30,番外編1 ディークside
番外編開始です。
最近、レイ師匠がよくこの工房にアナスタシアさんを連れてくる。
夫婦になった訳だし別にいけないことではないが、アナスタシアさんはレイ師匠を崇拝している訳でもないので信徒としては不思議な気持ちになっている。
レイ師匠は宰相になってしまったから今まで以上に大変になるだろうと踏んでいたがそうではなかった。
この国では国王の仕事の1つとして宰相を指名することが入っている。そして既に国王としての権限を半分以上持っているクリストフさんがレイ師匠を指名したのだが始めはレイ師匠も渋っていた。しかし彼はあろうことか金魚で買収されたのだ。
金魚。
赤い色で尾鰭が長い、レイ師匠がよく作るガラス細工に似ている金魚。
金魚に愛着が湧いてしまったのを聞きつけたクリストフさんが工房一面に金魚入りの水槽を設置した。その結果、レイ師匠は宰相話を受けた。
ガラスに釣られないようにと釘をさしていたレイ師匠が金魚で釣られた。
知らない人ではなく友人だから良いと言っていたがそういうものなのだろうか。
きっとそういうものだと自分に言い聞かせて一瞬解いた集中を戻した。
最近ではグラスに模様を彫るだけでなく、レイ師匠のようにガラス彫刻も少しだけ作れるようになり、インテリアとして販売までできた。
それでも作れるものといえば猫や限界まで簡易的にしたお城くらいでレイ師匠のように木の下に人が2人いる、みたいな複雑な構図や細かい部分まで作り込まないといけない鹿などは作れないが。
それでもガラス作家は少なくて裕福な商家以上でないと買えないような値段だからラインスター領の真ん中に大きな守護竜のガラス彫刻をレイ師匠が置いた。
平民であってもレイ師匠のガラス細工を見ることができる特別仕様、そしてこの国の象徴を訪れた人皆に伝えられるようにという意図があるようだ。
流石レイ師匠。ガラスに関しては誰にも負けないと自負しているだけある。
僕はこれからもレイ師匠の下で勉強して、絶対に超えることはできないけれど、それでもいつかはレイ師匠に並びたいと思っている。
読んでいただきありがとうございます。
次話投稿は明日になります。




