17 情報と移動
図書館で色々と調べ物をした俺はいい時間帯になったので宿に帰ることにした。
今回図書館で知れたことは大きくわけて3つ。
1つ目が『この世界について。』
この世界には一柱の神がいて、大体はその神を信仰している。中には無神教者もいるらしいが圧倒的に少数派らしい。それと、この世界には大陸が二つしかなく、ひとつは今俺がいるこの大陸。特に名前は着いていないらしい。
もうひとつがここから南に大分行った所にある幻大陸。
その名前の通り、普通では見ることや行くことが出来ない大陸であり、様々な条件が重なることで幻大陸は姿を現す。詳しいことは何も分かっていないが、金銀財宝が眠っているだとか、神の住む神域が広がっているなど様々な説があるらしい。どれも確証はない。
2つ目は『ダンジョンについて。』
この世界にはダンジョンと呼ばれるものが存在しており、中でも有名なのが八大迷宮と呼ばれる超高難易度ダンジョンだ。
そもそもダンジョンとは、この世界には漂う魔素なるものが集まった結果生み出されるものとされ、今現在も増え続けているらしい。
特に、八大迷宮はその名の通り八つのダンジョンで、一つ一つがとてつもない難易度となっているらしい。
未だに1階層すら突破できていないだとか。
これも今度行ってみたい。
最後に『神について。』
神はこの世界を創り出した絶対的な存在で、この世界のどこかで自分たちのことを見ているらしい。
ダンジョンなども神が創り出したもの、と考える人もいるらしい。
詳しいことは何も分かっていないがとにかく強いことは確かだろう。
とまぁ、一応こんな感じだ。
この中で注目してるのは八大迷宮と神の存在についてだ。
俺の異能である【神眼】は名前に神が付くことから神という存在と無関係ではないだろう。
それに【神眼】の能力の一つ、今現在俺が使えるものが【強欲眼】で、強欲とついていることから七つの大罪が連想された訳だが、迷宮の数と合わないから関係ないんだろうか……行ってみればわかる事か。
《主よ、そろそろ腹が減ったぞ。》
色々と考え込んでいると、ふとリュースが念話を飛ばしてくる。
太陽の光で本が日に焼けるのを防ぐためか、この図書館には窓が少なく、時計も見ずに考えにふけっていたので、日が暮れ始めていることに気づかなかった……
《すまん、そろそろ帰るか。今後の方針も決まったし……》
八大迷宮を攻略してみるか。
何かしら【神眼】とは関係してるはずだからな。
この世界で生きていくにしろ元の世界に戻るにしろ、自分の力も分かってないようじゃあ何も出来ないしな。
「うし、帰るぞ。」
《うむ。》
俺が気合いを入れたところでリュースが返事をしながら頭に飛んでくる。
ここから一番近い迷宮は帝国から西に行ったところにある聖国という場所にあるらしい。
取り敢えずはそこを目指すが、まずは静奈達を何とかしないとな。
図書館から出て、宿に戻り、風呂に入って飯食って寝た。
やってることはいつもと変わらんからな。あんまし詳しく言うことも無いだろう。
△▽△▽△▽△
——次の日
「んん……ふぁあ……」
朝か……
今日はちゃんと朝に目覚めることが出来たな。
昨日はもう昼だったし……
まぁ、そんなことより、静奈達を助けるのにそろそろ移動した方がいいか。
ここ、トルーニから帝都までどのくらいかかるか分からないがリュースに乗ってけばそんなに時間かからないと思うし……
「リュース!起きろ!今日は帝都に移動するぞ!」
こいつはやはり寝起きが悪いな。
昨日もそうだが、基本的に自由に生きてきたせいで決まった時間に起きるということをしない。
昨日は置いて行ってやろうかとも思ったがこいつには帝都まで乗せていってもらわねばならないからな。
「おーい、起きろ!早く起きないと……朝飯抜きだぞ!」
《ぬ……むぅ……分かった。起きるから……しばし待て……》
朝飯抜きという単語に反応したのかさっきまでは全く聞こえていないかのように寝続けていたのに急に起きやがった。
さてはこいつ元々起きてたわけじゃねぇよな?
《くぁぁ……あい、起きたぞ。飯だ。》
寝ぼけているのかふらふらと頭に飛んできたリュースを連れて、食堂に向かい、女将さんから朝食を貰った。
そのついでに今日で宿を出ることを伝えると、一週間泊まってない分のお釣りを渡してくれた。
「短い間だったがお世話になった。飯も美味しかったしまたここに来た時には寄らせてもらうよ」
朝食も食べ終わり、女将に最後の挨拶をして宿を出た。
ギルドにも挨拶してった方がいいか……?
