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38話 激闘③

遅くなりました。

Twitterの方でも報告させていただいたのですが、インフルエンザにかかってしまい執筆が遅れてしまいました。

これからはバンバン書いていく予定なのでどうぞよろしくお願いします。

 デュラルカイザーの【強欲なる腕】に触れる度に、どんどんと神威の纏っている光が小さくなっていく。

 それと比例するようにデュラルカイザーの体が光り輝いている。

 ……このままやり続ければ負けないにしても、勝てねぇんだよな。


「くっ……どうすれば……」


 レイスの死を無駄にするのか……?

 そんなことが許されるはずないだろ

 考えろよ、勝てる方法を……

 見つけ出せよ。

 落ち着け。

 俺なら勝てる。

 レイスの死は無駄にしない……


 まずどうにかしないといけないのは、【強欲なる腕】だ。

 あれがあり続けるだけで俺はどんどん弱体化して、相手が強化され続ける。

 あれに弾かれないような、そんな攻撃があればいいんだが……


 いや……そう言えば、さっき武器スキルが〜……って言ってたがあれはなんだ?

 あの時は頭に血が上ってたからよく確認せずに放置してたんだが……

 今更だが【鑑定】してみるか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【神代】

『霊刀:神威』の専用スキル。

 神の力をその刃に宿すことができる。

 その力は絶大で、使うものによってはその神すらも斬ることができる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ハハハ……なんだこれ。

