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23,アレルの竜イオ

長らく登場していなかったイベントリが活躍します。

 今日僕は1人で世界樹に向かっていた。

 

 工房を休みにして毎日のように働いているディークを休ませてやろうと思ったが「じゃあデザイン画を描きます」とすっかり仕事人間らしいことを口にしていた。まあ好きなら止めないがな。


 久しぶりに彼に会える。この国を守るイオという名で僕に加護を与えてくれた竜。

 ラインスター領から数時間かけて魔物がうようよいる森の最奥地にある世界樹へと向かった。


 因みにその森は魔の森と言われていて奥地に行くほど魔物は強くなる。僕は竜の加護を受けているから頭の良い魔物は近づいてはこない。


 頭の悪い魔物は襲ってくるが僕に近づくと排除される。使えそうな魔物は持って帰って使おう。イベントリはとても便利だと実感する。馬車も入るし。


 今回はそこにガラス細工をしまっていた。イベントリに入れておけば何かあっても割れたりヒビが入ったりはしない。


 森に入って更に数時間かけて世界樹まで辿り着く。


 世界樹の幹にそっと手の平を近づけて心の中でイオを呼ぶ。少しすると世界樹は淡い光を放ち、懐かしい姿を見せた。あの時手当てしたままだ。


 「久しぶりだね、イオ。会いたかったよ」

 「我も同じだ。10年以上経つと流石に成長しているな」


 子を見る親のような言葉だ。


 「今日来たのは今やっているプロジェクトで色付きガラスの生産に成功してね、人化していることが多いしグラスとガラスペンを作ったからお礼に贈ろうと思ったんだ」


 綺麗にラッピングした箱を手渡すとイオは器用な手つきで包装を解く。

 

 「ほう、これは…美しくて繊細だな。制作過程を見てみたいものだ」

 「勿論良いよ。都合が合えば来てよ。歓迎するよ。弟子も紹介したいしさ」


 プリザーブドフラワーも、寝具も学校も見てもらいたい。


 ここまでアレルは発展したんだって教えたい。

 そんな僕の気持ちを汲み取ったかのようにイオは「今から行くか」と言ってくれた。


 当然僕の答えはイエスだ。イオだけが持つ特別な転移魔法でラインスター領に戻る。

 人々は楽しそうに仕事に打ち込み、資金援助を行った結果家を失う者も学を身につけられない者もいなくなった。


 「これは…凄いな。病院なんかもあるのか。アストレア王国の者達までいるのだな」


 イオが町並みを上から眺めながらため息をついた。感嘆のため息だ。


 「どの国の者も平等に機会を与える、それが今のアレル王国にある暗黙の了解みたいなものだ。妹とその婚約者は孤児院を専門的な技術を学ぶ場所にした。僕の婚約者は沢山の女性達を率いて花祭りや結婚式など花を扱う仕事をしている。アストレア王国から引き抜いた第1王子は王都で騎士になったし第2王子は僕の弟子としてガラス細工を学んでいる。案内するよ」


 僕はまず工房に向かった。

 ディークがいるので鍵は開いている。


 「あ、レイ師匠。おかえりなさい。後ろの方は?」

 「紹介しよう。イオだ。この国守護者であり僕に加護を与えてくれた竜だ」


 僕が指さして紹介するとディークも挨拶した。


 「初めまして、アレイ様を師としてガラス細工を学んでいるディークと申します」


 適応力があるようで何よりだ。アレル王国の者は竜の存在を知っているが、アストレア王国は国王以外は竜がいることすら知らない。僕も出かける時には言っていなかった。流石次期国王と言われた器だ。


 「ディークか。その顔立ちはアストレア王国の者だな。少し褐色な肌は温暖な気候のアストレア王国の特徴だ。ウチの者は皆白い肌をしているからな」

 「はい、アストレア王国ではディーク・アストレアとして第2王子を務めておりました。今は王位継承権を捨てていますのでただのディークです」


 いつの間にか僕は蚊帳の外。友人と弟子が仲良くするのは別に良いが。

 日が傾いて空がオレンジ色になってきたので下町に降りた。


 孤児院、学校、プリザーブドフラワー工房、色々な所に行った。町の者達も竜の気配には気が付くので空気を読んで会釈だけに留めてくれたのには感謝だ。


 王都に連れ出してみたかったがそれはまた別の機会にでも。

読んでいただきありがとうございます。

次話投稿は明日になります。

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