第74話 女湯のリフォーム
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私は明日(12/28)で仕事納めです。年内は小説を頑張って書いていこうと思います。
この休みの間にどれだけ書き溜められるかが大切と思ってます。
でも書くモチベーションは皆さんが訪問してくださることです。本当にいつもありがとうございます。
白い大理石のテーブル席で雑談をしていた。シュリは大理石が冷たくて気持ちが良いと突っ伏すようにして顔をテーブルに付けている。
「もうさ、私たちって村を作れるんじゃない?」
伐採や開墾ばかりしているからか、シュリがそんなことを言いだした。
「もし作るならどこが良い?」とショーンが話題に乗ってティアを見ると、「私は絶対に海の近くね。」と答えた。
ティアのローブ姿で海かぁ……、でもそういう状況を想像できないなぁ。あ、でも冬の厳しい海からの吹きざらしの強い風になびく髪の毛とローブとかなら似合うかな。
そんなことを考えていると「作業は順調かしら?」と後衛班長として残ったフリーダが話しかけてきた。
「明日か遅くとも明後日には南側に外壁と門を作り終えられると思います。」と俺は答えた。
「……明後日ですか。コーヅさんの感覚には慣れませんね。タイガー隊長にも伝えておきます。」と、フリーダは苦笑した。
「僕たちもコーヅの感覚には慣れないですよ。」とショーンが俺を見る。
「ホント、私も感覚がおかしくなりそう。」とティアがわざとらしく首を振って、2人の意見に乗っかった。
いや、ティアなんて爆炎マグマであの巨体のオーガキングを一発でやっつけだろ。そっちの方が信じられないっての。
そんな思いでジト目をティアに向けると、ティアは小さくベっと舌を出した。
「近くで見ているあなた達がそう思ってるなら、私なんて尚更ね。」と笑いながら去っていった。
「ティア!」
すると後ろからティアを呼ぶ声が聞こえた。声の方を見ると、こっちこっちと女性が手招きをしている。
「ちょっとごめん。」とティアは立ち上がると「何?」と言いながら女性の方に歩いていった。
ティアたちは俺たちに背を向けるように少しの間コソコソと話をしているが『無理だよ。』『約束でしょ。』と少し声が大きくなったところだけ聞こえた。そしてティアはまた何事もなかったかのように戻ってきた。
ティアは戻ってきても何を言うわけでも無かったので、敢えて聞こうとはせず、俺たちは作業に戻ることにした。
村の南側ではヴェイたちが伐採を続けていたので、そこそこ広がってきている。東西の外壁も南側の伐採された位置に合わせて伸延させる必要もある。
「ヴェイ、南側も外壁を作っていこうと思うんだ。作り始めても良いかな?」
「もうここまで来たのかよ。悪いんだけど今日までは俺たちに時間くれよ。あそこまで村を広げるって村長としちまったんだよ。」
ヴェイが指した先は木々に覆われていて、どこの事なのかよく分からなかった。でもそれがどこまでであれ、約束したなら仕方ない。
「了解。東西の外壁は延ばしておいても大丈夫?」
「ああ、そっちには広げねぇよ。」
「全部、明日にしようよ。コーヅならそんなに変わらないでしょ?」とティアが面倒くさそうに言った。でも明日の作業量が増えて大変になるのは俺なんだけど、と口には出さず心の中で反論した。
「それにしても村の敷地も広がったよね。元の敷地の何倍あるんだろうね?」
シュリが両手を広げて周囲を見回しながら言った。
元々の村は20軒程度の家を木の柵で囲っていた。村の家々だってそんなに大きくない。だから村自体は大した広さではない。せいぜいサッカー場くらいじゃないか?
でも新しく作った外壁までの距離は村の縦横の長さよりも長い。東西は4倍か5倍くらいになったんじゃないかな。南北もまだ分からないけどヴェイたちがこれから広げたら同じように4倍とか5倍くらいになるんじゃないのかな。20倍前後とか?すごい広げたな。我ながら驚いた。そりゃ、北の外壁から帰って来るのも時間がかかった訳だ。
でも外壁作りを明日にするとなると、急にやる事が無くなった。
「……この後、何をして時間潰そうか。」
俺は何気なくイメールを見た。するとみんなも釣られてかイメールを見た。イメールは戸惑い気味に「僕……ですか?」と俺を見た。
「ここはイメールくんでしょ。」とシュリがからかう様にイメールを指名した。
イメールは「え?えっと、えっと……。」と何も思いつかないようで焦っている。そんなイメールの様子にティアが口を開いた。
「何もないならさ、女の子用のお風呂を綺麗なデザインにしてもらえる?」
「あー、いいかも。明かりなんて魔石を転がしてあるだけだしね。」とシュリが賛同した。シュリが賛同したのを見たイメールはやる事が決まりそうなのでホッとした表情を見せた。
「あー……、それなら僕には手伝えることは無さそうだし、伐採の方を手伝ってくるよ。」とショーンが言うと、「私もそっちを手伝おうかな、私も役に立て無さそうだし。ティアちゃんは2人を見ててもらえる?コーヅくんとか心配だし。」とシュリは余計な一言を加えて、ショーンの隣に移動した。
「私はゆっくり過ごしたいから2人を監督してるよ。」
やる事が決まったのでショーンやシュリとは別れて、俺とイメール、ティアの3人で大浴場に向かった。まだ入浴するような時間ではないから人の気配は感じないけど……
「ティア、女湯に誰も居ないか見てきてもらって良い?」
「そうね、分かったわ。」
