サイドストーリー:引き継ぎをナメていたクズ神官の末路
「おい! どういうことだヒラリー! なぜ神々の『お伺い書(魔術申請書)』の返信がすべて【差し戻し】で返ってくるんだ!」
王宮の神託仲介省。昨日までの華やかな夜会が嘘のように、次期長官エリート神官のエリオットは、髪を振り乱してデスクに突っ伏していた。
彼の目の前に積まれているのは、真っ赤なインクで『論外』『やり直し』『無礼者』と神々の怒りの文字が殴り書きされた大量の羊皮紙の山だ。
ヒラリーを追放した翌朝、エリオットは寵愛する若い女神官を彼女の席に座らせた。
「神々の声を伝えるだけの簡単な仕事だ、適当にやっておけ」と。
だが、現実は残酷だった。
午前10時。雷の神から『退屈だから今すぐ雷を落とさせろ』という神託が届く。
新しい担当の女神官は、何も考えずに「分かりました、どうぞ!」と承認の返信を送った。
それが大不敬の始まりだった。
順番を飛ばされた雨の神が大激怒し、王宮の真上にだけ局地的な超大雨を降らせたのだ。慌てたエリオットが「雨の神様、どうかお怒りを静めてください!」と手紙を送るも、今度は『私の名前のスペルが間違っている! 処刑するぞ!』とさらに火に油を注ぐ結果に。
「エ、エリオット様ぁ……神々の【感情スケジュール】の順序がバグって、魔術省の【魔力炉】が過負荷で爆発寸前です……うぅ、私もう怖くて辞めたいですぅ!」
「バ、バカな! ヒラリーのような無能な女が、こんな複雑なタスクをこなしていたというのか!?」
エリオットは血眼になってヒラリーのデスクの引き出しをあさる。
しかし、そこにあったのは一枚の羊皮紙だけ。
そこには、彼女の綺麗な文字でこう書かれていた。
【大変お世話になりました。本業務に関するノウハウ・神々のNGワード・好みの文体・緊急時のリスケ(順序調整)対応手順は、すべて私の脳内にのみ保存されております。引き継ぎ書類の作成依頼は『定時(夜会)』前に締め切られましたので、今後の仕様変更・クレーム対応は一切受け付けられません。お体に気をつけて頑張ってください(にっこり)】
「あの女ァァァァハハハハ!!」
エリオットの絶叫が響き渡るのと同時に、ドガァァァン!!と王宮の時計塔に神々の怒りの雷が直撃した。
無能なエリートたちが、自分たちの「手配ミス」と「コピペ仕事」のツケを払わされ、初日から完全にデスクワークが大炎上した瞬間だった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
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