17話
魔物狩り、文字にして起こせばたったの数文字だが、実際に行うとなればその程度の苦労では済まない。子供の遠足ではなく純粋に命の危険も発生し得るそれは、ちょっとした軍事演習にも匹敵する大人数での行動になる。
多少なりともレベルが上がった子供は実家の護衛や雇った冒険者と共に比較的少人数で狩りに行くらしいが、それこそ今まで一度もレベルを上げたことのない集団はこのように最初は纏まってレベル上げを行う。安全かつ効率的な話だ。
訓練こそしていたものの、最初から戦って勝利する事を求められているわけではない。少なくともある程度の安全性を確保するために行われるこれは、狩とは名ばかりの屠殺に近いものだ。大人が連れてきた身動き取れない小動物に鎚を振り下ろす。
素振りの様に空を切る感触や、武器の打ち合いで弾かれる感触とは全く違う、肉や骨を潰す感触。生き物の命を奪う感触を、かといって別段特別な事でもないと考え直す。そんなものは博愛主義ではなく只愚かなだけだ。
まして命を奪うだけであれば、常日頃から行われている事である。そこに意識が向くかどうかはさておくとして、生きている以上必要なそれを悪などと言うのは頭の螺子がおかしな具合に締まっているのだろう。勝手に死んでくれればいい。
かといって興奮や喜びを覚えるわけでもない。レベルが向上するという目標に対して熱意があれば、あるいはそのような事への喜びを過程へも落とし込めばそうなるかもしれないが、生憎と成長へのやり込みにかける熱意はそう大きくはない。
もちろん異常者であればただ他者の命を奪う行為に対して興奮を覚える事もあるだろうが、私が感じるのは些細な嫌悪感程度のものだ。何も感じなければそれはそれで精神の異常を考えるところだが、どうやら平凡な精神構造。
せっかくの機会と世話役と新しい従者にもやらせてみたが、周囲の騒ぎながら中々作業を行わない令嬢の集団とは異なり平然とやってのけた。まあ従者の剣の一振りで頭部が飛んで行って以降少し静かになったようだったが。
淡々と半日ほど、常に振り下ろすというほど濃密な作業でもなく、むしろ暇な時間も多い経験を積んでたところ、どうやら順当に5つほどレベルが上がっていたらしい。鎚を枯れ枝の様に振り回せるようになったと言えれば良かったのだが。
生憎とそこまでの劇的な変化はなく、精々が少し軽くなった気がする程度。振った時の音が気持ち鋭く、かつ豪快になった気がしないでもない。以降は自身で戦闘もしなければならないと思えば、もう少し劇的な変化が欲しくもあったが。




