6話『探求と制約と世界の秘密』
【本作の表記】
名前「セリフ」 →登場人物の会話
???「セリフ」 →正体不明の人物の会話
「セリフ」 →主人公の会話
6話『探究と制約と世界の秘密』
キチガイマン「君、外から来た人でしょ」
一瞬、本当に時が止まった様な気がした
日が沈み、辺りが暗くなり始めている。
「え」
キチガイマン「あはw何だよその顔w別にそんな珍しくもねぇよ!あ、いや珍しいは珍しいか」
「…知ってるんですか?」
もしかして同じ転生者だったのか?!
あの力も…もしかしてチート付与的な…!
だとすればマヤさんのことも…
あ、いや…冷静になれ…
アイリスのパターンもあり得るんだ…どっちだ?
キチガイマン「流石に無知すぎるもん。君」
キチガイマン「まぁ、こんな目立つ仕事してっと、嫌でも人の話は耳に付くからなぁ…特にゆきななんて、噂話大好きだし」
アイリスパターン…か
キチガイマン「君はもっと、謎って奴に強欲になった方がいいぜ」
「…?」
どういう意味だろう?
キチガイマンが懐から本を取り出し、こちらに手渡す。それはさっき俺が見て見ぬふりをした
「!この本って!」
強欲になれって…そういう意味か。
確かにこの人なら軍の目なんか気にせず
遠慮なく拾ってしまいそうだ。
キチガイマン「玉座の裏で拾った。この本を最初に見つけたのが君で良かったよ。
もし軍に見付かってたら俺でも回収できなかったしな」
「えっ、でも何で俺に」
キチガイマン「君は、この本の正体。なんだと思う?」
…俺の質問は無視か!……嫌でも…確かにそうだ。
ヒントになる可能性は考慮していたが、中身までは
あまり想像していなかったな…
あの洞窟で本…ってことはやっぱり
「……誰かの遺品…ですか?」
キチガイマン「あぁ、まぁ遺品と言うか…遺書だな。」
「遺書?…亡くなった女性のやつですかね?」
キチガイマン「あの状況で書けるか?俺が思うに、これは例の王ゴブリンの遺書だ」
「あーなるほど………え?」
「書けるんですか?!」
……いや、しかしゴブリンの王は言葉を扱い
明らかに他と違う知性を見せていた…
奴なら…ありえるのか?
キチガイマン「あぁ、書ける。でもまぁ読めないが」
「…?字が汚すぎるとかですか」
キチガイマン「いいや、字は読めそうなくらいには綺麗だよ」
「え、じゃあ」
綺麗だけど読めない?……
もしかして現世側の言語なのか?
キチガイマン「…古代語だよ」
「?!」
キチガイマン「ずっと生きてきたのか、たまたま伝承されてたのか、少なくとも奴にはこれを書くだけの知能があるんだ。」
「…昔人間から奪った…とかは」
キチガイマン「正直そっちの方が可能性は高いよ。
でも、捨てきれない可能性もある」
キチガイマン「これはまぁ、読書中の独り言何だがな、俺はゴブリンの発生経緯に秘密がある気がするんだ」
「?」
キチガイマン「俺だって学者じゃないしこれ以上の事は仮説すら出せないが、何かと縁があって軍の資料庫やらを漁る機会があってな、そこで偶然大昔の記事を見たんだが」
「その内容って」
キチガイマン「それは今の魔王城のあるとされる町のー」
???「ようやく見つけましたよ!!!!」
キチガイマンの言葉を塞ぐかの様に
遠くから誰かの声がする。
その人はこちらを目掛けて走ってくる。
キチガイマン「やっべっ!!アルピス君だ!!」
「え?!つ、続きは?!」
魔王城のある町だって?!…何を知ってるんだこの人は
キチガイマン「シーー!!ッ聞こえちまうだろ!軍の検閲厳しいんだから、下手なこと言うんじゃねぇ!!」
こそこそと叫ぶキチガイマンの後ろから、鎧を纏った騎士の様な人が姿を表す
アルピス「さぁ今度こそ軍に来て貰いますよ、名誉冒険者殿!」
男か女かもハッキリとしない様相、
現代で言うマッシュの様な髪型で
緑の差し色が入った大きな鎧を身に纏っている。
アルピスと呼ばれていたその騎士は、キチガイマンの腕を掴み引っ張る。
もちろん彼も抵抗し、その光景はさながら親子のようである
キチガイマン「嫌だよ!俺は自由に生きたいんだよ!」
アルピス「民間の冒険者にあんな仕事これ以上頼んだら体裁が無くなるんですよ!!強いんだから素直に人の役に立ちたいと思わないんですか?!」
キチガイマン「仕事寄越してるのそっちだからね?!断ったら家まで来たじゃん君ら!公権力の暴力じゃん!」
大の大人が騎士に対し駄々をこねる。
正直かなり恥ずかしい。
「あの~」
…知り合い…?
暗くて良く見えないけど綺麗な顔立ちをしている
…いやそれより、何かこの人キチガイマンを連れてこうとしてない?
