【05】 手錠にムチ、怪しいおもちゃ
408号室のドアを開けると、部屋の隅に豪華なバスケットが置かれていた。
爽香「へえ、こういう所って初めて来た……」
爽香が中を覗き込み、怪しげなグッズを手に取る。
爽香「ねえ、なんでアロマロウソクがあるの?」
丹沢「非常用の防災グッズだろう」
爽香「じゃあ、この細長い電動バイブレーターは?」
丹沢「泳いだ後に肩をほぐすマッサージ器だな」
爽香「この手錠は?」
丹沢「警察官のカップルがおまわりさんごっこをするためだ」
爽香「この鞭は?」
丹沢「競馬の騎手がトレーニングに使うんだろう」
爽香「なるほどねぇ! 二人ともすごく詳しいのね!」
丹沢「まあな」
爽香は生温かい目で見つめた。
爽香「二人の関係って、やっぱり『淫乱の友』ね」
丹沢「……」
爽香「全部SMで使うんでしょ」
丹沢「知ってて聞いてたのか!」
奥の扉を開けると、そこにはダークブルーの水中照明に照らされた、7メートルほどの幻想的なプールが広がっていた。
爽香「うわあ……! すごい! 感動!」
丹沢「休憩17,000円の価値はあるな。……で、誰が払うんだ?」
爽香「あたしの特訓だから、賞金が入ったら全額払うわ!」
丹沢「いや、無給の速水さんに払わせられない。全額私が持つよ」
由利「いやいや、言い出したのは私だ。ここは私が……」
爽香・丹沢「じゃあ由利さん、ごちそうさま!」
由利「……早っ! ハメられた……!」
プールサイドに降り立った爽香は、真顔になって二人に頭を下げた。
爽香「二人にお願いがあるの。あたしがここに来たこと、絶対に秘密にしてね。ボートレーサーの団体って風紀に厳しくて、こんな場所に来たのがバレたら大変なことになるから」
由利「分かってるよ。口の堅さなら丹沢さんは『壁』レベルだ。壁は喋らないからな」
丹沢「由利さんだって口が堅いよ」
爽香「丹沢さん、由利さんの唇に触れたことでもあるの?」
丹沢「ああ、この前キスした」
爽香「えっ、二人はそういう関係?」
丹沢・由利「するわけないだろ!」




