一章-2「冒険者の仲」
一章-2です!
““巻き戻し異世界生活は甘くない!””
一章-2「冒険者の仲」
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「んで、コレが“オレンビー”っつって、さっき説明した“ミガン”と同じ」
「柑橘類!!!わかったよもうそれはぁ!!!!」
巻き戻った…まぁそりゃそうだよな……。
「400ルドー払うから、とりあえずオレンビーとミガンくれ。」
「あ?お、おう…。毎度あり…………」
財布から慣れた手つきで400ルドー支払い、紙袋に詰められた果実二つを受け取る。
問題はここからだ。
「……………」
まずはよく考えろ。
あの女の子をスルーしたら、巻き戻って…かと言い、適当に襲いかかって敗北すると巻き戻って…
まぁつまりはあの女の子を助ける為に、**『馬鹿三人組を討伐しろ』**ってことだよな。
このことをクエストって呼ぼう。
その方が俺の中で情報として簡潔に整理できる。
「……ほぼ強制的にバトルをしろって言われてるようなもんだな。チッ、神様め!俺を弄んで楽しいか!!!」
神様に一括いれたところで、バカ三人組と戦う準備を整える。
戦闘経験はゼロ、だが知識はある。
バトル漫画やバトル小説は死ぬほど読んできた。
アニメも見てるから、映像として脳に浮かびやすい。
あとはそれを……実際に実戦で発揮できるのかどうか。
「……っし、やるか…!」
意を決して前に進み出す。
―――さぁ、もう少しで…女の子悲鳴が聞こえてくるはずだ。
「だっ、だ、誰かァ!」
「よし来た。」
俺はくるっと振り返り、腰にある剣の持ち手を握りしめながら………馬鹿三人組の元へ足を運ぶ。
「……よォ、馬鹿三人組。会うのは三度目だな!―――三回分も店長の説明を聞かしやがって…!!この恨みはデケェぞ!!」
謎ギレをかます俺を見つめながら、馬鹿三人組は「はぁ?」と首を傾げて
「何言ってんだァ?テメェ。俺ら初対面だろうが。―――まぁいい。……クックックッ、俺らに楯突いたらどうなるか…教えてやるよ!!!」
「…ふぅー、よし来い!」
手をパンッ!と叩いたと同時、兄貴的存在の男は巨大な拳を振るう。
「ぐ!?」
それを反射的に出した腕で受け止め、そのまま勢いよく金玉を蹴り上げた。
「オラァッ!!!!」
「ごぎゅぅっ…!?」
なんか一番強そうな兄貴的存在の男は、俺の遠慮なしの金的によって涙目になりながら失神する。
「兄貴!?!?て、テメェ!何しやがった!!」
今度の相手は、怒りに身を任せて突進してくるモヒカン野郎。
「お前みたいなやつは、馬鹿って言うんだよ!!」
中腰になって拳を回避。
そのままソイツの腹に拳を数発打ってから、お決まりの金的攻撃。
モヒカン野郎、ダウン。
「よっし!あと一人!!」
顔に傷があるが…腕は俺より全然細い、言うのであれば、見た目はクソ雑魚だ。
「お前みたいな非力雑魚、最初に飛び込むのが自明の理ってもんだろうが。何強敵そうなやつに最初行かせてんだ馬鹿!三下!ド素人!」
「チッ!あ、あんま調子乗んなよクソ野郎………!!」
非力雑魚は歯を食いしばりながら無造作にポッケを漁り、そこからナイフを取り出す。
「へっ?え、あっ、え?な、なな、ナイフ……?」
「アァ?どうしたどうした…!さっきの威勢はよぉ………!刃物見て怖気付いちまったかぁ……!?」
「………そ、それで、俺の事刺すつもりかよ…!!」
刃物相手は聞いてねぇよ…!
どうする!?刺されるぞ!?刺されたら終わりだぞ!?
「………オラァッ!!!死ねぇッッッッ!!!!」
ナイフの先端が俺の腹部目掛けて突進してきたその時だった。
「…《ブレゼメーオ》」
「へっ?」
直後、非力刃物男の全身が燃え上がり、炎の抱擁を体感する。
「ィギャァァアアアアアアアアアアアアア!!!!」
断末魔をあげ、その場で転がりながら灰となり絶命。
俺は唖然としたまま、焼死体を見つめることしか出来なかった。
「……な、なに…?」
背後から感じられた熱を察知し、振り向く。
そこには、赤髪を揺らすオレンジ目をした青年が突っ立っていた。
「……災難だったな。」
「あ、え、?」
赤髪の男は俺を素通りし、倒れ込んでいる女性に微笑む。
「大丈夫ですか?」
「は、はい…!助けてくださり、ありがとうございます……!!」
ペコッ!と一礼してから女性はその場を去り、それを見送ってから…赤髪男は肩越しに俺を睨みつけてきた。
「―――で、なんだ?さっきの無様な戦い方は。」
「はぁ、?」
は?人が命張って助けてやろうとしたのに……ケチつける気か!?!?
