第26話 【封印されし扉】
カナタ達は、闘技場を離れ、あの長い廊下を走っていた。スタミナは地球にいる時とあまり変わらないため、エミリン、ツバキは息を少しきらしていた。
「大丈夫か?恵美、ツバキ。別に歩いて来てもいいんだぞ?」
走りながら後ろに目をやり、こう言った。
「私は大丈夫だよ。それより...」
「ま、待って、カナタ...。もう、無理だ...。」
ツバキは手を膝にあて、疲れきった様子でそう言った。
「流石に10分走り続けてるからな、しょうがないだろう。」
カナタはしゃがみこみ、背中をツバキに向け、手を斜めに広げる。
「乗るか?」
「「え?」」
まぁ、予想通りの反応だった。だが、これ以上走らせるわけにもいかないだろう。おんぶは昔何度もやらされたことがあるからな。
「いや、でも悪いよ、カナタも疲れてるだろうに...。」
「いいから乗れって、ツバキ。」
「え、ああ、ありがとう。」
ツバキはカナタの首に手を回したのを確認すると、ゆっくりと立ち上がった。って、やばい、昔あいつをおんぶしててなれてるからとはいえ、ツバキの胸が直に感じるのがわかる...っていやいや、そんなことは考えるな。無心だ無心。
「ご、ごめんな、王子。じゃ、引き続き案内を頼むよ。」
「無理をしてないか、カナタ殿。顔が真っ赤だぞ?」
「い、いいから、行くぞ。」
カナタ達は長い廊下を走り始めた。
エミリンの「空のバカ...」という呟きは、誰にも聞こえていなかった。
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城の地下、玉座の後ろの入り口から伸びている螺旋階段を下った所に沢山の鎖で固定されている大きな扉が存在していた。
「ここが【キメラ】の封印されている部屋だ。」
「やっぱり風扉だわ...。」
「ほら、着いたぞツバキ。もう立てるか?」
「うん、ありがとな。カナタ!」
「あぁ、き、気にしないでくれ。」
後ろからの強い視線を感じながらそう答えた。
「それより王子、少し兵士を貸してもらえないか?できれば盾を持った兵士を10.20人程いればいいんだけど。」
攻略組のプレイヤー達をここに連れて来るには時間がかかる。それに、今は昼だ。ほとんどのプレイヤーは経験値稼ぎをやっているのだろう。
「兵士達を戦力として使うのなら、お父様の許可が必要だな。」
「王子のお父さんと言うと、王様か...。」
「あぁ、その通りだ。ええと、確か今は...。」
「王はカジノに行っておられるぞ。兵士を2,3人連れてな。多分今頃VIPルームにて、また、国家予算でも稼いでいる頃じゃ。」
「そうだったな、爺や。」
「昼間から何やってんだよ、ここの王様は...。」
俺は半ば呆れながらそう言った。
てか、国家予算って、カジノで稼げるもんなのだろうか...。そして、王の許可なく戦力として兵士使ってはいけない...か、多分理由は国の勢力が弱まるとか、そのあたりだろう。カジノに行って許可を貰って来るのもありだが、今は攻略優先だ。
「じゃあ、俺、恵美、ツバキ、王子の4人で攻略するか...。多分今の俺たちなら前衛の盾装備の人が居なくても行けるだろう。とりあえず、風扉を開けるぞ」
「あぁ」「「うん」」
国家が何十年も封印し、厳重に保管していた扉だ。流石に緊張感が溢れ、辺りがシーンと静まり返っていた。
ガチャ、ガチャガチャ
カナタは思いきり鎖を引っ張ってみる。だが、ビクともしない。扉を押すにしても鎖のせいで1ミリたりとも動かない。
「.........」
「どうしたんだ?カナタ。」
「いやぁ、これってさ。どうやって開ければいいんだ?」
「「「「あっ...」」」」
辺りは再びシーンと静まり返った。