まずティアが女湯を見に入っていき、誰もいないことを確認して「大丈夫よー!」と中から呼ばれた。
男子禁制の女湯に足を踏み入れるのでイメールは少し恥ずかしそうにしている。でもチラチラと周りを見ている。そしてブツブツと「ここで女の子が……」とか言っている。そんな様子を見ながら、俺はこのくらいでは何も感じないおっさんになったんだな、としみじみと思った。
イメールの事はそっとしておき、「ティアは明るい感じと、落ち着いた感じだとどっちが好き?」と聞いた。ティアは少し考える様子をみせてから「私は明るい方かな。」と答えた。
「分かった。」と答えてイメールを見た。イメールもティアの考えを聞いたらスイッチが入ったようで壁や床を見ながら考え始めた。
イメールのデザインセンスを知ってしまった俺としては、ここはイメールに一任したいと思う。邪魔をしないようにイメールの死角に移動した。
イメールはしばらくブツブツ言いながら大浴場内を歩いて指をさしたり、なぞったりしていた。俺たちはそんなイメールの様子を少し離れて見ていた。
「なんかデザインとなると人が変わるよね。」とティアに話しかけた。
「そうね。適性があるんでしょうね。」
適性かぁ。うーん、俺はどんな事に適性があるんだろう。そもそも俺は一体をしたいんだろう?……あ、いや、違うな。何をしたいのかじゃなくて日本に帰りたいんだよ。最近、居心地が良過ぎて本来の目標を見失いそうになることがある。
でも日本に帰れるまでは、この世界の人たちが今より少しでも幸せに感じれるように手伝いたいとは思ってる。
「コーヅさんはどんなアイディアを持ってますか?」とイメールに話しかけられた。
「アイディアもこだわりも無いよ。今までも日本で見たものを模倣してただけだしね。」
「そうですか……。」とまた少し考え込むようにして「僕の考えで良いですか?」と聞かれたので「もちろん。」と答えた。
俺はイメールのアイディアを聞いた。床を薄い紫にする。そして壁も同じ色で細い線を引く。そしてそれ以外の壁は乳白色から可能な限り白に近くしていくというものだ。
更衣室には俺が着替えを置く為に壁際に台を設置して、置き場所の境目を見分けられるようにイメールが色分けをする。そして照明は入り口から更衣室までは足元を照らすようにして、更衣室は上から明るく照らすようにというものだ。
「コーヅさんは着替えを置くための台を作って貰えますか?僕は床に色をつけていきます。」
俺は分かったと答えると壁際に移動した。そしてティアは入り口で女性が入らないように見張ってると言って大浴場から出ていった。
鎧を脱ぐとなると、そこそこ広く作らないといけないと思う。そして更衣室をぐるりを見回して何となく実施内容をイメージしてから作業を始めた。
これまでは着替えは床に直置きしていたけど、床も少し上げて床と着替えを置く場所を明確に分けた。これを両側の壁際に作った。次に2段目の台をヘソの高さで作っていった。それは着替えが落ちにくいように手前側を少し盛り上げた。
台を作り終えて、顔をあげるとイメールは床の色を変え終えていて、壁に細い線を引いているところだった。相変わらず仕事が丁寧で線に歪みが無い。
「イメール。こんな台でどう?」
「僕がコーヅさんに何か言えることなんて無いですよ。流石と思いながら見てました。」
屈託のない笑顔で言われてるから違うと思うけど、一歩間違えると褒め殺されている気になりそうだ。それだけイメールの作業に比べた自分の作業の不均一さが目立ってしまう。
「これで良いなら次は照明の魔石置き場を作っていくけど。」
「はい、お願いします。」
イメールから魔石置きを渡された。光魔石を入れると光が隙間から漏れる感じになっている。これを光が直接目に入らないような高めのところに付けておけば良いそうだ。
俺は魔石置き場を設置するために4段ほどのステップをL字に作った。少し背が低くても魔石を交換できるような高さで、壁の四角に魔石置き場を設置した。
イメールを見ると、また照明用の魔石置きを作っている。更衣室内を見回すと、床や壁だけでなく、着替え置き場も一部着色されている。
「照明はOKだよ。」
「もう少し……待ってください。」と言いながら照明用の魔石置きを作り続けている。作業を覗き込むと、近くで見ないと気付かないような細かなところまで作り込んでいる。そんなイメールの職人技は見ていて飽きない。
「できました。お待たせしてすみません。」
イメールは作り上げた浴室内の魔石置き4つを渡してくれた。
俺はそれを受け取ると、しばらくまじまじと観察した。部屋に飾っておきたくなるくらいに細部までこだわった魔石置きだ。
浴室の中でも同じように魔石置き場を四隅に設置していった。俺の作業が終わる頃、イメールも更衣室の作業を終えて浴室に入って来ていた。
「俺は終わったよ。」
「ありがとうございます。後は僕の作業ですね。作業が遅くてすみません。」
「いや、俺は雑だから早いだけだよ。」
俺が更衣室を覗いてみると、照明用の魔石置き場にも細かなデザインが施されていて俺が作ったものと全く別物になっていた。本当にデザインはイメールに任せて良いと思った。ってかどうやってあんな細かく魔力を操作してデザインするんだろうか?すごく不思議に思う。
俺は自分のやる事が全部終わったので、ティアの所に顔を出すために女湯の入り口に戻った。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回は12月31日(金)に投稿しようと思っています。




