レオンは『ヌクヌク』なお宝をさがす。
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プライベートがバタついているので、しばらく更新が遅く不定期になります。
でもレオンくんたちのお話は大切に書いていきます٩(。•ω•。)و
少しお待たせしてしまうかもしれませんが、のほほんとお待ちいただければ幸いです。
これからもどうぞよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
陽光が水面を照らし、心地よいせせらぎが響いています。
「バルト、ここ入っていい?」
「ええ、流れも緩やかですし、水も冷たいですよ」
レオンはアルベルトの手から離れると、チャポチャポと水の中へ足を踏み入れました。
バルトが地図を確認する傍らで、アルベルトは川辺の畔でのんびりレオンを見守ります。
レオンは川底にある石を拾い、何やら「うんしょうんしょ」と動かしていました。
浅瀬の水中に座り、小さな石を一つ、また一つと積み上げ、器用に囲いを作っていきます。
アルベルトはその様子を、ぼんやりと懐かしげに眺めていました。
(……石遊びか。魚を捕まえるのかな)
水面から見える小さな魚は、時々底を突っつき、緩やかな流れに身を任せて泳いでいます。
バルトもまた、二人を遠目で見守りつつ、次の行程を頭の中で組み立てていました。
水底から時折プクプクと泡が上がり、レオンが石を動かすたびに、水の流れがわずかにせき止められ、微かに変化していきます。
底の石を拾っては、囲いの高さを少しずつ上げていくレオン。
「こっち、……うーん……? あっち……」
細心の注意を払い積み上げているのか、チョンと口を尖らせた真剣な表情です。
その様子を穏やかな目で面白そうに眺めていたアルベルトに、背後からバルトが歩み寄りました。
「楽しそうですね」
飲み物をアルベルトに渡し、バルトは微笑ましげにレオンを見つめます。
「……だよな。このまま満足してくれりゃいいんだが……」
「アハハ……、ご自身はいかがでしたでしょうか?」
「そりゃ、無理だ。まだまだ遊びたりん!」
苦笑を浮かべながら、アルベルトはカップを受け取り、レオンを呼ぼうとしていました。
「できたぁ♪」
歓声を上げたレオンは、満足げに腰を上げます。
積み上げられた石の輪は、レオンがすっぽりと収まるような絶妙な大きさで完成していました。
小さな手をパチパチと打ち鳴らし、レオンはとても嬉しそうです。
三歳児の仕事とは思えないほど、石はしっかりと積み上げられていました。
レオンは囲いの石を一つ外し、そこから川の水を中に流し込みます。
「おぉ〜!」
小さく声を上げて足踏みをすると、そのままチャプンと浸かりました。
気持ちいいのか、レオンはニンマリと笑い、身体を揺らしてご満悦です。
「ウフフーン♪ ボク、できたぁ!」
その可愛らしさと言ったら。アルベルトとバルトは悶絶し、四つん這いになって撃沈してしまいました。
「追い込み漁じゃなかったんだな……」
「レオン坊ちゃまはプールを作られたのですね」
川の浅瀬に作られた小さなプールを眺めながら、レオンの自由な発想に二人して頬を緩めます。
「にいちゃ、バルトも、チャプン、しよ!」
浸かったままのレオンが両手を上げて二人を誘います。
そんな小さなレオンの招待に、アルベルトとバルトは顔を見合わせて笑うと、お呼ばれすることにしました。
「にいちゃ、どーぞ♪」
レオンに促されるまま、アルベルトはその囲いの中に足を下ろします。
ひんやりとした川の水に浸かるつもりでいたアルベルトの表情は、一瞬にして固まりました。
「……ん?」
─── 触れる水が、温かい?
