【09】 なんであたし服着てないの!?
ジーーーーン、ジーーーーン……。
朝6時。由利の携帯のアラームが静かな室内に響いた。
最初に目を覚ましたのは、ふかふかのベッドに包まれていた爽香だった。
爽香(あれ……ここ、どこ?……あ、そうか。ラブホで特訓したんだっけ……)
寝返りを打った瞬間、腰元に触れた肌の感触に違和感を覚える。布地がない。
爽香(……え? 穿いてない? 下着は……? なんで私、丸裸なの!?)
血の気が引いた爽香は、思わず身を縮めた。薄暗い部屋の床を見下ろすと、緑色のカーテンを蓑虫のように巻き付けた男ふたりが転がっている。
爽香(最後どうなったんだっけ……? まさかこの人たち……あたしに何かしたんじゃ……!)
爽香「……ねぇ。まさかあたしたち、エッチしてないわよね?」
暗闇に向かって、爽香が低く殺気立った声を絞り出す。
床のミノムシ(由利)が、目を閉じたままボソッと答えた。
由利「何もしてないよ……」
爽香「あたし、最後どうなったの? 記憶がないんだけど!」
由利「気を失ったんだ。で、そのまま寝た」
爽香「じゃあ、なんであたし服着てないの!?」
由利「濡れた水着のまま寝たら死ぬから脱がせた。真っ暗闇の中でな」
爽香「……裸、見てない?」
由利「見てない」
爽香「……そう」
隣で寝た振りをしていた丹沢は、心の中で冷や汗をかいていた。
丹沢(あー……危ねぇ会話だ……)
丹沢はわざとらしく「う〜ん!」と大きな伸びをして起き上がった。
丹沢「あっ! もうこんな時間か! 仕事行かなきゃ!」
由利「あ、そうだ! 遅刻する!」




