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モテないと騒ぐ君が好き。  作者: かたたな


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結婚後の情報共有?(アルト視点)



 殿下は、俺たちの『遊び』で見せるような笑顔で微笑む。



「他の女性に目移りする事など勿論あり得ない。遊びであってもね。しかし、妻に話せない事…と言うのはそれだけではない」

「た、例えば?夫婦仲が悪くなる事以外でしたらお付き合いできると思うんすけど」

「…それは…」



 殿下は、この部屋に俺達が2人きりだと言うのに更に耳打ちするように答えを言う。



「更に夫婦仲を深める為の術…とかの共有さ」

「更に夫婦仲を深める?それはこんなに内密に話さなければならない事っすか?」



 不思議に殿下を見ると、難しい表情で口元を手で覆う。



「君は、私が聖女のみに身を捧げていた事を知っているだろう?子を為す教育もまた同じ事。本来なら年上の貴族夫人が指南役を務めるが、それも断ってきた。」

「え!!そうなんですか!?じゃあ殿下は…その…ピッカピカなお体なのですね!?」



 改めて殿下のお姿を見ると、その高貴さに磨きがかかった気がする。



「ピッカピカとは不本意な表現だな。だが、実際そうだ。そしてアルト。それはお前もだろう?」

「うぐっ!!な、何故そう思うんですか」

「ここまで私の側で職務に没頭し、更に独学で勉学に励む君にそんな時間と余裕があるようには見えない。君に出会ってからの10年ほどの間、ほぼ一緒に行動していたしな。」



 互いにピッカピカである。



「そこで、優秀な側近である君に早速仕事がある」



 そう言って笑う殿下の笑顔からは悪い予感しかしない。



「な、なんすか」

「君は卒業と同時にエレオノーラ嬢と結婚するだろう?私は聖女マレーナを卒業式でお披露目してから聖女としての実績を得る必要があってね。入籍までは時間が必要だ。最速で進めるつもりではあるけれどね」

「それで?」

「君たちが先にその日を迎えるだろう?だから人生の先輩としてやり方や流れを教えてほしい。」

「はあ!!!!本気で言ってるんすか!?」

「本気だとも。聖女マレーナの前で私が情けないことになり幻滅されたらどうする。王家が途絶える。」

「なんだって!?」



 殿下にも親戚はいるはずだが、自分の血筋ではなくなると言いたいのだろう。だいぶ大げさに言っているとは思うけど。



「ちょっ、ちょっと待ってください!俺が失敗して侯爵家が途絶えたらどーするんすか!!」

「それは君の責任だろう?」

「……無茶苦茶っすよぉ~」

「無茶を可能にするのが私の側近だ。では、頼んだよ。」



 殿下がピカピカの笑顔で去った後、俺は部屋のソファに深く腰掛けた。


 次期宰相の初仕事が「王家の夜」に関わる調査と報告、そして指南だなんて、前代未聞にもほどがある。



「だいたい、俺だって手探りなのに……。教えろって言われても、こっちは知識だけ溜め込んでぶっつけ本番なのにズルいっすよね…」



 独り言をこぼしながら、視線はまたしてもクローゼットの中へ向かう。



「今から娼館に行くか…それが男の嗜みとも言う風習はあるにはあるが…」



 殿下の為に、多くの聞き込み調査や実地訓練は必須だろう。しかし…



「ノーラ様以外の女性を目の前にして…俺はできるのか?」



 少し想像してみる。

 目の前に、ノーラさまではない女性と「さあ、やりましょう」となった場合。その人物とまずはスキンシップが始まるのだろう…


 手に触れて、キスをして…そしてそれ以上踏み込むことになる。



「…いや、無理っすね…」



 キスなどの濃密な接触は、相手の体液を取り込むことになる。得体のしれない相手の体液に触れる。想像しただけで俺の体が拒否する。


 たとえ相手が美人だったとしても、いや…



「…ノーラ様より、美しいと思える人物はいない…」



 これは大変な事だ。

 愛を知ってしまうと、その人物にしか興味がなくなる。学園では『モテたい』という気持ちがあったけれど、今では妻以外が近寄ってきた所で『無』だ…

 

 それに、仕事とは言え娼館へ行った事をノーラ様が悲しんだら?ジェマとのやり取りでさえズルいと拗ねるんだ…きっとそれ以上の接触は怒るだろう。むしろ、怒ってくれなければ悲しい。


 そう考えれば、娼館なんて選択肢はあり得ない。とんでもない裏切り行為だ…しかし…俺が当日突然出来るとも思えない



「仕方ない…王家の極秘任務として既婚者で現役の信頼できる騎士達に聞き込みが最善か…。…失敗談など聞けるものだろうか…そこから医学書と照らし合わせて…やるしかない」



 こんな聞き込みをすれば、きっと『王家の極秘任務とか言って、自分が知りたいだけでしょ?』と思われるのだろう。胃が痛い。殿下のエロ補佐とか裏で言われそうだ。でも知りたいのは事実。



 新たな悩みに苦しみながら、卒業式を迎える事になった。


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