咄嗟に、渡された本は隠したけど…これで良かったのか?
アルピスがこちらに気付き、目が合う。
アルピス「おや、これは失礼しました。私は軍所属の風の騎士アルピスです。」
キチガイマンの方にアルプスが視線をやる
アルピス「私はこのろくでもない男を軍に引き入れる為にやってきたのです。申し訳ないのですが説得を手伝って頂けませんか?」
キチガイマン「おい聞くなよ!こいつの言うことは!どうせまたヴァルキリー元帥
から色々言われたんだろ!好き勝手にしやがってこんちくしょー」
あぁ……なんか…面倒になりそうな予感…
「……俺帰っていいっすか」
アルピス「もちろん構いませんよ、ご迷惑お掛けして申し訳ありません」
キチガイマン「うぉい!まだ話が!!」
「また今度聞きますから」
軍の検閲の話を聞いた後で…魔王の話なんか
出来る気がしねぇよ…あからさまな地雷は
回避したい……キチガイマンは毎日ギルドに居る
らしいし、今無理に聞く事はないな
今日はもう十分手がかりが得られた…!
「じゃあ、そう言うことで」
本を服で隠しながら、二人から背を向けてその場を立ち去る
キチガイマン「あー!ちょっと!!俺の代わりに仕事やっといてくれ~!!引き継ぎはさっき教えた奴参照してな~!!」
ペチっとアルピスが頭を叩く
キチガイマン「いてっ」
アルピス「貴方は何自分の仕事を人に押し付けようとしてるんですか」
キチガイマン「いやぁ最近ハードワークで疲れちゃって、アルピス君のお陰かな」
・
・
・
[アイリス宅]
持ち帰った本を、家で開く
しかし…本当に知らない字だな…
言語に詳しい訳じゃないが、現世でも
見覚えがない……
アイリス「どうしたんですか?本なんて読んで」
「あーいやぁ…まぁ色々あってさ…てかアイリスこの字読める?」
唯一聞ける相手だ…何らかの手がかりが…
アイリス「あー…うーん?…分からないです。見たこともない…」
「そっか」
有名な文字とかではないのか?まぁ古代字なんて存在すら知らなくてもおかしくは無いか…
本当に不思議な本だ。びっしりといろんな事が書いてある。日記のようでもあるし…なんと無く教科書っぽい所もある。
もしかしたらマヤさんとかなら読めるのかな?
神様だし。
確か、ギルドに図書館併設されてたよな
明日一応探しに行くか、何かヒントあるかもだし。
そう言えば、キチガイマンに何か聞かれた気がするんだが、何だったかな…
・
・
・
[軍本部 元帥室]
風の騎士、アルピスが
軍の最高司令官ヴァルキリー元帥に
事後報告を行っている。
ヴァルキリーは大きな机に
資料を広げ、肘を付きながら椅子に座っている。
容姿は長い髪の女性で、今は鎧の様なものは着ておらず比較的軽装だ。身長が相当あるようで、座っているだけでも強さと女性らしさに溢れていて威厳と魅力を感じさせる。
そんなヴァルキリー元帥の前にアルピスは手を後ろに組みながら立っている。
ヴァルキリー「それで、彼は?」
アルピス「一般冒険者が帰った後にオールーリスを使われ、またしても逃げられました」
ヴァルキリー「はぁ……またか。今回は何処に居たんだ?またギルドか?」
アルピス「いえ、今回は町外れの場所で見つけました。たまたま今日から巡回ルートに入った辺りなのですが、何であんな辺境の場所に…」
ヴァルキリー「………!」
アルピス「どうかしました?」
ヴァルキリー「その一緒に居た冒険者。誰だ」
アルピス「…すみません名前を聞きそびれました」
ヴァルキリー「ほう。君にしては珍しいな、まぁ良い何か特徴は覚えていないか?」
アルピス「…確か王ゴブリンの一件で活躍した」
ヴァルキリー「…なるほど。では今後は彼の動向も探れ」
アルピス「??…了解…でもしかし何故?」
ヴァルキリー「あくまでも私の勘だ。憶測で容疑はかけたくないからね、詳細は後日話すよ」
アルピス「?はい」
ヴァルキリー(奴…何処まで漏らした?……オールーリス。厄介な能力故に敵にせず出来れば直ぐに制御下に置きたいが…状況が変わりそうだ。)
アルピス「ところで、口紅、変えたんですね。
何か良いですね元帥って感じで」
ヴァルキリー「ありがとう。君も試してみるかい?
ヴァルキリー元帥とお揃いはどうかな?」
アルピス「あ、自分そう言うの興味ないんで」
1章ゴブリン編 完
[現在公開可能な情報No6]
『オールーリス』
使用者 キチガイマン
この世の全てを操る力と言われており、物理法則を無視して
あらゆる武器や物体を自由自在に操る事ができ、あまりの
無法な強さでキチガイマンは軍から目を付けられている。
正しくチートの様な力でありながら、未だ魔王が君臨し続ける背景には
オールーリスの弱点が関係している。




