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『時代遅れスキル『ゴーレム制作』専門の男爵家四男が、転生者の知識でそこそこ頑張るはずが、なぜか王弟に目をつけられてしまう話』  作者: 葉月奈津・男
第一部、使用人が『王国の影』でした

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第19話『レベルアップ』

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 「あの人。絶対になにか企んでますよ!?」

 ギルドを出てしばらく歩くと、突然アンナが声を高くして警告してきた。

 副ギルド長との会話を見ていて、そう感じたらしい。

 さすがだ。


 「そうみたいだね」

 「気が付いていたんですね、やっぱり。なのに放置ですか?」

 『オレ』も気が付いていたことをアンナはさらりと受け入れて、探るような目で顔を覗き込んできた。

 

「とりあえず、そうだね」

 「わかっていて、そのままというのは何か考えがあってのことなのですか?」

 「もちろんだよ」


 なにを企んでいるのかまではわからないから、今回のことを契機にして冒険者ギルドの信頼度を図る狙いがあった。

 こちらを侮って私腹を肥やそうとするようなら、信頼には値しない。

 今後の依頼に影響することになる。

 細に入り微を穿つような事細かに定めを設けた契約をするか、そもそも依頼を二度としないかだ。

 

 また、企みの内容によっては僕にとっても都合がいい可能性もある。

 「もしかしたら、僕が考えている以上に良い方法を見つけてくれるかもしれない」

 それならば、予想外に優秀だと確認できる。

 頼む仕事の質を上げていけるだろう。


 「試すわけですね」

 理解したようで、少し黒い笑みをアンナさんが浮かべている。

 

 「遠征の準備はどんな感じかな?」

 遠征・・・つまりは旅行だが、クアルトが準備をすることはない。

 準備をするのは使用人の仕事だ。


そもそも、全体的な準備は護衛を仰せつかった長兄の仕事になる。

移動手段や、食料の確保ということだ。


アンナたちの準備というのはクアルトの着替えや身の回りのものだけだ。

あと、当然ながら自分たちのも。


 「もう終わっていると思いますよ。『アーネスト』がやってくれているはずなので」

 「あー、そうなんだ」


 『アーネスト』は執事だ。

 30手前の事務方の人間である。

 クアルトに語学と地理を教えた教師でもあった。


 丸眼鏡をかけた、少しとぼけた顔の男だ。

 金髪にアイスブルー、整った顔立ち。

 表情を引き締めていれば『美形』と言えるのに、どこかが緩んでいる残念男だ。

 アンナと同様『パーヴェル』子爵の元から借りている人材でもある。

 

 「となると、僕のお供はアンナとアーネスト?」

 「そうですよ?」

 「二人だけ?」

 一応全員連れていく予定にしていたんだけど?


 「他の者は臨時休暇です。個別に行きたいところへ行くでしょう。『遠征』ですからね。軍の予算を使わせるのはまずいですし、メイドや執事がぞろぞろというのは変ですから」

 「確かに」

 一応は軍事行動という形になるだろうから、子供の世話係が何人もいるのはおかしいか。

 クアルト付の使用人はあと数人いるのだが、二人以外は個別に休暇となるようだ。




 家に帰ると、『クロスゴーレム』は一体(実際は二体)を除いて壊滅していた。

 八体がゴミと化し、レベルアップ可能状態の一体が残っている状態。

 もちろん、速攻でレベルを上げた。



LV(レベル):2(↑3)

EXP(経験値):5310/5000



 ・・・経験値がもったいない!

 放置しておいても経験値を稼げるのはありがたいが、これがあるんだよな。

 レベル3となってのステータス。


 前回同様に、知力を3、器用を2上げてある。

 順調だ。


 ただ、気になることがひとつ。

 「・・・レベルアップに必要な経験値って、倍々で増えるんだろうか?」

 ちょっと怖くなるな。

 最初は五倍だったことを考えれば、こんなものという気もしてしまうが先が恐ろしい。


 「まて、まて」

 首を振って、息を吐く。


 考えてどうなるものでもないので、それは気にしないことにする。

 ともかく『クロスゴーレム』をレベル3で作り直した。

 『布』はまだあるからね。


 やることもまだまだある。

 『クロスゴーレム』9体には、再び天井掃除をやらせておこう。

 経験値をガンガン稼がせるのだ。




 「そうくるか」

 うむうむ、とクアルトは頷いた。

 『クロスゴーレム』をガンガン働かせた結果が出ている。



 『クロスゴーレム』のレベルが5になったのだ。

 『ペーパーゴーレム』も現在4にまで上がっている。

 紙に経験値を積ませる方法を発見できたのだ。

 

 『ハタキ』である。

 普通は『布』または『羽根』を用いるものだが、『紙』で代用させてもらった。

 棒なしで宙に浮いて、高いところの埃を落とさせたのだ。

 細く切れ目を入れて、よわよわなウニみたいな形状を作ったのが功を奏して、かなりうまくいった。

 

天井や壁の高いところ、棚の上などでハタハタしてもらった後、『布』で拭かせる。

 掃除の流れができあがっている。

 おかげで、『ペーパーゴーレム』にも『掃除』のスキルが付いた。


 あと、『ゴーレム制作』時に書き込む言葉も、レベルが上がるごとに一字ずつ増えることが分かった。

 なので、レベル4の今は5文字プラス3で八文字。『汝従者受令後行動』としてある。

 『お前は命令されて従うものだ。命令を受けたら行動せよ』という意味・・・の、つもりだ。

 今のところ、ちゃんと口頭での指示に従って動いてくれている。

大きくは間違っていないはず。


 そして。


 クアルトもレベルが上がった。

 『クロスゴーレム』と『ペーパーゴーレム』を作りまくった結果である。

 基本値が、それなりに上がっているようだ。


 数値が上がっているのは確かだが…多くても『5』とかだ。

 実感なんてない。


 「必要経験値はやはり倍々で上がるのか」

 かなりキツくなりそうだな。


 まぁ、がんばるけどね。

 前世なら“プレイ時間1000時間越え”とか言って笑ってたけど……

リアルだと、プレイ時間も何もないんだよな。



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