自殺講座その九
『鈴鬼』
日本で二番目に多い苗字。全国およそ200万人はいるとされている苗字。
由来としては昔の神を祀る儀式の時に使われた神木から来ているやら、大きな木に鈴掛けたのを鈴木と言ってそれを祀っていたとか。いろいろなところから来ているそうだ。
街かどで「『鈴木』さーん」 と呼びかけてみたら2、3人は振り返ることだろう。それほどに日本には『鈴木』さんが多い。うむ、我らが『鈴木』誇らしい限りだ。
「そうです。僕の苗字は全国でおよそ200万人はいる誇り高き『鈴木』です‼︎」とドヤ顔をかます。
「あらそのまんまで良かったのね。スズキでいいのねこの漢字の読みは。なんか一度も見たこともない特殊なスズキだったもので、混乱しちゃったわ」
「ん?何ですってケリーさん。一度も見たことがない?アーハン?ケリーさぁん、いくら海外から来たと言っても、世界四大苗字に数えられる『鈴木』を知らないなんて、常識知らずもいいところですよ」(因みに世界四大苗字の残りの3つは『田中』『ジャクソン』『プーチン』だ。)
「いえ、その『鈴木』は知っているわよ。違うの、あなたの苗字は鈴『鬼』でしょう。だから分からなかったのよ。常識知らずだなんて失礼ね」
ぐぬぬ……そうである。僕の苗字は木に鈴を掛ける『鈴木』ではなく、鬼に鈴を掛ける『鈴鬼』なのだ。
なんてメルヘンチックな名前なんだ‼︎
どうして僕のご先祖様は『鈴木』じゃなくて『鈴鬼』にしたんだ。みんな『鈴木』何だからうちの家系も『鈴木』にすれば良かったのに。はぁ、どこかに嫁いで苗字を変えたい。
「ええ、そうです。認めますよ。僕の苗字とってもメルヘンでプリチーな『鈴鬼』ですよ」
「やっぱりね、とても珍しい苗字だから驚いちゃった」
はぁ、初対面の人に苗字の字面を知られるといつも惨めな気分になる。はぁ、どこかに嫁ぎたい。
6月30日12時42分
色々身の上話をしながら歩き続けていると、例の女子生徒の家と思わしき場所を見つけた。
「ここみたいね、プリチー透」
「そうみたいですね……え?今何と?」変な単語が聞こえた。
「ここみたいね、プリチー透」全く同じ文面が返ってくる。聞き間違えじゃないみたいだ。
「え〜と、そのプリチー透っていうのは誰のことでございましょうか?」
「勿論あなたのことよ、プリチー透」
「Oh‼︎オー、オーケーオーケー。ミスケリーイッツアナイスジョーク、グッドFBIジョーク」衝撃のあまりにわか英語で返してしまう。
「いいえ、冗談じゃないわ。プリチー透はあなたのあだ名よ」
何てことだ。とんでもないあだ名をつけられてしまった。歴史上でもこんなあだ名をつけられた男性はいないだろう。
あぁこれが鈴鬼家の宿命か‼︎
あぁ‼︎どこかに嫁がせてください‼︎




