第四十二話 「野獣 走る」
野獣は走った。
遠乃の身に危険が迫っているとカーリーが言っていたからである。
秘薬の効果もあったのだろうか。
ジウは異常な速度で走り続け、2週間かかるであろう道を4日間走り続け、遠乃がいるといわれていた、シモキ=タザワまで辿りついたのだった。
「ぬわぁぁぁぁぁんつかれたもおおおおん」
大声で叫ぶジウ。
町の真ん中にある噴水に顔を突っ込んで洗顔と水分補給を済ませ、その後は噴水の近くに倒れこんで眠り始めたのだった。
それはまるで、ホモコロリを飲まされた中野君を彷彿させる昏睡の仕方だった。
深夜になっても起きないジウの周りには野党が集まっていた。
この野党達は主に人攫いで生計を立てている集団。通称「DRVS」
彼等はあまりにも無防備なジウを攫うつもりなのだが、問題はその容姿である。
その女性はそこそこ美少女ではあったが、片目が無い上に金目の物もない。
「こんなんじゃ商品になんねぇんだよ(棒読み)」
「売買交渉もできないの? そんなんじゃ甘いよ(棒読み)」
「あのさぁ……(棒読み)」
「こっちの事情も考えてよ(棒読み)」
「何だお前根性無しだな(棒読み)」
「大丈夫大丈夫(棒読み)」
6人ほどいた野党だが、6人6様の意見だった。
最終的には、「今の彼女でいいんじゃない? (棒読み)」と意見の一致した野党達は、さらう準備をはじめていた。
準備を進めている野党達の元に、黒スーツの男が現われた。
一振りの刀を腰に下げ、咥えタバコをしている。
「あー君達、そこの女性をボクに譲ってくれないか」
野党達は「は?」という顔をしたあと、黒スーツを罵りはじめた。
「情けない横取り……恥ずかしくないの?(激怒)」
「あぁ!? ざけんじゃねぇよオイ! 誰が反論していいッつった?」
「反論くらいさせてよ、怒ってんの?(棒読み)」
野党が葛城を煽った次の瞬間。
6人はいたであろう野党は、誰一人生きていなかった。
そこにいたのはひでに殺されたはずだった、縮地の葛城だった。
葛城はジウを安全なところに運んだ後、目を覚ますまで付き添った。
そして1日たった頃、ジウが目を覚ました。
「ふぁ!!」
葛城の存在に驚いたジウは一瞬で邪剣を精製し、葛城へふりかぶった。
だがそこにはもう葛城の姿は無く、ジウは後ろから肩を掴まれた。
「君と争うつもりはない。ひでと再戦したい。協力してくれないか」
「おかのした」
ジウは一瞬で了承した。
しかしその後、ジウも条件を持ちかけた。
「葛城さ、何か腹減んないスか?」
「あ~腹減ったなぁ」
「この辺にぃ、うまいラーメン屋の屋台。来てるらしいっすよ」
「ラーメン好きです」
2人はうまいラーメン屋の屋台へむかった。
「はぁ……なんか、なんかあったかい」
「替え玉5杯目いきますよぉ! いくいく!」
仲良くラーメンを食べている時、ジウは葛城に話をし始めた。
まるで後輩を屋上に誘うときのように唐突な話の導入だった。
「まずウチさぁ、遠乃を探してるんだけどぉ」
「ウン」
「手伝ってかない?」
「えぇ……」
2人は互いの目的の為、1次的に手を組むことに決めた。
おい和三盆




