37話 激闘②
「レ……イス……?」
動かない。
「レイス……!レイス!」
動かない。
「レイ——」
「ギュアアアア!!ジュルジュルジュルジュル!」
俺がレイスの元に走り寄ろうとした瞬間、デュラルカイザーがレイスに触手を伸ばした。
触手がレイスの体を持ち上げ、デュラルカイザーの顔元まで持っていく。
持ち上げられた体から血が落ちる。
「何をする気だ!」
俺がそう叫ぶと、デュラルカイザーはニヤァと顔を歪ませ、口を開け、レイスを喰らおうとする。
——ブチッ!
その瞬間、俺の中で何かが切れた
「てめぇえぇぇ!!!」
俺は足下で風属性魔法を爆発させ、一瞬でデュラルカイザーの元まで近づくと、ジャンプしながらその顔面を全力で蹴り飛ばす。
そのまま着地する時にレイスを捉えていた触手を刀で切り裂き、落ちてきたレイスを優しく受け止めた。
その体はありえないほど軽く、確かに死んでしまっていることを証明するようにどんどんと冷たくなっていく。
光属性魔法での回復もかけてみるが、一瞬光るものの直ぐに光が弾けて効果が無い。
「……」
周りが騒がしいと思い見渡すと、いつの間にか炎の壁は消えてなくなってしまっていたらしい。
多くのアンデット達が俺を囲んでいた。
「……【転移】」
俺はレイスを抱えたまま壁際に転移すると、動かないレイスを床に寝かせ、俺が着ていたコートをかけてあげた。
「すぐ終わらせてくる……だから……待っててくれ。」
俺はミシミシと音がなるほど強く刀を握ると、敵を見据える。
突然目の前から消えた俺を探しているのかあいつらはキョロキョロと周りを見渡している。
そのうち一体が俺を見つけ、仲間を引き連れて襲いかかってくる。
あぁ……
邪魔だなぁ……
ほんとに鬱陶しい。
俺はな……今、本気で怒ってんだよ……
あんなでも俺の師匠みたいな人だったんだ。
剣や魔法を俺に教えてくれた……デュラハンから俺の命を救ってくれた……
それがこんな所で死んじまったこと。
何より、俺はレイスに助けられたのに俺はレイスを助けることが出来なかったことだ。
自分の弱さに一番怒ってる……
「雑魚がぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
刀に火属性魔法を纏わせて、襲いかかって来たアンデットからチリも残さず消し飛ばす。
同時に【神重圧】も全力で発動させ、一定以下の能力値の相手は無抵抗で殺す。
「守れなかった……!レイスが命を代償に使う技を使わせるまでに、お前らを倒せなかった!もっと……俺が強かったらこんな手を使わなくても済んだかもしれない!!」
圧力をかけられてもなお動けるヤツらは俺に襲いかかって来る。
それらを刀で細切れにしながらも、俺は確かな足取りでデュラルカイザーの方に歩いていく。
「【魔天】」
俺とデュラルカイザーの間にいた雑魚アンデットはみな消した。
あとはこいつを殺るだけだ……
レイスと魔法の練習をしていた時に、俺が創り出したオリジナル魔法である魔天。
全属性の魔法で空中に槍を創り出し一斉に放つ殲滅魔法。
属性ごとにそれぞれ
・火【緋天】
・水【蒼天】
・風【碧天】
・土【茅天】
・光【輝天】
・闇【暗天】
と、名付け、全属性使う時は【魔天】と唱える。
あの時は、某英雄王が使う『王の〇宝』を意識して作ったんだが、これが意外と強かった。
完全にネタ枠だと思ってた技が殲滅魔法になるなんて思わなかった。
最初にレイスに見せた時のあの顔、今でも忘れられねぇんだよな……
「……行け」
空中に各属性の槍が大量に出現し、俺の一言で一斉にデュラルカイザーへと向かっていく。
「ッ!」
一気に魔力が持っていかれ、俺は膝をつきそうになるのをどうにか我慢して気合いだけでそのまま立ち続ける。
そもそもステータス制限ってなんだよ……
これがあったからレイスが死んだとは言わないが、これさえなければもう少し違う結果になったかもしれない……
「あぁぁぁぁぁぁああああぁあ!!!」
畜生……
頭がぐちゃぐちゃで何を考えてるのか分からない。
大切に思ってる人を失うのがこんなにも辛い事だとは思わなかった。
「ギュアアアア!!ジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュル!!!!」
「うるせぇぇぇぇ!!」
魔天でダメージを負ったのか、大きく鳴いたデュラルカイザーに俺はさらに魔天を発動して、打ち込んでいく。
とっくにMPはゼロになっているのか、もう魔力が少なくなって起こる体調不良は気にならない。
「ッ!!」
突然後ろから敵性反応が突っ込んできたので、俺は咄嗟に刀を振り、斬り裂く。
すると、さっきまでと同じ力で降ったはずの俺の斬撃は、後ろから迫ってきていたアンデットを切り飛ばすだけに留まらず、壁を抉り、消えた。
なんだ……これ……
もしかしてステータスが戻ったのか……?
