表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『時代遅れスキル『ゴーレム制作』専門の男爵家四男が、転生者の知識でそこそこ頑張るはずが、なぜか王弟に目をつけられてしまう話』  作者: 葉月奈津・男
第一部、使用人が『王国の影』でした

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/128

第39話 『地下道』

1/2

 


 兄上が町を出たのは、その二日後のことだ。

 なんだかんだと理由を付けては出発を遅らせた結果となる。

 あくまでも、弟が心配なので立ち去りがたい、という体を装ってのことだ。

 人質に効果があることを示しているともいえるので、その点では代官にとっても安心できることだろう。

 事実は全く違うのだけれども。


 この二日間。

 クアルトが何をしていたかと言えば、『金』と『銀』の回収に勤しんでいた。

 イーアンが『ゴーレム』たちと地下トンネルを掘ることで繋がった各坑道を回って、『金鉱脈』と『銀鉱脈』を見つけては『金と銀』を抽出していく。


『銅』主体の採掘であることと放置されていたことからもわかるが、採れるのは微量だ。

 労力に見合う量ではないのだが、逆に言えば労力を惜しみさえしなければ手に入るとも言える。

 集中して頑張った。


 主に『僕』が。

 こういう、集中力のいる作業は子供の方が向いている。

 集中力が途切れなければ・・・・との条件はつくにしてもだ。


 さいわいなことに、クアルトはその点では非常に優秀な子である。

 最後まで集中して、事に当たってくれた。


 岩の中から水を集めるがごとく、金や銀を集める。

 かなりの精神的疲労があるはずなのだが、それを楽しめてしまえる性分なのだ。


 まぁ。実を言えば、『餌』があってのことだ。

 馬の鼻先にぶら下げるニンジンである。


 『レベルアップ』。


 採掘はクアルト本人の経験値が加算される作業だったのだ。

 やればやるほど経験値が上がる。

 それが楽しかったらしい。



 おかげでレベルがどんどん上がった。

 それに伴い魔法力の上限が上がり、回復力も上がったようだ。

「ようだ」というのは、数値ではっきりわかるかというとそうではないからだ。


 心持ち「上がってるよな?」ということである。

 そして、確実に目で見て分かる変化が・・・。


「おっきいし、重いよねっ!」

 はしゃいでしまっている。


 『ゴールドゴーレム』が明らかに大きくなったのだ。

 吹けば飛んで、飛んでしまったら見つけられなくなるのではないかとさえ思ってしまっていた『銭亀』が、大豆大の『豆亀』になったのだ!


 まぁ、そのせいで『回復力が上がったようだ』としか言えなくなってしまっている。

 大きくなったことで『節制』のスキル効果が増えたかもしれず、どちらが影響しているのか判然とはしなくなってしまっているのだ。

 たぶん答えは両方で、相乗効果が出ているものと思われる。

 なんにせよ、順調ではあるので、細かな数字は気にしなくていいだろう。


 そして、レベルアップと言えば『ゴーレム』たちだ。

 こちらも、地下道づくりにまい進することで経験値を得てレベルアップを進めている。

 これまでは、自分の近くにないとレベルアップさせられないものと思い込んでいた。

 だが、そうではなかった。


 遠隔でのレベルアップが可能だった。

 現存する『ゴーレム』たちを一括管理可能なアプリがあったのだ・・・というかクアルト自身のレベルアップで派生したのだと思われる。最初からはなかったはずだ。

 ともかく、レベルアップが可能とわかったので頻繁にチェックしていれば、その都度レベルアップを促すことが可能となった。


 結果。

 『ジンクゴーレム』と『ライムストーンゴーレム』は『精製』のスキルを覚えた。

 『亜鉛』や『石灰石』を含む鉱石を吸収し、不純物を排出することで純度を上げていくスキルだ。

 これが、さらなる変化をもたらす。


「おおっ!」

 なんということでしょう!


 石灰石の身体が白く輝き、内部から光の筋が走った。

 砕けるように表面が剥がれ、滑らかな大理石の光沢が現れる。


【『ライムストーンゴーレム』が『マーブルゴーレム』に進化しました。】



『ライムストーンゴーレム』が『マーブルゴーレム』に変わったのだ。

 マーブルとは『大理石』のことだったと思う。

 建築や芸術で使われる石材だ。

 石灰石である『ライムストーンゴーレム』よりも耐久度は高いはずである。


「『ゴーレム』の種類が増えた!」

 10体の『ライムストーンゴーレム』を『マーブルゴーレム』に進化させ、あらたに『ライムストーンゴーレム』も作成する。

 これで、クアルト配下の『ゴーレム』は70体となる。


 すごいっ!

 うれしいっ!



 そんなことがあって、三日目。

 『オレ』はイーアンを訪ねた。

 進捗状況を確認するためである。



「状況は?」

 この問いを伝えるためだけに、ずいぶん遠くまで来た。

 新たに作った『マーブルゴーレム』のひとつを馬にして乗って来たのだが、かなりの速度で走ったはずなのに二時間くらいかかってしまった。


 順調ではあるってことだろう。

 それだけ掘り進めているってことだからな。


「すごいですよ。あと少しで、最後の坑道と繋がります。それで、すべての坑道を繋げることができますね」

 現存する坑道、廃坑も含めると十や二十では足りない数だと聞いたが、その全てが繋がるということだ。


 確かにすごい。

 いったい何キロ掘ったのやら。


「食料庫や『銅』の保管場所の地下にも地下道を作りたいんだけど。できるかな?」

 地上から近付いて盗み出すことは不可能。

 地下から攻めようと考えて、できるかどうかの検討を頼んでおいた。

 そろそろ、その答えは出たのではないだろうか?

 もし、どうしても無理なようなら『ゴーレム』総出で力攻めするくらいしか手はなくなるんだけど。


「できますよ」

 穏やかに肯定の言葉が出た。


「できるのか?!」

 自分の発案ではあるが、かなり無理目だと思っていた。

 驚きもする。


「普通はできないんですけどね」

 驚愕したクアルトの顔がおかしかったようで、クスクス笑いながらイーアンは肯定した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