「ふ、ふざけんなよお前…!どこの誰だかは知らねぇが………!あんまふざけてっと金的すんぞ!」
⠀
「………どうした。いつもはそんな喋り方じゃないだろう。」
「は?」
初対面なのに、あたかも俺と関わりがあるような言い回しだな…。
……………あ、もしかして、この身体の元の主、元の人格の知り合いか!?
「え、えと……!あの、ほら、デビューってやつ??な??デビュー!異世界デビュー的な…………?」
「………貴様、誰だ。いつもの**リドゥル**なら、そんなわけの分からない言葉は使わないぞ。」
リドゥル?
リドゥルって誰だ?
俺の事か?
「あのっ、リドゥルって俺の名前か……??」
傍から見たら記憶喪失の俺に、赤髪男は困惑しながら引き気味で頷く。
「嗚、呼……そ…そうだが………大丈夫か…??頭でも打ったのか??」
もういっそ、ここは記憶喪失っつー設定でごり押すか。
「あ、嗚呼!悪ぃな…!さっき頭打っちまって……記憶が…あはは。」
「―――買い物をしていただけで頭を…?ま、まぁいい。………とりあえず記憶喪失となれば………まずどこまで貴様が忘れているのかを知りたい。」
「あ、全部忘れたぞ。」
ガチの記憶喪失が言わなそうなセリフ第1位がコレだろう。
我ながら馬鹿な発言で笑えてくるほどだが……赤髪男は余程の天然なのかバカなのか、「何!?」と目を見開いた。
「全部だと…!?それは大変だな………。……なら、再び名乗ろう。―――俺は**“リールクス・アドバント”**。……リドゥル、貴様と同じ冒険者として共に行動をしている仲だ。」
「あ、仲間なのね!?性格悪いから敵なのかと…。」
「記憶喪失だから今は許してやるが、記憶が戻ったら燃やすからな。」
そんな物騒なことを言ってくる赤髪男リールクス。
服装は、異様に高い襟が特徴的な紺色ロングコート、肩や袖に金糸の刺繍、細身のパンツ、革のブーツ、背中には黒色のマント……と、如何にも 強そうな雰囲気を放っている。
「で………俺はどうすりゃ良い…?なんか、―――冒険してる理由とかってあったりするのか?」
「嗚呼。目的はまず、ルミナスを出て……隣の都市**“メイオーン”**に向かことだ。」
ほう?隣の都市の移動中だったのか。
なんか、面倒なところで転生しちまったな……。
「詳しいことは後で話す。……まず俺達は…メイオーンに向かう前に―――屋敷で少し準備をしなければならない。」
「……屋敷…………?」
「そうだ。……着いてこい。案内する。」
目を瞑ってからリールクスは立ち上がって、屋敷への道を歩き進める。
「ちょ、ちょっと待て!」
俺はアヒルの子のように従順に、リールクスの背中を追うのであった。
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しばらく歩いた。
時間は分からないが……恐らく20分は歩いただろう。
沈黙な20分であったが………屋敷が見えてくると同時、その広大さに驚きを隠しきれず、唖然と口を開けて沈黙を破ってしまう。
「な、なんだよアレ…!デカすぎんだろ!!!!」
「…………アレは、**“リザール邸宅”**。我々の拠点だ。」
「拠点……?」
旅する冒険者なのに拠点?と思いつつ、巨大な屋敷から目を離さない。
見ただけで分かる、家主はとんでもなく金持ちだ。
「………………」
リールクスに引き続き着いていくと、目の前に巨大な門が現れる。
その向こう側に…先程顔を覗かせていた邸宅が。
「………リザール殿、俺だ。リールクスだ。」
門に向かってそう言うと、金属の重々しい開閉音が鳴り響き……俺たちを歓迎してくれた。
「はぁ!?庭ヒッッッロ!?んだよこれ!!日本じゃゼッテーにないぞ!?こんなデケェ屋敷!!!噴水が15個もある!花も咲きすぎだろ!ヤベェってここ!ヤベェって!!!」
「隣で騒ぐな。」
自分で言うのもなんだが、俺は子供っぽかった。
異世界人からしたら、「所詮は庭」「これくらい普通」と思っているのだろうが……こんなの見て興奮しない日本人は居ない。
「うっひゃー!!こんな良い屋敷があるなんて、ルミナスってすげぇなあ!」
「……リ、リドゥル様?」
腕を広げてバカみたいに叫ぶ俺へ…冷たい視線が向けられる。
「あ?」
ふと声のした方を見やるとそこには、メイド服を着た小柄な金髪少女が、前で手を組んでこちらを見つめていた。
そんな彼女、俺のアホらしい姿を見て一言。
「こっ、こんなの……!リドゥル様じゃなぁああああああい!!!!」
「ガハァッ!!」
彼女からの突然の腹パンに唾と情けない声を吐きながら柔らかい芝生に倒れ込む。
「イッデェェエエ!!何すんだよぉ!イッテェよぉ!!!何すんだよぉ!」
「当然だ。…馬鹿馬鹿しい。」
リールクスまで俺に冷たい視線を向ける。
ここで初めて、俺は自ら巻き戻しを所望した。
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