俺は急いでステータスを確認する。
すると、そこにあったのは——
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name「ハルト ニイザキ」
Lv 100(MAX)
種族【ヒューマン?】
HP:150,000,000
MP:100,000,000
STR:15,000,000
DEX:10,000,000
AGl:15,000,000
INT:10,000,000
LUK:5,000,000
ATK:20,000,000
DEF:15,000,000
流派
【天明流】
異能
【神眼】【思想世界】【神重圧-(昇華済)】
L強欲眼
スキル
【刀剣術 Lv10(MAX)】【計算 Lv10(MAX)】【異言語マスター】
【鑑定】【偽装】【身体強化】【全属性魔法】【盗む】【変食】【分解】【空間魔法】【各武器使用技能補正】【大剣術 Lv7】【絶倫】【眷属化】【配下指揮】【集中】【見切り】【憤激】【魔刃】
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となっていた——。
さっきまで制限されたステータスだったのに、なんで急に……
いや、そんなことはどうでもいい。
今のステータスなら俺はこいつを殺れるかもしれない。
違うな……かもしれないじゃない、殺るんだ。
「……覚悟しとけよ、邪神野郎。てめぇは俺の大切なものを傷つけた。どんな手を使ってでも絶対に殺す。」
俺は【身体強化】と【集中】、【魔刃】を発動し、神威に魔力を纏わせる。
纏わせたのは【空間魔法】——。
今までは基本属性しか纏わせたことがなかった。
しかしこうして【空間魔法】を纏わせることが出来たということは基本属性以外も纏わせることができるんだろう。
【空間魔法】を纏わせた神威は、薄く金色に輝き、どんどんと俺に力が流れ込んで来た。
《武器スキル、【神代】が覚醒しました。》
それと同時に脳内にアナウンスが流れる。
武器スキル?
ここに来て知らねぇ情報が出てきたな……
だめだ、考えられねぇ……
一旦放置するか。
とりあえず【神代】も発動。
すると、さっきは刀だけが金色に輝いていたのが、持っている腕を伝って俺の体まで伝播してきた。
右目が熱い。
だが心地いい熱さだ。
バフの確認をしていると、後ろから襲いかかって来ているアンデットが視えた。
俺は刀でそのアンデットを斬る。
斬った瞬間、アンデットは跡形もなく消える。
……これは、アンデットがいた空間ごと斬ったと見ていいのだろうか?
【空間魔法】を纏わせた刀で敵を斬ったらそうなりそうだが……
これなら殺れる——
そう感じた俺は、今までとは段違いの速さでデュラルカイザーの近くまで接近し、まずはその触手を全て斬り飛ばす。
斬った瞬間、その場所が消滅するので、もうこれ以上再生することは無いだろう。
元からなかったことになってるんだからな。
再生もクソもないだろう。
初めて使ったはずなのに、この技の使い方が分かる。
どう言った効果があって、どんな作用を起こすのか、全て理解している。
俺はそのままデュラルカイザーの首を跳ねようとしたが、触手があった場所から生えてきていた黒色の手のようなものに阻まれ、斬れなかった。
今の状態でも斬れないとなると、一旦引いた方が良さそうだ。
あの手がなんなのかまずは知ることが優先だろう。
こいうい時こそ一旦冷静になるのが大切だと思う……
俺はバックステップで後ろに下がろうとするが、生き残っていたアンデット達が、一斉に襲いかかって来た。
「邪魔だっ!」
俺はそいつらに向け、【空間魔法】の魔力をそのまま纏わせ、【残月】で、その魔力を飛ばし、触れれば消滅する斬撃を作り出して、打ち出す。
たったそれだけでアンデット達は跡形もなく消え、そこには俺の放った斬撃の跡だけが残っていた。
今消したのが最後のアンデット達だったのか、周りを見渡すもアンデットの姿は見られない。
これでやっとあの邪神野郎に集中出来る……
最初に確認しないといけないのが、あの黒い手だ。
空間を斬るとかいうもう俺自身がよく分かってない能力を使ってもなお、攻撃が弾かれた。
試しに【鑑定】でもしてみるか……
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【強欲なる腕】
その腕は全てを奪い尽くし、自身の糧とする。
触れたものから力を吸い取る能力がある。
自分の腕の本数×2本まで出現させることができる。
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——これは……
俺の【強欲眼】と似たような能力か?
いや、触れただけで奪う能力ならこっちの方が強いと思うのは俺だけだろうか……
結局【鑑定】してみて分かったことなんて、俺の異能の上位互換みたいなのを相手が持ってたってことだけなんだよな……
他に攻略法になりそうなものは書かれていないが……
俺が、【強欲なる腕】について考えていると、デュラルカイザーは何を思ったか、いきなり距離を詰めてきた。
触手と腕で一斉に攻撃され、俺は触手は斬り、腕は斬れないので、刀で弾いて行く。
すると、数回腕の攻撃を弾いた辺りからだんだん刀が纏っていた【空間魔法】や金色の光が薄くなり始めていた。
それと同時に、相手の腕がうっすらと金色に輝き始めていたので、俺の力を奪って自分のものにしているとみて間違いないだろう。
「ちっ……厄介な……」
俺は隠すことも無く舌打ちをし、攻めに転じることにした。
僕、個人的に結構デュラルカイザー鳴き声気に入ってるんですよね。
イメージとしてはポッケットの中のモンスターに出てくるトリ〇ドンをイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれないです。
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