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19,入国審査改良作戦

実際の入国審査を調べていないので有識者の方すみません。

 入国審査を改良するために解析魔法の魔法陣をディークと共に書き続けて早2週間。


 「疲れたぁ〜!本当に時間がかかるよねぇ〜魔法陣って」


 何時間も複雑で細かい魔法陣と向き合っていた僕は疲労からペンを置いて伸びをした。


 「僕よりも魔力量が遥かに多いレイ師匠が疲れるなんて、魔法陣って凄いですね。僕はもう伸びをする力さえ残っていませんよ」


 ディークも掠れ声で同調する。しかし、これは普通の事ではない。

 これでも一般人が同じことをすれば一瞬で弾け飛ぶような魔力消費なのだ。そこを考えればディークもクリスにとんでも男と言われた僕と同じなのだろう。


 今日はクリスも来る予定なのに成人男性2人がぐったりしている姿を幼馴染とはいえ一国の王子に見せてはいけないような気がする。机に突っ伏して呻いているディークも元王子だが。


 「やあ、来たよ。ってあれ…?2人揃ってお疲れだねぇ。僕が来ること忘れてたの?」

 空気読めない大魔神のクリスが痛いところを突いてくる。

 

 「夢中になって書いていたらいつの間にか約束の時間だっただけだ。僕らの努力の結晶を見ろ。完成したんだぞ魔法陣が」


 僕はクリスの目の前に魔法陣を書いた紙を見せる。

 「凄!もうできたの⁉︎やっぱりとんでも男だったわレイ」


 またとんでも男とかいう意味のわからないことを言われたが疲れから訂正することもしなかった。ディークが「レイ師匠がとんでも男…」とぶつぶつ言っていたが無視の構えだ。

 

 あとはこれを入国審査会場に埋め込めば良いが、今日は流石にできそうもない。

 まだ試運転もしていないし、明日にでも試運転をしようと思う。


 翌日朝、僕は屋敷にいる全員に協力してもらい、試運転の準備をしていた。今回協力してくれたのはシュノシュワ家とその使用人、ラインスター家とその使用人、そして元王子3人衆だ。


 それぞれ出身国など必要事項を記入してもらい、魔法陣で解析する。解析したものと記入されたものが一致すれば成功、一致しなければ失敗か、記入事項が嘘かのどちらかという単純なもの。


 「それじゃあやりますか。ディーク、補佐を頼む」

 「はい、レイ師匠」


 紙を固定して2人分の魔力を込めて魔法陣をつくる。1人1人解析し、今日のところは何も問題がなかったのでひとまず安心だ。


 もしこれで1つでも不一致があればラインスターを敵視している家の回し者か失敗ということになってしまうから。


 そこから更に2ヶ月。アナの誕生日まであと1ヶ月半といったところか。


 試運転を繰り返し、劣化や精度を見ているが、1週間に1度、魔力を直接補充すれば問題なく稼働することがわかったので、僕はディークと共に王宮に来ていた。


 「久しいな、アレイにディーク。魔法陣が完成したと聞いた。こちらの方も既に準備はできているし早速取り付けにかかる。人払いは済んでいるから心置きなく作業すると良い。では行くぞ」


 陛下の声を合図に僕らは入国審査会場に向かった。

 まだ肌寒く、凍死者は出ていないものの急激に気温が下がる恐れもある。まだまだ油断はできない。


 新しく建てたらしいカウンターの奥の奥の部屋に魔法陣を置くスペースが作ってあったのでここに転移用の魔法陣を置く。ここは別に魔力補充が要らないから大分楽だ。その近くに魔力補充用の機械を置いて転移してすぐ使える状態まで設定しておく。陛下の配慮には感謝だ。


 建物の外に入国希望者が立って入国希望書を書く場所があるのでそこに重なるように解析魔法の魔法陣を設置すると体の魔力が3分の1くらい持っていかれる。解析魔法を扱えるほどの魔力量のある人がいなくて稀少魔法に設定されているのかと思うくらいのしんどさだ。


 そして1週間おきに僕とディークが魔力補充をしに来るという予定だ。

 因みに今回のことは予め国から発表されていて当然だがアストレア王国の方にも情報は届いている筈だ。後悔しても時既に遅し。


 「ディーク、昼食を食べたら工房に戻るけど城下で食べない?小さい頃よく行っていたパン屋があるんだ。さっき確認したらまだ沢山あったから今行けば売れ残ってるかも」

 「レイ師匠のおすすめですか!行きます!」


 いつも通り元気な返事をしたディークを連れて僕は王都を満喫した。


 途中でガラスペンのオーダーを受けたことだけが唯一の予想外だったが概ね予定通りだろう。

 

 アナの誕生日まで2ヶ月もないし、工房の扉はまだ直していないしでやることが多いので作るのはまだまだ先になりそうだ。

読んでいただきありがとうございます。

次話投稿は明日になります。

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