自殺講座その六
狛下地区・6月30日10時20分
結局私の名演技のおかげで教師を引っ張り出し、自殺事件の情報を聞き出した。しかし、少しだけ怪しまれたような気がしなくもない。まあ出てきた教師は年を食ってたし、そのうちに忘れることだろう。
聞き出した情報は、目撃者について、自殺した生徒についてのことだった。自殺した生徒の名前は華滝紗江、高校二年生の女子生徒で周りとのトラブルもなく優等生だったという。しかし、華滝の友人によると最近、体調が悪い時や顔色が悪いことが多かったらしい。あと、華滝は羽島という教師をとても慕っていたようで、よく羽島の元へ行き話し合っていたらしいが、最近2人が話しているところを見なくなったという。
これで考えられる自殺の原因は一つしかないだろう。しかし、私はこの羽島という男を知っている。この男は女子生徒をいやらしい目で見たりしないだろう。
むしろ…いや考えないでおこう。想像したくもない。それほどにこの羽島という男は危ない。だから私はこの事件を調査している。この羽島という男を捕まえるために。
自宅・6月30日11時26分
先日買った小説はミステリーで、主人公が犯人を捕まえる時になぜか酔拳を使うという酔狂な内容で、推理というより犯人逮捕のシーンがメインになっているというおかしなものだった。
起きてから学校が休みだと知り、体調が悪いのでベッドの上で少し寝てから小説を読み始めたので、1時間ほど読んだのだろうか。そんな頃合いに下の階でインターホンが鳴る音が聞こえた。
「はい〜、どちらさま〜?」と母が玄関まで歩きながら、言うのが聞こえた。
「私はここら辺で第一狛中高校で起きた自殺事件について調査しているFBI調査官だ」
ん?聞き間違いじゃなければ今玄関前に立っている、声からして女性と思わしき訪ね人はFBIから来たというのか。なんでFBIがこんな辺境の地で起きた自殺事件に関わってくるのだろうか。まあ、百聞は一見に如かずとも言うので取り敢えず下に降りてみる。階段を降りている途中、母とFBI調査官の会話が聞こえてきた。
「透君は居るだろうか、彼に自殺を目撃した件について聞きたいことがある」FBI調査官が言う。
「居ることには居ますが、自殺を目撃したせいで今透は体調を崩しています」母が擁護してくれる。だが、僕には少しこの事件に興味がある。なので思い切って
「はい、僕が透です」と答えた。
「大丈夫なの透?本当に?」
「大丈夫だよ母さん」と安心させる。
同時にFBI調査官であるという彼女の姿をみる。これまで見たこともない美しさだった。身長は170センチちょっとあり日本人離れしたスタイルに、後頭部付近で結ばれ腰まで届きそうなブロンドの髪。顔立ちは彫刻のように完璧に完成されたものだった。こんなにも美しいものがあるのだと思えほどだった。
そんな彼女をまじまじと見たせいか顔が赤くなっていくのを感じた。
「ああ君が透君か、少し聞きたいことがある。部屋にあげてもらえないだろうか」
「え、ええいいですよ、こちらです」急にそんなことを言われたので動揺してしまい、許諾してしまったが女性を部屋にあげるなど初めてのことだった。
なんだか今日はついているのかついていないのかよくわからない日だ。




