオたちも『うーん……』ちてるの」
レオンは眉を八の字に寄せた困った顔をし、一生懸命に言葉を紡ぎます。
「確かにあんまり進んでないわね。でもレオンが教えた事で、成功率が4割になったと聞いたわよ」
カトリーヌは優しく微笑み、紅茶をコクリと飲んで喉を潤わせました。
「そうだぞ。今まで雲を掴むような状況が、現実的になったと喜んでいたぞ」
アルベルトも頷きながら姿勢を正し、首を傾げレオンの悩んでる顔を見ています。
「うーん……、ボク、足りない、思うの。……だからちょうど、プシュプシュって音ね。ポコポコかな?思って、見たかったの」
レオンは小さな両手を耳の横でパタパタとさせながら、必死に音と見た目を表現しようと表現を模索しました。
その様子を腕を組んで、レオンの言葉をひとつひとつ頭の中で反芻しながら思案を深める、アルベルト……。
「レオン、プシュプシュは現象の音かしら?ポコポコは見た目なのね?」
カトリーヌが首を少し傾げて優しく促すと、レオンはポンッと胸を叩いて身を乗り出します。
「ちょー!ボク、泥さんの、ニコニコ、見せたかったの!」
「お兄様、ニコニコは『リズム感』ですわ。泥石鹸には一定の『リズム感』が必要なのです!」
ピンと閃いたようにカトリーヌが人差し指を立て、考えているアルベルトの方へ視線を送りました。
「配合員予定の方々も『一定に混ぜて熱を保つ』ことを知ってますわ。ただ……、どの状態を『正しく一定化なのか』感覚が掴めずにいたようです。だからレオンは……あの『灼熱の沼地』を見せようとしたのね?」
「あい! 泥さんのポコポコ、ニコニコ、いっしょ!」
レオンが身を乗り出して大きく頷きます。
「あの沼地の弾け方や音、滑らかな揺れ(ニコニコ)……。あれを見れば『あ、この固さと温かさにすればいいんだ!』って、一目でわかりますわね」
アルベルトは「そうか……!」と手を打ち、鳥肌が立つのを感じました。
言葉や理屈だけではテオたちに伝えきれなかった「正しい状態の目安」を、レオンはあの沼地を見せることで、感覚的に理解してもらおうと考えていたのです。
「あい!ねえさま、てんたいなの!」
レオンはパァッと顔を輝かせ、小さな両手を高く突き上げてカトリーヌを称賛します。
「まぁ、レオンたら!フフフ……ありがとう♪」
自分を「天才」だと無邪気に讃えてくれる可愛らしい弟に、カトリーヌは愛おしそうに頬を緩めると、お茶目にパチンとウィンクしてみせるのでした。
そんな中、まわりの流れから完璧に取り残された人物がいます。
その名は二度寝から目覚めた当主ヴィクトール、またの名を『闇の魔王』。
彼は今、食堂の扉の前で中に入ることもできず、コソコソと盗み聞きする状態になっていました。
ヴィクトール自身は、子供たちが模索していた事業の問題解決の糸口を自力で見つけたことに、心底驚き、感動したのです。
(な、なんという事だ!我が子たちは天才、いや、天使の生まれ変わりだったとは……っ!)
感極まって食堂の扉に耳を押し当てるヴィクトール。
……しかしふと気配を感じて振り向くと、そこには遠巻きに自分を見つめる使用人たちの姿がありました。
使用人たちはまるで、不可思議な珍獣でも見るような目を向けています。
「……ん?なんだお前たちは?」
ヴィクトールが怪訝そうに尋ねると、その中から使用人の一人が勇気を振り絞り、恐る恐る尋ねてきました。
「も、申し訳ございません。あ、あの旦那様、で、……ご、ございますでしょうか……?」
「「「……」」」
その場にいる使用人たちが一斉にヴィクトールを注視し、ゴクリと唾を飲み込んで真剣な表情で返答を待っています。
面影はあるものの、あまりにも劇的に若返った当主の姿に、誰も確信が持てずにいたのです。
泥パックの効果でシワひとつない肌とハリを取り戻し、20代後半の美貌へと変身した上、二度寝で睡眠もバッチリ取った今の彼は、肌ツヤも完璧な絶好調の若々しさに溢れ、知らず知らずのうちに『若返り』をさらに更新していました。
――しかし、ヴィクトール自身は二度寝の追加効果など知る由もありません。
その状況になり、ヴィクトールは「……あっ!」と声を出し、慌てて口を押さえました。
(し、しまった! 盗み聞きしていたのがバレたか!? いや待て、そもそも『若返りすぎて誰だか認識されていない』のか……!?)
当主としての威厳を保ちつつ「私だぞ!」と名乗るべきか、あるいは盗み聞きを誤魔化しながら親戚筋になるべきか――ヴィクトールはどう返答しようかと冷や汗をかきながら悩むのでした。
使用人たちは黙ったまま、返事を待っているようです。
重苦しい沈黙と視線に耐えかねて、ヴィクトールがさらに冷や汗を流していた――その時でした。
──……ガチャリ。
食堂の扉が開き中から、アルベルト、カトリーヌ、そしてレオンが出てくると──。
「「「……っ!?」」」
若返りすぎたヴィクトールと真っ正面から対峙することになり、三人の動きがピタリと止まります。
何が起こっているのか理解出来ずに、アルベルトはぽかんと口を開け唖然とした後、……情けない声を上げました。
「ち、父上……!?!?」
「まぁ……っ!?」
カトリーヌも目を極限まで見開いて絶句し、目の前の『20代にしか見えない美青年』と父親の面影を交互に見比べながら戸惑っています。
そんな中レオンだけが、トコトコと前に出て、真剣な顔でヴィクトールを見るのです。
「う? とうさま? ……ん?にいさま……?」
小さな首を右に左にと傾げ、悩んでいます。
「うーん」と声を漏らし、幼い顔に似合わないほど、眉間に深々と皺を寄せて考え込むレオン。
そのあまりの可愛らしさと健気さに耐えかねたヴィクトールは、保身の葛藤など一瞬で吹き飛びました。
そして思わず膝をつき、レオンをぎゅっと抱きしめます。
「……父様だぞ、レオン!」
「あ! やっぱり、とうさま!うわぁ、スゴいの!とうさまが、にいさまなった♪」
抱きしめられたことで確信を得たレオンは、パァッと満面の笑顔を咲かせるのでした。
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