 効果も見ずに使ってたが、さっきまでは発動だけして、どんなものを宿すのか指定してなかったから、ただ強化されただけだったのか……

 説明文に怖い文もあるが、今はそれがありがたい。

 無限に再生してくる敵を殺す。

 言わば“不死殺し”だ。

 不死殺しの神なんて思いつかねぇから神殺しの神を思い浮かべよう。


「【神代】……『軻遇突智(カグツチ)』」


 俺がそう唱えた瞬間、神威は金色に輝く炎を纏い、その形を大きく変えた。

 さっきまではだいたい普通の太刀と同じぐらい、約80cm程の刀身だったのが、今では2m近い長さに伸びており、大太刀と呼ばれる種類になったと思われる。

 それでも重さはさっきまでと変わらず、いや、むしろさっきまでよりもさらに軽くなった迄あるかもしれない。


 そのまま大太刀でデュラルカイザーの触手を受けると、刀身に宿った炎で焼かれ、触手は塵も残さず消えてしまった。

 俺はそれを見て、今が好機だと思い、一気に攻める。


 神威を横薙ぎに振っただけで、それを受けたデュラルカイザーの【強欲なる腕】は燃え上がり、消し炭になる。

 今回は力が吸われることも無く、消すことに成功した。

 デュラルカイザーは後ろに下がりながら、黄色の液体を飛ばしてくる。

 俺はそれをよけずに、神威で斬れば液体は蒸発して消えた。


「神をも殺した炎の前に、そんな攻撃が通用すると思うな……よっ!」


 空いた距離を一気に詰め、袈裟斬りに刀を振り抜く。

 するとデュラルカイザーは【強欲なる腕】を二本生やし、交差する形で受ける。

 しかしそれは数センチ軌道をずらすことしか出来ず、腕は燃え、跡形もなく消滅した。

 そのままデュラルカイザーの足を斬り飛ばすと、切断された方は燃え上がる。

 それも少しすると切断面から新たな足が生えてきたので、無意味だと分かった。


 デュラルカイザーも本気になったのか、一気に【強欲なる腕】を4本生やし、攻め込んでくる。


「——っ!【残月】!」


 俺は攻め込んでくるデュラルカイザーに不可視の刃を飛ばし、さらにその場に三つの斬撃を設置する。

 飛ばした斬撃は狙い通り【強欲なる腕】の4本あるうちの1本に命中し、斬り飛ばした。

 このまま残りの三本も設置した斬撃で切り飛ばされてくれるとありがてぇんだが……


「ギュァァ!!ジュリュジュリュ!!」


 俺の願いは叶わず、俺を掴もうと1本伸ばしてきたせいで、全部消すことは出来なかったが、残りの二本は無事に切れたので、及第点だろう。


「とどめだ!【黎明】……『火之篝毘古(ヒノカガビコ)』!!」


 一度鞘に刀を納め、腰を低くして構える。

 腕をのばし、走りよってくるデュラルカイザーを見据え、そう叫びながら一気に引き抜く。

 すると、さっきの比ではないほどの豪炎が巻き上がり、デュラルカイザーを胴の部分で真っ二つにする。


「ギャゥアアアァァァァァアア!!!」


 デュラルカイザーは咆哮を上げながら燃え尽きていく。


「やっと終わった……」


 俺は灰になっていくデュラルカイザーを眺めながらそう零す。

 それから直ぐに、デュラルカイザーは全身燃え尽き、そこには灰しか残らなかった。

 デュラルカイザーが燃え尽きてすぐ、部屋の奥に階段が現れたが、それよりも俺は寝かせたレイスの元へ歩いていき、そっと抱き上げる。


 ——守れなかった


 この迷宮に潜ったのだって自分が強くなるためだ。

 強くなって、静奈や美咲をあらゆる敵から守るためだ。

 大切なものを……失わないためだったのに……


 俺がもっと強ければ。

 この世界の何者にも負けないほど強ければ。

 例えば神に手が届くほど……神自身が敵になることも考えれば神をも殺せるほど……

 俺が強ければ。


 ……強くなろう。

 どんな理不尽が襲ってきても、余裕で跳ね返せるほどに。

 もう二度と、自分の大切な人を失わないように。

 その為にも、今は先に進むしかない。


 ここを出たらレイスの墓を建てよう。

 迷宮内であったことを静奈達にも話してやろう。

 自分の命も省みずに俺を生かそうと、敵に攻撃できるようなすげぇ奴なんだぞって。


「……行くか」


 俺は、レイスを抱いたまま、現れた階段の方に歩を進める。

 足取りは重い。

 それでも、一歩一歩しっかりと踏みしめていく。


 そのまま階段を降りて、下の階に行くとそこには黒を基本にした、豪華な玉座があった。

 その玉座の横に、真っ黒なバレーボールくらいの球体が浮かんでいた。


 それ以外特に何かある訳じゃなかったので、ひとまず何もなさそうな玉座から【鑑定】してみる。

 明らかに怪しい球体は後回しだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【王の玉座】

 王たり得るものだけが座ることを許される玉座。

 それ即ち、この玉座に座ることができればその物は王の資格があるということになる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お、おぉ……」


 なんか凄そうな椅子だった。

 王の資格とか色々と書いてあるが、まぁ、つまりは王様以外座れませんよーってことでいいんだろ。


 次は肝心の球体の方だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【封印の水晶】

 かつてこの地で力を持っていたとされる悪魔が封印されている水晶。

 この水晶は天使達の力の一部を物体化させて作られているためそう簡単に封印が解かれることはない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あっ……

 なんかこれやばいやつじゃないか?

 悪魔が封印されてるらしいぞ?

 どういう原理で浮いてるのか分からないが、これは下手に近づかないほうがいいのでは……


「えっ……?」


 なんて考えていた訳だが、少しずつこの水晶が俺の方に移動してきているのに気がついてしまった。

 というか最初はゆっくりだったのにだんだん早くなってるぞ!


 最初は、動いてるかな?動いてないな?あれ?やっぱり動いてね?

 みたいな感じだったのに今は、スーーーっと完全に動いてんだよな。

 下手に攻撃とか避けたりとかしてこの水晶が割れたら悪魔出てくるんかな……

 かと言ってこんな不気味なものに触るのもなぁ……


 そう思っているあいだに水晶は目前まで迫ってきていた。


「しょうがねぇ……」


 俺はそのまま突っ込んでくる水晶を手で受け止める。

 すると、水晶はカッ!と黒い光でこの部屋全体を染め上げたのだった。

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