第二十三話「お前のここが、隙だったんだよ」
透明剣の効果を失い、うちの体は徐々に色を帯びていく。
切り札級の騎士王剣もあっさりと迎撃され、
また、絡め手として最も優秀な透明剣も失ってしまった。
「15本目、傲慢剣 スペルビア!」
「16本目、強欲剣 アワリティア!」
2本を精製し、キム・ラーへ突撃する。
そして、おもむろに斬りかかる。
「剣速は……65km/hです……」
キム・ラーは攻撃を簡単にかわし、2本共に一撃ずつ打ち据えて。
傲慢剣、強欲剣を折った。
その後、キム・ラーは追い足を強め、うちを倒しにかかってきた。
その猛攻を防ぐために精製剣を盾にしていく。
「17本目…暴食剣 グラ!」
本来は相手の魔術を吸収する暴食剣も無意味に折られていく。
「18本目…巳剣 スネーク…っ!」
刀身の自由度が非常に高く、変幻自在な巳剣もあっという間に折られる。
「19本目…酉剣 バードッ…!」
剣を高速回転させることによって若干飛翔できる酉剣で回避を試みたが、
やはり即座に折られ、地に落ち、両手を付いて着地した。
この瞬間に”切り札”を地面に精製した。
巧妙に。隠すように。
その後も猛攻を防ぐために剣を浪費する。
「20本目 怠惰剣 アケディア!」
キム・ラーにデバフをかける為に振るおうとするが、一瞬で折られる。
「21本目 未剣 シープ!!」
睡眠の状態異常剣。
雑魚戦では切り札級のこの剣も、キム・ラーの前にただの鉄屑と化した。
「22本目 柔らか剣 スマホ!!」
遠乃に使おうと思っていた媚薬効果のある剣。
そもそも剣じゃないかもしれない上に一瞬でゴミと化した。
「23本目 幻影剣 影!!」
ここからがうちの切り札だ。
この一撃の為に。
キム・ラーが攻撃に特化したこの一瞬の為に。
幻影剣の効果によりうちは一度だけ影の中を移動できる。
(効果を使った後は消滅する。(クールタイム:24h。))
その位置はキム・ラーの背後であり、”切り札”を設置した場所。
「24本目! 浮気宝剣 ゼウス! 」
この剣はありとあらゆるところを鞘にできる。居合い専用の剣。
そしてその刀身は騎士王剣と同等かそれ以上の強度。
「えっ何!?」
攻撃のみに集中させて、『影移動による背後奇襲 + 精製済みの剣を使用 + 居合いの抜刀術』
凡才の出来る最大コンボ。この速度でなら斬れる。
「お前のここがッ……隙だったんだよッッ!!!」
キム・ラーはすかさず嫉妬剣を盾にしようと間に挟んできたが、
騎士王剣の時とは違い、居合い斬りでの一合。
嫉妬剣を折りながらさらに命を狩ろうと剣は進んだ。
そして、キム・ラーの首を落とす。
はずだった。
首皮一枚を斬ったところあたりで、剣はとまっていた。
キム・ラーがメリケンをギリギリで防御に間に合わせていた。
そして浮気宝剣が砕け散る。
うちの「24の一つ目」は全て砕かれた。
キム・ラーは勝ち誇っていた。
それはそうだろう。完封である。
うちにもう反撃の手は無い。あとは蹂躙されるのを待つだけだ。
「よう。もう終わりか?レズの姉ちゃん」
キム・ラーがそう囁く。
うちはレズか…。そうか。遠乃。
連れて帰られたら、もう遠乃には会えないかも知れない。
それは嫌だな。
ずっと傍で見ていたい。
その為には、ここで負けられない。
あの美しい顔も。
凄まじい魔術も。
精度のいいツッコミも。
うちには全部必要なんだ。
ん?
そうか。精度だ。
神降ろしの精度をあげればまだ、戦える。
サイクロプスは 一つ目。
やることは、はっきりわかんだね。
「んああああああああああああああああああああああああああああッッ」
うちは人差し指と中指で
自らの右眼を突き刺した。
完走したい……したくない?




