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『時代遅れスキル『ゴーレム制作』専門の男爵家四男が、転生者の知識でそこそこ頑張るはずが、なぜか王弟に目をつけられてしまう話』  作者: 葉月奈津・男
第一部、使用人が『王国の影』でした

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第13話 『買い出し』

1/2

 

 で、アンナがどこにいたかと言えば、クアルトの部屋だ。

 家中回って、諦めたらいたって感じだ。


「・・・・・・」

 天井を見上げて呆けている。


「アンナ!」

 少し強めに呼び掛けて、目を覚まさせる。


「きゃ?! あ、クアルト様」


 慌ててお辞儀をしている。

 別にいいけど、カチューシャが顔をかすったぞ。

 あぶないな。


「なにを呆けていたのさ」

 何となくわかってはいるが、一応問い質した。


「そ、そうでしたっ! あ、あれですっ!」


 ビシッ!

 指さされたのは天井。


「・・・ほぉ」

 思わず詠嘆したくなるような輝きを見せている。

 ピカピカの天井だった。


 朝食の間に『クロスゴーレム』たちが頑張ったらしく、見違えるほどきれいになっていた。

 何百年という埃が一掃されたらしい。


 天井が高いせいで、すす払いくらいしかしたことがなかったのだろう。

 それが直接の拭き掃除で汚れがすっかりなくなっていた。


「ここまで取れるのか」

 洗剤どころか水も使わない乾拭きだというのに、だ。


 たぶんだけど、『クロスゴーレム』たちの拭き加減が汚れにミラクルフィットした結果という気がする。


 ゴーレムたちは汚れを見て力むとかしない。

 一定の力と一定のリズムで拭くだけだ。


 人間にはできない芸当である。

 それがうまく作用したのだろう。


『オレ』がかつての職場で大掃除したときがそうだった。

 力任せに掛けたモップでは微動だにしなかった汚れが、おばちゃんたちの雑巾で嘘のように取り払われていて、マジで凹んだ覚えがある。


 その奇麗になった天井では、汚れを吸って黒ずんだ『クロスゴーレム』たちがいまだ働いていた。


「あれ?」

 数が少ない。

 動いているのは『掃除』を命じていた9体のうち4体だけだ。


 他は?


 探してみるといた・・・というかあった。

 床に落ちていたのだ。

 白かった布が、煤のように黒く染まっていた。


 急いでウィンドゥを開くと、『戦闘不能』状態。

 つまりはダメージを受けて機能を停止していた。

 汚れに浸食されることがダメージになるらしい。


 攻撃されて倒された状態だ。

 だから・・・。


 ウィンドゥが赤い。

 それはつまり――


「レベルが上がっている!」


 五体がやられて一体100ポイントの経験値が入り、他の四体もやられる寸前までダメージを受けて経験値を積んでいた。

 残り四体のうちの一体がレベルアップ可能な状態となっている。

 経験値が1000を超えて、今も増加中だ。


 もったいないっ!


 慌てて、レベルアップさせる。

『ペーパーゴーレム』と同様に、ポイント加算式だったので同じく【知力】に3、【素早さ】に1、そして【器用】にも1を割り振った。

 耐力は10ポイント、魔力は20ポイント増加している。



 で、最後に。



『クロスゴーレム』がLv2になりました『特技』・『重ね着』、『スキル』・『掃除』を習得しました。



 レベルアップに伴って覚えた『特技』は『重ね着』。

 字面から見ても『ペーパーゴーレム』の『積層』と内容は同じだろう。


 で、さらに『スキル』なんてものも覚えたようだ。

 内容は『掃除』。


 そのまんまやんけ!

 エセ関西弁を胸中で叫んでしまったね。

 掃除させていてレベルアップしたから『掃除』を覚えるとか。

 単純すぎだろう。


 まぁいい。


 これで、『クロスゴーレム』は『掃除』させておけばいいと確定した。

 ガンガン掃除させてレベルを上げていこう。





『クロスゴーレム』の経験値稼ぎ方法が確定した。

 それはいいことだが、ここに来た目的はそれじゃない。


「『ペクン』の町に遠征することになった。みんなも連れて行くから、お土産とか買うならいっしょに行かないか?」


 町への買い出しへのお誘いである。

 一人で行くと、あとは騎士団から数人護衛が付いてくるだけになる。

 むさくるしくなるので、アンナをお供にしようという考えだ。


「なぜ、そのようなことに?」

 遠征と聞いて、不安を感じたのか眉を下げて聞いてくる。

 これは話の切り出し方をしくじったな。


 おこちゃまが少しばかり前に出過ぎたのだ。

 年相応だからいいんだけどな。


「僕の『ゴーレム』を遊ばせるためなんだ。広くて、あまり人のいない場所じゃないとダメでしょ? それで、東側の広いとこでするの。近くに村とか無くて遠いねって話になって、それでペクンの町」

 舌っ足らずな発音で一生懸命に説明をした。


 我ながらちょっとかわいいかもとか思ってしまったね。

 アンナもそう感じたようで、心配そうだった顔から一転、花が咲いたような笑顔になった。


「そうでしたか、それなら買い物は必須ですねぇ」

 楽しそうに乗ってくる。


「よし。決まりだねっ」


 そんなわけで、アンナとのデートが決定した。



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