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異世界転生したようですが、別に才能は無いようです  作者: 人間の善性はかくも美しい
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18話

 王権神授、と言ったのだったか。この国では神によって定められた国を統治する一族である王家が、それを補佐する貴族とその下で繁栄する民という構造になっている。では、その神の僕たる教会勢力はどのような位置づけになっているのか。


 答えは単純明快であり、あくまでも国王の下である。教皇猊下が大臣と同等の権威と言えばその力関係が分かるだろうか? あくまで宗教は王家の権威付けであり、民衆に分かりやすい教育であり、結論付けてしまえば道具である。


 そこでだ。ある純朴な司祭が派遣先の街でその才能を見出し、果ては神に愛されたとでも言うべき不可思議な現象がその身の回りで起きる存在が居るとする。どのようにするのが正しい行動だろうか。


 今代の国王は臆病者ではなく、むしろ野心家であるようだった。故に使える道具をわざわざ捨てる事は無く、暴走させずに制御して見せる心胆なのだろう。故に私を排除するのではなく、むしろ息子を通して勢力下に置こうとしている。


 貴族においても上へ倣えというものか、少なくとも表面上においては私を排斥しようという流れは存在しないらしい。別に学院の中で敵対するものが居ないだけではなく、むしろ私を通した王家へのパイプ作りすら画策している数も多い。


 つまり、私の敵は私が所属する教会勢力内部にこそ存在するというわけだ。明らかに腐った連中は全く不思議な事に突然信仰の尊さに目覚めた挙句熱心な祈りの果てに天に召されたのだが、表面上敬虔であっても権力の魅力に取りつかれている愚物は居るらしい。


 法術を扱える神官ともなれば、基本として自身の技量を少しでも向上させ、相手に負担を掛けないことをこそ重要視する健全な精神性を持っている。逆に言えば、誰でも思いつくような悪用法に思い至る人間はそう多くは無い。


 教会の暗部である査問会の暗殺チームは、本人達が思いついたのか、組織として長年そうやって運用してきたのか、はたまた健全な思考を持っていなかった人間がノウハウを伝えたのかはさておくとして、相手に軽傷を負わせることに特化していた。


 手傷であってもひたすらに相手の体力を奪うよう法術を掛ける。些細な傷で奪われる体力は確実にあらゆる能力を低下させ、確実に息の根を止める為の布石となる。その上最終的には表面上に傷が残らない綺麗な死体の出来上がり、真相は闇へという寸法だ。


 法術を含めた補助魔法に連なる魔法はレジストを行えない。それこそ魔物相手であっても効果を発揮し、敵対関係や人間性などは一切考慮されない。一刺必殺、かすり傷が致命傷へと変化する様は下手な毒物などより効果を発揮する。


 故に、対処法は単純明快である。そもそも傷を負わなければ良い。人通りの無い裏路地、音もなく懐に潜り込む技量は実に見事であり、しかし所詮は人間の技術に過ぎない。次の瞬間には木の葉のように吹き飛び、不可視の重力によって地面に磔にされる。


 追撃とて無意味。切り返す速度は人間では反応できず、上から降る刃も含めた3方向が同時に処理される。ダンゴムシの様に丸められて固まっている光景は、実は反応できていない私にも正直驚きの結果だ。結果から起こった出来事を類推しているに過ぎない。


 遠ざかる気配は司令塔か、あるいは万一失敗したときの為の連絡要員か。見逃される筈もなく、ただ地面に転がる人間が5人に増えるだけ。学院で訓練を積んでいた筈の私よりも圧倒的に強い部下を持てて、きっと私は恵まれているのだなと現実逃避した。

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