ウィルとシーナさんにはお世話になったが……
悩んでいても仕方ないということでギルドにやってきた。
朝早くだと言うのに受付には相変わらずシーナさんがおり、こっちに気づいて笑顔で手招きしてくる。
正直かわいい。
「おはようございます。ハルトさん。本日はどのようなご要件でしょう?」
「これから帝都に向かおうと思ってるからその挨拶と、道中何か出来そうな依頼でもないかと思っ……て……えぇ?」
俺が『帝都に向かう』と言ったあたりで段々シーナさんの目がうるうるし始めて、最終的には何故か泣き出してしまった。
「うっ……んんん……うぅ……!」
「シーナさんどうした?俺なんかした?え、ごめんなさい。泣かないでくださいどうしたらいいか分からなくなっちゃうから……」
俺が謝ると余計に泣いてしまう。
えぇ……?ほんとにどうすればいいのこれ……
「うぅ……は、ハルトさんが……帝都に向かうのは……トルーニで何か嫌なことがあったからですか……?何かあったのなら……私が相談に乗りますからぁ……せっかく仲良くなれたと思ったのに……いなくなっちゃうなんて……寂しいじゃないですかぁ……!」
ん?なんかシーナさん勘違いしてね?
まさか俺がこの街で嫌なことがあったから帝都に行こうとしてると思ってる?なんで?
「あー、シーナさん。よく聞いてくれ。別に俺はこの街が嫌いになったから移動しようとしてる訳じゃなくて、帝都でやることがあるから向かうだけなんだ。その……なんだ。……俺もシーナさんと居られないのは寂しくはあるけど別にもう帰ってこないわけじゃないし……だからな?うん。」
うん。って何がだよ……
ちょっと自分で言ってて恥ずかしくなったからって誤魔化そうとすんなよ!頑張れよ俺!
そういうとこだぞ!このチキンが!
「ふぇ……?てっきりもうハルトさん帰ってこないのかと……あれ?……もしかして私の勘違い……?」
勘違いを自覚したのかどんどんと顔が赤くなってくシーナさん。かわゆい。
「あ、あのですね!?別に寂しいとかって、そんな、変な意味がある訳じゃないですからね!た、ただ!依頼を受けてくれる人が減ると、私が一人の時間も増えて……っていう!そういう意味であって!深い意味はないですからね!で、でも……ハルトさんも寂しいって……えへへ……」
なんか1人で騒いでるけどこれどうしたらいいんだろう。
とりあえず声掛けてみるか。
「あのー、シーナさん?話の続きいいっすか?」
「ふぁ!はい!すいません、なんでもないです、大丈夫です!」
めっちゃテンパってんだよなぁ、大丈夫じゃねぇよなぁ。
「ちょっと落ち着こう。深呼吸だ。そう。深呼吸をしよう」
「え、はい。すぅぅぅ……はぁぁぁ……すいません。落ち着きました」
「なら良かった。それじゃあシーナさんとはお別れも済ませたし、ちょっとウィルにも声かけてきたいからお願いできるか?」
シーナさんで大分時間食ったからな。
ホントだったら道中依頼でも受けてこうかと思ってたけどまぁなくてもいいか。
「あっ、はい!ちょっと待っててくださいね!」
そう言ってパタパタと奥の方へ走っていった。
1人になってみて改めてさっきの発言を思い返してみるとめちゃめちゃ恥ずかしいな……
いやでも、シーナさんの反応的に満更でもなかった気が……?これ告白したら付き合ってもらえるんじゃ?(童貞感)
「ハルトさん!ギルマスがお会いになるそうなのでついてきてください」
「ひゃい!」
俺がアホみたいなこと考えているうちにシーナさんは戻ってきていたようだ。
突然の事だったので驚いて変な声がでてしまったが、まぁしょうがないだろ。
シーナさんの後をついて行くとあのギルマス部屋に着いた。
「失礼します。ハルトさんをお連れしました」
コンコンコン、とノックをしてからシーナさんと俺は部屋に入る。
「やぁ、ハルトくん。よく来たね。大体の話はシーナから聞いているよ。帝都にむかうんだってね」
シーナさん説明もしてくれていたのか。
「あぁ、ちょっとやらないといけないことがあるから帝都に行ってくる。」
「そうか、まぁ別に止めはしないよ、気をつけてね。あっ、あと、ハルトくんが討伐したゴブリン王の報酬が出てるよ。全部で金貨75枚だね。はい!」
机の下から大きめの袋に入った金貨と思われるものがジャラっと出される。
そう言えば買取りの査定が直ぐには終わらないって言われて置いといたんだっけ。忘れてたわ。
「そんなに多いのか……まぁいいや、ありがとさん」
渡された袋をアイテムボックスの中に収納する。
アイテムボックスまじ便利。
「いや、災害級指定の魔物だからね、そのくらいは普通の範疇だよ。」
そうなのか……
ま、そんなことはいいや。
とりあえずギルドで挨拶も済ませたしそろそろ出発するかな。
「じゃあ、そろそろ行くわ。」
「もう行くのかい?いや、引き止めるつもりはないんだがね……どうせまた来るだろう?」
「そうだな、また来るよ。じゃあな、ウィル。シーナさんもまた来る。お互い寂しくなるけど体に気をつけてな。」
「は、はい!寂しくなりますけどね!また来ていただけるのを待ってます……けど、あんまりにも来るのが遅いと探しに行っちゃいますよ?」
最後の最後に冗談交じりにそんなことを言ってくるシーナさん。わー、ユーモアにも溢れてるんだぁ。
この人はほんとに探しに来そうで怖い。
「まぁ、あんまり遅くならないようにはする。それじゃあな」
俺も苦笑混じりにそう返してギルドマスター室を出る。
このまま街を出て森に入ったところでリュースに乗って飛んでいこう。
そう考えて、リュースと街を出て森に入り、空の旅を始めた。
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