みんな聞いて♪レオンは報告する。
いつも応援ありがとうございます!
プライベートがバタついているので、しばらく更新が遅く不定期になります。
でもレオンくんたちのお話は大切に書いていきます٩(。•ω•。)و
少しお待たせしてしまうかもしれませんが、のほほんとお待ちいただければ幸いです。
これからもどうぞよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
領主邸の広間に、山の散策を終えたアルベルトとレオン、そしてバルトが戻って来ました。
重厚な扉が開くと、そこにはヴィクトールの他に、なぜか王都にいるはずのガツとシクの姿があります。
「ただいまー! ……あっ! ガツとシクだぁ!」
レオンはバルトの腕から下へ降り立つと、ぱぁっと花が咲くような笑顔で駆け寄りました。
「うわぁい!ボク、うれしい♪」
いつものように、足元へ無邪気にまとわりつくレオンに、ガツは苦笑を浮かべます。
そしてレオンをヒョイと抱き上げ、膝の上に乗せました。
「……よぉ、坊っちゃん。元気だったか?相変わらず親父さんを困らせていたようだな」
ガツはレオンのふわふわな髪を優しくなでると、口角を上げてウィンクし、どこか面白そうに笑みを深めます。
横ではシクが伏せ目がちにレオンの頬をそっと撫で、「……レオン様。……元気?」と静かに問いかけました。
そんな二人の問いかけにレオンは、ニコニコと満面の笑みを浮かべます。
アルベルトは挨拶した後、何度かシクとは言葉を交わす関係から、レオンの『お宝たんけん』を一緒に手伝ってくれないかとお願いしました。
「……とにかくレオンは、危ない所へばかり行きたがるんだ。今日も『死の溜まり場』に行こうとして、心底肝を冷やした。……俺一人では、もう心配で堪らないんだ」
アルベルトの話を聞いたシクは、小さく頷きます。
「……レオン様の好奇心、止められない。……護衛、やる!」
シクはレオンの自由行動を考え、後ろに控えることしました。
その傍らではバルトは、セバスに向き直ると静かに一礼します。
「セバス、ただいま戻った。本邸の護りは盤石か?」
「お帰りなさいませ、バルト。いかがでしょう、レオン様の『探検』は。なにも、……いえ、あえて聞き返すまでもないですね。その表情からすべてを物語っております」
「ああ。……レオン坊ちゃまの慧眼には、驚かされるばかりだよ。お陰で、いろいろと楽しむ事ができた。フフ……次回もぜひお付き合いさせて頂こうと思う」
プロの兄弟執事が、静かに報告を交わす背後で、ヴィクトールはガツからレオンを譲り受け、膝の上に乗せて話を聞いていました。
「レオン、どんな『たんけん』だった? 怪我もなくてよかったよ。それで、なにか面白いものは見つけたのか?」
ヴィクトールはレオンを優しく抱擁し、背中をポンポンと叩きます。
その子供特有のほんの少し高い体温に、フッと肩の力を抜いて癒やされていました。
レオンはヴィクトールの胸元で、キラキラとした瞳を輝かせます。
「とうさま。ボク 、お宝みつけたぁ。だから、みんな、おいで♪スゴいお宝なの!」
レオンはさっそく、『お宝』の場所へ誘いました。
自然いっばいの山中であたたかな湯に浸り、のんびりと周りの景色を眺めながら、身体をじんわりとあっためるのです。
そしてその後は、地熱を使ったあたたかな料理……。
そんな光景を想像したせいか、レオンのお腹が「キュイ!」と鳴きました。
「ハハハ……、山を登ってたくさん『たんけん』したんだ。そりゃ腹も空くだろう。ならばまずは食事からだ。『たんけん』の話はその後ゆっくり聞くとしよう」
ヴィクトールはレオンのお腹をポンポンと叩き、「ご飯だぞ」と教えると、「お腹さん、ペコペコと言ってるの」と、レオンは恥ずかしそうに応えます。
そんな二人のようすを微笑ましそうに眺めながら、皆は食堂へと移動したのです。
さて食堂では、季節特有の賑やかさと、芳醇な香りに満ちていました。
今夜の主役は、清流でニコと本邸の料理人たちが腕を競い合い、その結果大量に釣り上げたニジマスです。
ローズマリーとタイム、ニンニクの香りを纏い、乾煎りトウモロコシ粉をたっぷりとまぶして焼き上げました。
