一章-4「無限階段」
““巻き戻し異世界生活は甘くない!””
一章-4「無限階段」
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精隷・アジュエリ。
彼女は200年も『護衛の依頼』を断り続け、唯一飲み飲んだ『護衛の依頼』が、リザールによる**屋敷の護衛**のみであった。
「…ならもういっその事、リザールに全部聞いた方が早いような気もすんだよな………」
ラーナ曰く200年前にアジュエリを雇用したのがリザールであり、そこからお互い深い信頼関係にある。
ならリザールからアジュエリの情報を聞き出し、一番手っ取り早いテイム条件を―――
「あ。リザール様に何か聞き出そうとしているのなら無駄ですよ?あの方はリールクス様と今、メイオーン都市について話し合っておりますので。」
「そうだった!」
と、頭を抱えて唾と同時に強く叫ぶリドゥル。
それを見てラーナはくすくすと笑って
「でもご安心ください。リザール様以外にも、精隷にお詳しい方が一人だけおらっしゃいますので」
「あ、そうなの?誰?」
精隷・アジュエリが上に居たのに対し、ラーナは床…つまりは下を指差す。
「**“精隷師・ヘシュマ”**様。このお屋敷の地下ふかーーーくに存在しておられる、精隷使いでございます!」
「精隷師…ヘシュマ………か」
とにかく『精隷を手懐けよ』のクエストをクリア出来ればなんでも良い!
「じゃあ向かうか、そのヘシュマってやつの元へ!」
「はい!リドゥル様ァ!」
と、なんやかんやあり……俺はラーナと一緒に地下へ向かうのだが……とんでもなく長い螺旋階段で俺は既に折れそうになっていた。
「はぁ…ああっ…!無理無理無理無理ッ…!無理ですッッ…!こんなのっ…!いくらなんでも長すぎだろうがぁっ…!!!」
既に螺旋階段と向き合って恐らく早4時間は経過した。
4時間も歩きっぱなし!どんだけ長いんだよ!!!
「リドゥル様、もう少しですよ?もう少しで……」
「その言葉ァ!1000回は聞いたぞ!!!1000回はぁっ!!!!お前嘘つきメイドだろッ!!!嘘つきがぁぁぁあづっっだっ!!」
ずっとグルグル階段を降りているのだ、頭のネジの一つや二つ、抜け落ちてたって仕方がない。
「う、酷いですリドゥル様っ…うっうっ…………。くぅぅん…」
雨の日捨てられた子犬のようにその場で縮こまるラーナを見て、俺は正気を取り戻す。
「ごっ、ごめんラーナ。お前も疲れてるだろうに…」
優しくラーナを抱きしめ、頭を数回撫でてみる。
「………んで、少し気になってたんだが…。ラーナ自身、この螺旋階段はこんなに長かったのか?」
頭を撫でられ頬を染める彼女は、目頭に涙を浮かべながら首を弱々しく横に振った。
「いいえ……。本来なら1時間程度で到着するはずなんですけど…………」
「なんでそれを早く言わなかったァ!?3時間オーバーは充分なイレギュラーだろうがぁっ!!!」
「何言ってるか分かりませんが、怒ってるのは伝わりますっ…!うぅ、ごめんなさぁい…!」
まぁなんだ。
4時間経過で一向にヘシュマの元へ辿り着けねぇなら……考え方は一つだな。
「ラーナ、ちょっと待ってろ。」
俺は螺旋階段を素早く駆け降りる。
本来なら、俺の姿は下へ下へと消えていくはずだが……
……1分弱が経過したところで、ラーナが体育座りをしながら縮こまっているのを発見できた。
「っぱりな…。」
「えぇ!?どういうことですか!?さっき下へ向かいましたよね!?なのになんで…………上から…!?」
「………面倒なことになったぞ、ラーナ。」
これは漫画やアニメでありがちな**『無限ループ』**ってやつだ。
にしてもこの異世界、異質な程に俺をループさせたがるな…。呆れるぜ。
「うーん…ラーナ、魔法は打てるか?なんか、攻撃的な魔法!」
ラーナを無理矢理立ち上がらせて質問をする俺に、ラーナは弱々しく
「…一つだけ……なら。」
そう呟いた。
意外にも意外だ。
こんな弱々しい見た目をしていながらも、攻撃的な魔法を扱えるのだから。
見た目だけ冒険者の俺よりも遥かに頼もしい。
それはそうと、彼女が攻撃的な魔法を放てる事実を知って、少しばかり嬉しくなった。
何故なら、一つの打開策が生まれるからだ。
「なら!その魔法を壁に向かってドガーン!と!やってくれねぇか!?」
「どがーん…?」
「ぶっぱなせって意よ!」
もしかしたら何かしらの拍子で俺らは**「別の螺旋階段を降りている」**…っつー可能性が出てくる。
つまりは、**本命の螺旋階段はまた別の場所に存在してる**んじゃないか、そう思ったわけだ。(こういう展開を、なんかの漫画で読んだ)
「分かりました…!」
ラーナはこくっと頷いてから両手を前に突き出し、そこから光を収束させる。
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そして、とある詠唱を始める。
「…**『光り輝く炸裂の電撃よ。自在、雷の恩恵を我に与えよ』**っ…!」
「えっ?えぇ!?」
収束していた光は次第にバチバチと弾けるような音を立て、彼女は意気揚々と叫んだ。
「**《リグトビジュア》**ッッッ!!!」
一瞬、視界が真っ白に染まる。
その一瞬は、巻き戻りを予感してしまうほどであり、吹き飛び慣れていない俺を容赦なく吹き飛ばす。
「ぐぇっ!!」
壁に叩きつけられたと思えば、向かい側からとんでもない轟音が鳴り響き……土煙が周囲を抱擁する。
「ゲホッ!!ゴホッ、ゴホッ!っつぅ………な、なにが、あった……………」
土煙が晴れ、再び彼は吹き飛ばされたような感覚を、
錯覚してしまう。
理由は一目瞭然、目の前に巨大な穴が空いているからだ。
「……は、はぁ…?はぁあああ…………????」
恐怖や痛覚よりも先に困惑が込み上げ、身体の痛みを一時的に感じさせなくする。
その巨大な穴の向こう側には……また別の、螺旋階段が発見された。
「すっ、素晴らしいです!リドゥル様ッ!!まさか本当に、別の螺旋階段を見つけ出すとはっ!!!さすがです!」
「お、おう…?ああ?」
状況が理解できたぞ。
ラーナは恐らく、電撃で壁に穴を開けたんだ。
そして、魔法ではありがちな『詠唱』を行い…その威力を高めたのだろう。
異世界転生系や魔法が使える世界ではありがちな設定だが…………
「マジモンはスゲェな…」
度肝を抜かれた。
この一言に尽きる。
「とっ、とりあえず!俺の引きこもりアニメ漫画二次元脳によって導き出された勘は**“正解”**だったわけだ。…っし、進もう!そして、アジュエリを―――」
直後、背中にとんでもない痛みが走った。
「がぁぁっ!?あゔ!!あぁぁぁあああああああああああ!イデェエエエエエエエエエエ!!!」
叫べば尚更痛くなるのは承知の上、だが。
この痛みを黙って耐えられるのは、バトルしまくって痛みに慣れた異世界人だけ。
部屋に引きこもって永遠とレスバして論破に慣れた日本人じゃ、無理だ。
「がっ!ぐぁぅぅっ!ぎゅっ……あ、あふん……。」
最後に間抜けな一言を残し、俺の意識は闇の中へと落ちるのであった………。
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一章-4でした!
一章-5へつづきます!




