12,ガラス工房
吹きガラスという用法が出てきます。下に参考にしたサイトのリンクがあるのでそれを見てからこちらを読むとわかりやすいかと思います。
「よし、まず何から作ろうか」
初めて作ったのは何だったっけ。
キラキラとした音が聞こえてくるのではと思うほどに目を輝かせているディークに自分が初めて作ったガラス細工が何か覚えていないなどとは言えない。
僕が得意としているのはグラスに雪の結晶や鶴などを彫ることだが今のディークでは恐らく無理だろう。
無難にまずはシンプルなグラスを作ろう。
「ディーク、今日はこの、模様を彫る前のシンプルなグラスを作ろうと思う。既に溶解炉の方には1200℃まで溶けたガラスが入っている。もし触れたら二度と使い物にならないと思って挑んだ方がいい」
「はい、レイ師匠」
今回使うのは吹きガラスという作り方。ガラスを膨らませるときに息を吹き込む工程はある程度経験を積まなければ難しいものだ。
息の吹き込み方を間違えれば一気に膨らんでしまう可能性もあるが、手作業で行っているので稀少価値がそこそこ高いとも言い換えられる。
今回は先に僕がやってみせてその後ディークに作ってもらうことにする。
1度見ただけでどれくらいできるのかの確認に使おうと思っているのでメモは取らないようにと言っておいた。僕は才能があったようで4回も練習すれば大体できるようになった。
何年かやっていなかった時もあったがそこは体が覚えているようですんなりと膨らんでくれた。
全ての工程が終わったのは製作開始から20分ほど経った後。
もともと冷却以外はあまり時間がかからない。早ければ2日で終わる。
僕が1ヵ月かかっていたのは模様を彫る工程だった。アランにマリアベル。許すまじだ。
「以上が冷却までの工程。じゃあやってみせて。危なくなったとき以外は口を出さない。とにかく落ち着いてやれば大きな怪我はしないから」
ディークは真剣な顔で「はい」と頷いた。
ディークは凄かった。助言は一切しなかったにも関わらず、吹き竿に巻き取るところも熱いのに終始落ち着いていた。吹く作業で歪な形になったときに一瞬動きは止まったものの、絶対に気を抜いたりしなかった。時間はかかったが初めてにしては上出来だ。
「そこまでが大変だけどもう後は冷やすだけだ。初めてにしては良くやったな。努力賞ってところだ」
「あ、ありがとうございます!レイ師匠!」
徐冷炉に2つのグラスを入れて後は一晩待つ。
今回はただのクリアグラスだったけどウチの領は強いが自我の無い、所謂魔物と呼ばれるものが本当に多い。魔物からは魔石と呼ばれる宝石の様な石が取れる。強いほど落ちる魔石は大きくなるが、小さい物は使い道もなく捨てられることがほとんどだ。
「ディーク、僕は明日魔石倉庫に行こうと思う。魔石は色が綺麗だから色付きガラスが作れるかもしれない」
どうする?と聞く前にディークは「行きます!」と答えた。それでこそ僕の助手だ。向上心しかないが悪い大人に引っかかるのが心配だ。
「ガラスに釣られてホイホイ知らない人について行くなよ」
一応忠告するとディークは意味がわからないという顔をした。
「僕、レイ師匠にしか興味ないので。あれ?違う。レイ師匠のガラスにしか興味ないですから」
一瞬とんでも発言をしたディークだが言い間違いとわかってホッとした。そして、婚約者のアナスタシアの誕生日までには色付きガラスを使ってガラス細工を作ろうと決めた。
「そういえば、アナスタシアの誕生日っていつだろ」
贈り物をすると言っても誕生日がわからなければできるものもできないし、何より準備に時間がかかるから早めに始めないといけない。
「アナスタシアさんの誕生日は5月8日ですよ、レイ師匠。あと4ヵ月くらいです」
なぜ知っているのかは置いておいて誕生日を教えてもらったのはラッキーだったので普通にお礼を言った。これで色付きガラスが手に入れば勝ちだ。
何を作ろうか。普通にグラスでもいいが、どうだろう。
うーん。
ガラスペンとかどうだろう。でもそれは日用品だしな。あの時切れ端ガラスで作ったランプを色付きガラスで模様を描いてみたら可愛らしくなるだろう。
よし、デザインを考えよう。どんな表情をしてくれるだろうか。
ガラスペンに関してはまずは自分用に作ろう。力加減とかも見ておきたいし、何より羽ペンは使いにくい。筆は毛が抜けるからあまり好きではない。
綺麗で壊れにくい。
ガラスペン。売れるなこれは。
読んでいただきありがとうございます。
次話投稿は明日になります。
参考にしたサイトのリンクです。
↓
https://www.craftpark.net/workshop/glass/