黄金色の衣をまとって食欲をそそる香ばしさを放っています。
サイドを固めるのは、新じゃがのコロッケ。
中にはベーコン、人参、甘い新玉ねぎを入れ、香草にタイムとバジル、隠し味にニンニクとヤギチーズが濃厚なコクを添えています。
こちらもトウモロコシ粉をまぶしてカリッと揚げられ、一口頬張れば素材の旨味が口いっぱいに広がるでしょう。
料理の合間を縫うのは、早取りトマトと新玉ねぎのスープです。
トマトの爽やかな酸味に新玉ねぎの瑞々しい甘みが溶け合い、仕上げに散らされたバジルの香りが、濃厚な食卓を清々しく整えます。
食卓には、ヴィクトール、アルベルト、レオン、そして招かれたガツとシクが座っています。
カトリーヌは知人宅へのお呼ばれで、あいにく不在です。
その背後では、セバスとバルトが完璧な所作で、主たちのグラスへ静かにワインを注いでいきます。
注がれる液体が描く細い線は、まるで銀の糸のよう……。
二人は音もなく立ち回り、食卓の心地よい緊張感と温かな空気を、優雅に整えて行きました。
「……うわぁ、おいしそう!」
レオンが料理を目の前にして目を輝かせると、ガツはさっそく焼きたてのコーンブレッドに手を伸ばし、感嘆の声を上げます。
「しかしすげぇな。……侯爵家の料理人たちの魚を釣る腕はたいしたもんだ。新鮮な川魚は最高の一品だぜ」
シクは相変わらずマイペースに食を進め、コロッケが気に入ったのかおかわりをお願いしている……。
アルベルトはレオンのニジマスの骨を取り除き、食べ易くしていました。
ヴィクトールは兄弟の仲の良い様子と、集まった者たちの満足げな笑顔を見渡し、一安心です。
「レオン、それでお宝探しで、どんなものを見つけたんだ?……父様にも教えてくれないか」
主たちが和やかなひと時を過ごす中、背後に控える兄弟執事一バルトとセバスは、その穏やかで楽しげな空気の中を、優雅に泳ぐように給仕をこなしていました。
そんな中ヴィクトールは楽しげに問うと、レオンはキラキラとした瞳で話すのです。
「お山でちゃぷんしたの。ヌクヌクの、パチパチよ。のほほんして、湯気もわもわね……。ボク、みんなと一緒に、ほりほりして、ウマウマしゅるの!」
その言葉に、食卓が一瞬静まり返りました。
ヴィクトールは目を見開き、アルベルトはスプーンを止めて顔を上げます。
「……ヌクヌク、ちゃぷん……? まさか、山の中で温かい水場を見つけたのか?」
「そっか!あれも地熱だから一緒なんだ。なら豚の蒸し焼きが、また食えるぞ!!」
ヴィクトールの疑問をよそに、アルベルトはとても嬉しげです。
レオンも「うん!」と元気に頷きました。
「……なるほど、自然の地熱を利用した蒸し料理ですか。湯気がもわもわと立つほどの……。レオン様、それは素晴らしい発見ですね。ならば料理人に伝えねばなりません。ニコは大忙しですね」
給仕の合間にその報告を聞いたセバスが、執事の仮面を忘れ、早々に先の算段を始めると、その背後にいたバルトは目を丸くします。
「セバス、まさか、地熱で料理をするということか? ……あっ! それより旦那さま、おっしゃる通り温かな湯処で間違いございません。私も密かに『足湯』を堪能させて頂きました。ぜひ旦那様も、レオン坊ちゃまのご招待お受け下さいませ」
バルトは少し呆れつつも、すぐに執事の顔に戻り、ヴィクトールに詳細を報告しながら進めました。
その話を聞いたガツは面白そうに笑い、大きな手で自分の顎を撫でさすります。
「坊っちゃんは、面白いお宝見つけたようだな。ならば喜んで、ご相伴に預からせて頂こう! 確か……どっかの国に、山の恵を用いた極上の湯処があるって話を、聞いたぜ」
「……自然の湯処は、極楽湯。イナリ、言ってた」
シクは食べ過ぎたお腹をさすり、ガツの話に補足しました。
それを聞いたヴィクトールは、その『極楽湯』の話に興味を惹かれ、レオンの『ヌクヌク』への期待に胸を膨らませるのです。
レオンの『たんけん』は、翌日さらなる賑わいをもたらす予感がします。
大人たちは、まだ見ぬその山の恵みと、レオンが計画している「ウマウマ」の話で、ディナーの夜は更けていくのでした。
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