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来た!モテ期?

「あら、お早いお立ち直りですのね。」


会場に着いて早々、夜会の花々と呼ばれる方々の洗礼を受ける。自分の美貌を疑いもせずに美しく着飾る花々は、頭の中もパーティーな花々だ。


いつもは素通りする癖に。


メイはギリっと奥歯を噛んだ。


「まだ暗い気持ちはあれど、憂いた顔を見せ続けるの周りの方に心苦しいのですもの。」

「あら、ミシェル様にそれほど想いを寄せていたのね?」


あんなブスに?お似合いだけれど。と言わんばかりの口ぶりと見下した目がメイに投げつけられる。


「信頼を寄せていればこそ、裏切りは悲しいものです。」


愛ではないと強調するように、メイがにこやかに答えた。


「あら、そう。」


扇子で口元を隠した夜会の花が目を細める。どうやら、花々は私と話しても面白くないと品定めしたらしい。


「では、夜会を楽しんで。」


花々は自分の夜会のように振る舞いながら、去っていった。


はぁ。


メイがため息をつく。これはきっと始まりなのだ。

メインホールに着くと、ヒソヒソ話が付いて回る。比較的友好のあるグループに軽く挨拶を済ませると、世間話もせずに一人離れて壁に向かった。一人一人は良い人達なのだが、女性が集まればなんとやら。メイが少し離れると、背からすぐに噂話が聞こえて来た。


今はキツくても、すぐ無くなるわ。


私みたいな地味な人間の話など、他に面白いことがあればすぐに忘れられる。本当は忘れられた頃に顔を出したかったのだけれども。


「お嬢様、一曲いかがですか?」


知らない男性から手を差し出される。婚約者がいた頃には考えられなかったことだ。


断りたい…


そう思いながらも、パーティーを楽しんだと言う既成事実を残すためメイは手を取った。

一曲を終え、男性はメイの腰に手を当てたまま馴れ馴れしくエスコートする。


「少し休憩しませんか?」


メイの手を握る男性の手に力が入っている。


なんだか、気持ち悪い。


男性の笑顔が急ににやけ顔に見えて仕方ない。


「まだ夜会は始まったばかりでしてよ?」

「魅力的な女性とお話ししたいと思ってはいけませんか?」


そう言って、男性はメイの手の甲にキスをする。顔に似合わず甘い言葉を吐く男性にメイは鳥肌を立った。


失恋した時に寄ってくる男は地雷と言うけれど、初っ端から強烈なのを当てるなんてっ!


地味だから舐められることは知っていたが、ここまでとは思わず、メイは自分自身に落胆する。


誰か助けて…っていっても。


メイは周りを見渡す。ニヤニヤしている男ども、貴女にはお似合いだと言わんばかりの花々、楽しげにチラチラ見ている他の女性陣たち。


誰も助けてくれないのなら、自分でヤるしかない!


メイは自分自身を奮い立てが、呆気なく助かることとなった。


「次は私と踊っていただけませんか?」


とある男性が、私の前で手を差し伸べてくれたのだ。


「はい、喜んで!」


馴れ馴れしい男性から手を離し、この人なら信用できるとダンスを申し込んで来てくれた男性の手を取る。

何故なら…


「助けていただきありがとうございます、ディル様。」


踊り始めると、小声で男性に伝えた。


「まだ早いよ。まだ見ているし、アイツは執念深いからな。反対側まで行ける?」

「はい。」


ディルはスマートに前の男性から離れた場所へ移動させてくれた。


「名前、知っていてくれたんだね?」

「ディル様を知らない人など夜会に居ませんわ。夜会の蝶ですもの。」


毛先のウェーブした髪は夜の蝶に相応しい漆黒であり、同じ色をした瞳は優しくも妖しく憂を帯びている。

蝶のように気まぐれで、果てしない闇の様な瞳は女性の心を吸い寄せるように捕らえて離さない。

引用は元グループの友人より。

メイ は夜会に来てやっと自然に笑えた様な気がした。


「無防備に笑うんだね、私もあの男の様に口説きに来たとは思わないの?」

「それはあり得ませんわ。蝶は蜜を吸うもの、花に寄れど蜜のない野草に留まるいわれはないですもの。」


メイはキッパリと言う。


「羽休めに。は?」

「ふふ…こんな噂の面倒な状態だった私が羽休めになる訳がありませんわ。…それでも私に声を掛けてくれた貴方は紳士的な方だと私は思っています。」

「これでも?」


丁度曲が終わり、先ほどの男がキスをしたメイの手の甲にディルがキスをする。


「…ディル様だと大丈夫です…容姿と行動が伴っているからなのでしょうか?」

「はは…本当に面白い人だね。少しもドキッとしなかった?」

「流石にドキッとしましたよ!まるでサスペンス物語を読んでいるようでした。」


ディルに色気が無いと言っているようなものだと気づき、メイは慌ててフォローしたが実際にはフォローになっていない。


「ディル様、花たちがお待ちですわ。」

「ああ…」


沢山の夜会の花たちがディルを熱い視線を送ったり、メイに冷たい視線を送ったりしている。


「先ほどは本当にありがとうございました。またお会いした時にお話しできると嬉しいですわ。」


メイは会釈をして、花たちへ飛んで行く蝶を見送った。


まだ、ダメかしら。


メイは時計の針を見つめる。

まだまだ夜会は終わらない。

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