冷たい清流の中にありながら、その輪の中だけは、まるで湯船のようにじんわりと温もりに満ちています。
それに加えて、シュワシュワとした微細な泡が足を優しく包み込み、山歩きで疲れた筋肉をじわりと癒やしてくれるのです。
「アルベルト様、いかがされましたか?」
怪訝な表情のアルベルトに、バルトが近寄り、レオンが作った石の輪に手を浸しました。
そして、彼は小さく息を呑んだのです。
「……これは……どういう……?」
三人の視線は、不思議な現象を見せるレオンの手元へ集まりました。
しかし、レオンは石の囲いの外側で泳ぐ小魚を眺めながら、「あったかいねぇ」と無邪気に微笑んでいるだけです。
アルベルトは呆れを通り越し、思わず笑みがこぼれました。
のんびりと景色を眺め、湯船のようにのほほんと浸かるレオンは、この上なく幸せそうです。
その様子に誘われるように、アルベルトはレオンの近くに石を積み、自分専用の小さな『足湯』を作り始めました。
バルトも苦笑しながら手慣れた手つきで石を並べ、しれっと自分専用の『足湯』を完成させて楽しみます。
「……極楽だな」
周りの景色は手つかずの自然そのもの……。
この環境で足を湯に浸すという贅沢に浸りながら、横を見ればレオンが満足げに湯を揺らしています。
(……風呂かぁ。……それも、いいな)
アルベルトは、ゆったりと湯に浸かるレオンの横顔に問いかけました。
「なあ、レオン。お前の言った『お宝』ってのは、コレのことか?」
レオンは小首を傾げ、「う〜ん……?」と大きな瞳を揺らしました。
「アワアワも、お魚さんも、お宝よ? でも……あっちもなの」
レオンの指差したのは、先程までいた赤茶けた危険な岩場の方角……。
「……そっかー」
アルベルトは遠い目をして、山の中腹を見上げます。
あちら側では、地の絶叫ならぬ、地の嘆きがあちこちで響いているはずです。
今のこの極上の休息は、あくまで長い冒険の入り口に過ぎないのでしょう。
「また『たんけん』しゅる!あのお宝、もっとキラキラなの」
レオンは水面をぺちぺちと叩きながら、楽しそうに笑います。
アルベルトとバルトは顔を見合わせ、同時に小さく溜息をつきました。
「「……はぁ」」
どうやらこの愛らしい賢者は、まだまだ諦めていないようです。
次はどんな無茶な要求をして、どんな極上の時間を味わわせてくれるのか。
二人はある種の覚悟を決め、その不思議な冒険の続きを受け入れることにしました。
のんびりと山の草木のさざなみと景色を眺め、鳥のさえずりを聞きながら湯に浸る贅沢に酔いしれていると、レオンは突然立ち上がり、反対側の河原を頭に手を翳し、目を細めてじぃ───っと眺め始めました。
「……アルベルト様、またですか?」
隣でバルトが面白そうに囁くと、アルベルトは頭を抱えて低く呻きます。
「にいちゃ、あっちぃ!」
──レオンセンサーから、出動要請です。
レオンが指差した反対側の河原は、先ほどまでいた場所とは明らかに空気が違っていました。
川と山の境界線に沿って、湿った砂利のあちこちから、ふわり、ふわりと細い湯気が立ち上っています。
まるで山が静かに、呼吸をしているかのように……。
バルトはゆっくりと立ち上がると、足の軽さに驚かされました。
あの不思議な足湯には、身体を芯から癒やす確かな効能があるようです。
バルトは浅瀬の川を慎重に渡り、対岸の様子を確認しました。
草木は普通に青々と生い茂り、鳥たちもごく自然に降り立ってさえずっています。
裸足のまま河原を進み、湯気が立ち上るエリアへ近づくにつれ、足元に伝わる石の熱が場所によって微妙に異なるようです。
「アルベルト様、大丈夫です!」
バルトは大きく手を振りながら、胸の奥で今度はどんなお宝が眠っているのかと、歳を忘れ純粋な好奇心が疼いていました。
アルベルトが手を差し出しましたが、レオンはそれを少し嫌がって、トコトコと一人で先へと行ってしまいました。
湯気の上がる河原へ着くと、レオンは石をぺちぺちと叩きながら、確認して回ります。
「ここ、ちょんとヌクヌク。……ここは、ちがう」
その真剣な横顔に、アルベルトは苦笑しつつ、深く見守ることにしました。
「レオン、あっちの石はどうだ?」
「……んー、ここもヌクヌクねぇ」
レオンがぺちぺちと「温度」を確認する姿に、ただただ感心するしかありません。
アルベルトとバルトは今のうちに、いろいろと確認する事にしました。
バルトはもう一度軽く足をならし、その軽快さに目を細めます。
「アルベルト様、先ほどの足湯の効能、驚くべきものですね。足が羽のように軽いです」
「あぁ、芯からスッキリした感じだな」
「スゴいですよね。なるほど、だから天才ですか」
「全くだ。レオン、お前は本当にすごいな。今度はぜひ、レオンみたいに全身で浸かりたいな!」
「うん、にいちゃも今度、チャプンしよ!」
レオンは石をどかしては地面を触り、また別の石を動かして確かめています。
二人はレオンの作業を邪魔しないよう、一歩引いて周囲の安全を確認しつつ、その様子を温かい目で見守っていました。
「レオン坊ちゃまは、この山がどこで呼吸をしているのか、肌で感じ取っておられるのでしょうね」
バルトはしみじみと感嘆の声を漏らします。
「ああ。……俺たちは、レオンの助手というわけだな」
二人の視線の先では、いくつかある温かな地面の場所で、レオンが今日一番の『温かな場所』を見つけたようです。
「こっちかな? ……みつけた! にいちゃ、バルト、ここね、一番よ!」
二人は顔を見合わせ、満足げに頷きました。
今日は確認だけでしたが、次回来るときは、ここで何か楽しいことが待っているでしょう。
「よし、確認は完了だな。……レオン、そろそろ帰ろうか」
「あい! ボク、大満足♪」
どうやら今日の『たんけん』は、大成功で幕を閉じたようです。
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