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セカンドバージンのOLの私とセカンドバージンの彼が出会ってしまった件  作者: 坂本竜(リョウ)
第3章 素人小説家であるOLの私と、私の読者である彼女が出会った件

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第2話 女の子同士で初デート

 私たちは喫茶店を出て手を繋いだ。小説の通りだ。

 彼女はキョロキョロしていた。


「あ、いた。先生、あのカップル恋人繋ぎしてるわ」


「じゃあしかたないわね」


 私の小説では恋人繋ぎをしているカップルを見て、主人公たちも恋人繋ぎするのだった。土曜の午後の繁華街。そりゃ恋人繋ぎしているカップルぐらいいるだろう。私たちも恋人繋ぎした。

 

「先生、これドキドキしますね」


「そうね。ドキドキするのはイイことだわ。リハビリになるし……」


 私は女の子と恋人繋ぎをしたのは小学生の時以来だった。

 繋いだ手が少し湿ってきた。


「よく、手の汗が気になるから手を繋げないっていう子がいるけど、手の汗はゴホウビだから気にしないでね」


「先生のイジワル!」


 彼女は顔を真っ赤にしていた。可愛い!


「先生、これからどこへ行きます?」


 ①街へ出て映画デート

 ②ピクニック

 ③あじさい寺


「どれにする?」


「小説と同じなんですね、じゃあ、決まってますね!」


 私たちはあじさい寺行のコミュニティバス――あじさい号に乗った。バスは始発からなので座れた。近くに、さっき見かけた恋人繋ぎしていたカップルも座っていた。


「カオリさん、ちょっと試させてもらってイイ? 次の小説の参考にしたいの」


 私たちはいろいろな手の繋ぎ方を試した。


 指先繋ぎ

 約束繋ぎ

 手首繋ぎ

 ……


 女の子同士でイチャイチャするのは楽しかった。後ろに座った『恋人繋ぎの恩人』のカップルもイチャイチャしていたので、気にならなかった。


 緊張がほぐれ、本当に仲のよいトモダチになったっようだった。


 あじさい寺は綺麗だった。

 まだかろうじて紫陽花《あじさい》の花が残っていた。白や紫、赤紫などの色とりどりの花が山の斜面いっぱいに咲いていた。お寺の鐘撞堂が紫陽花に取り囲まれていて良い雰囲気だった。


(静かで、きれいで、隣にカワイイ女の子がいる! 最高だわ!)


 私たちは手を『手首繋ぎ』にして紫陽花の庭を散策した。『手首繋ぎ』は密着度が高く、私たちにはまだ早いかな……と思ったが、女の子同士なら許される。たぶん。


 私たちは二人で紫陽花の写真を撮ったりしていた。高校生くらいの女の子二人組にお願いして紫陽花の花をバックにツーショット写真を撮った。お礼に彼女たちのツーショット写真も撮ってあげた。

 小説では百合カップルに写真を撮ってもらうのだが、彼女たちは百合ではなく、普通に友達同士だった。


 別れ際に彼女たちのひとりがカオリに言ったのが聞こえた。


「頑張ってね!」


 カオリは真っ赤になっていた。


(そうか、百合カップルは私たちの方だった……)



 途中、紫陽花の小道で人通りが絶えた。彼女は少し笑いながら私に問いかけた。


「先生、ここでキスします? リハビリに」


 これは私の小説のセリフだ。答えは……

 私は彼女の少しぷっくりとしたクチビルを見た。


「キスは3回目のデートと決めてあるわ。リハビリに」


(ああ、私のバカバカ! なんでこんな設定にしたの!)


 一通り庭園を散策した後、本堂にお参りにいった。二人一緒に手を合わせる。


「「恋愛のリハビリがうまくいきますように!」」


 私たちは顔を合わせて微笑んだ。


(私は妄想とはいえ、なんてものを書いてしまったんだ! キュンキュンするではないか!!!)



 私たちはあじさい寺を出て町に戻った。

 私の行きつけの洋食屋さんでディナーを取った。


「ここが先生の行きつけなんですね。私も何度か来たことがあります。あそこがいつも先生がいるカウンターですよね」


「今日はテーブル席で食事できてうれしいわ。ここ、オムライスがおいしいのよ」


 彼女はライスがリゾットになっているオムライスを頼んだ。私は上に乗せたオムレツをナイフで切るとライスにかぶさるようになっているオムライスだ。


 注文の品を店員のお姉サマがはこんでくる。


「あら、今日はひとりじゃないのね。お友達いたのね」


(うるさい、ババア。私だって友達の一人や二人……)


 よく考えると、このお店に二人で来たのは初めてだった。

 私は恥ずかしくて下を向いた。彼女は少し笑った。



 食事が終わってコーヒーを飲む。


「先生、明日はどうします? 二回目のデート」


「さては早く三回目のデートに行きたいのね。わかったわ、明日もデートしましょう!」


「先生もそう思っているんでしょう?」


 私は否定しなかった。


(でもこのままいっても五回目のデートは無い……どうなるのかな?)


 その日は彼女とプライベート用のSNSのアカウントを交換し、私たちは別れた。



 夜、彼女へメッセージを送った。


 ――『楽しかったよ。ありがとう』


 彼女はすぐに返事をくれた。


『私も楽しかった! 明日も楽しみ!』――


 私はずっと手首繋ぎで繋がれていた手首をさすった。彼女の感触が残っていた。私はそれを思い出しながら眠りについた。

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