39話『原初の女神』
39話『原初の女神』
[ギルド屋上]
マヤ達が門兵を殴って、変装する一部始終を
見ていたルナとアカネは困惑していた
ルナ「え?え?!なんで?!」
アカネ「…アイリス?ってのと合流するために
町に来たんだよな?何で軍に喧嘩売ってるんだ?」
ルナ「……分からない……何かあったのかな」
アカネ「アイリスが軍にパクられたとかぁ?いや、んな訳」
ルナ「………」
ルナ(ありえる!!!…いや、むしろそれしか理由がない!
じゃなきゃ、喧嘩を売る理由が何もない!」
ルナ「…帰るよ」
アカネ「え?加勢しねぇの?」
ルナ「まずは情報共有!!30分で往復しますよ!」
アカネ「??…無理だろ。ウチでも2日かかって…」
ルナが両手を広げる
アカネ「…?」
ルナ「ハグしましょう」
アカネ「……まさか」
ギルド屋上から羽ばたく
人の目はまだ戦いの跡地に向いている
今が絶好のチャンス。
アカネがルナにしがみつき
ルナが全速力で加速する
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[軍本部内]
すんなりと…入れてしまった……
アイリスの現在地はマヤさんの魔力探知で
分かっている。
この建物の最上階。つまりは元帥室だ。
ここには例のヴァンパイア騒動でヴァルキリー元帥に連れられて来たことがあったから、問題なく辿り着くことができる。
しかしまぁ…もうこの町には居れねぇな……
マヤ「軍本部…案外人が居ませんね」
「俺達探すために街中に総動員されてるんじゃないですか?」
マヤ「ははっ…ありえるね」
[元帥室 入り口前]
元帥室の扉は前に来た時よりもよっぽど強い威圧感を感じる。
この先は今どうなっているんだろうか?アイリスは無事なのか?
もし俺たちの動きを気取られていて、入った瞬間攻撃されたらどうする?
…いいやまぁどうせ入る事にはなるんだ、最悪ばっか考えていても仕方ない
「この中に……」
マヤ「さて、ここからは少し作戦を変えましょう」
「?」
マヤ「変装魔法!!!!」
「今度は何に……」
「!!」
次にマヤさんが変装に選んだ対象は………
鎧を着た中性的な顔立ち…
アルピス?「じゃーん!!アルピスで~す」
風の騎士アルピス……!!
アルピスさんが絶対やらないであろう満面の笑みと
ギャルピースでポーズを取っている
マヤピス「いやぁ、元帥に会うなら絶対これが一番安全!!」
「…あれ」
俺の変装が解けている……
「俺これで良いのか?…マズくない?」
マヤピス「何のために君にコソコソして貰ったと思ってるのさ!」
そういえば…ここに来るまで…俺の姿を見た人は全員マヤさんが拘束してたような…
マヤピス「それに、君魔力無いからさ、変に隠す方がリスキーじゃん?」
マヤピス「もし元帥が女神だったら君の正体なんか一瞬でバレちゃうよ」
「まぁ…確かに?」
マヤピス「だからさ、行くよ!」
コンコン
[元帥室]
ヴァルキリー「入れ」
扉越しに、威厳のある声で返事が聞こえる。
この言葉の後ゆっくりと扉を開け、まずマヤから部屋に入る
マヤピス「失礼します。ヴァルキリー元帥」
ヴァルキリー「!!…アルピス!!」
マヤピス「お久しぶりですヴァルキリー元帥」
マヤが視線を横にやると
アイリスが客席に座っている
アイリス「!!アルピスさん…!」
マヤピス「アイリスさん!もう大丈夫なんですか!」
ヴァルキリー「あぁ。ようやく夢から目覚めたんだ。」
マヤピス「しかし、何故軍に?」
ヴァルキリー「…保護さ」
マヤピス「はぁ…」
ヴァルキリー「それで?アルピス。今日は何の用かな」
マヤピス「いえ、町で偶然彼と出会いまして、ヴァルキリー元帥に用があるようでしたで、お連れしました」
部屋に入る
「…」
アイリス「!!」
ヴァルキリー「ほう…これはこれは…先の戦いではどうも」
「いえ…礼を言うのはこちらの方ですよ」
ヴァルキリー元帥……!ルナさんを連れ去るために一度記憶を消している…記憶の消去は自動補正がかかる。過程は消せても結果までは消す事はできない。
ルナさんを匿った後、俺はギルドの適当なとこでやられてたフリをしてやり過ごした。ヴァルキリー元帥の認識では…公式の発表通りなら既に全滅していたギルドに駆けつけ、吸血鬼を追い詰めるが、逃げられたと言う事になっている。
ギルドでの俺とのやりとりだけが消えて結果だけがそのままなハズなんだ…
さぁ…ヴァルキリー元帥…俺の事は何処まで覚えている?!
ヴァルキリー「………」
ヴァルキリー「せっかく久しぶりに会ったんだ。
あそこの席で4人でお茶でもしないか?」
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[魔王城]
同時刻。魔王城では来たる現世帰還に向けゆきなが稽古をつけて貰っている。
単純な武術や剣術に加え、臨機応変に様々な道具を武器に出来るよう、
アルピスやグラルト、ユカリ達と交代で模擬戦闘を行なっている。
アカネ失踪の件で不安が残るが、それでも時間は待ってはくれない。
探しに出たルナを信じて今はひたすらに稽古をつける。
ゆきな「ふっ…はっ!」
アルピス「…流石に椅子を武器にする必要なくないですか」
グラルト「異世界…いや現世じゃ魔法はおろか、刃物の携帯が出来ないらしいからな。」
魔王「銃刀法があるからね。どんな石ころでさえも武器にしなくちゃならないのが現世だ」
ゆきな「だから素の戦闘スペックが必要になるって訳」
ユカリ「…あっちでどんな事が起こるかも分かりませんしね」
バンッッ
扉が勢い良く開く
グラルト「!!」
ルナ「はぁ…はぁ……」
アカネ「アバババババババババババババ」
ユカリ「!!!アカネ!!」
街から徒歩で40時間かかる距離をほんの10分足らずで飛んで来た
ルナとアカネ。慣れない事をしたせいで二人は酷く疲弊している。
グラルト「見つかったのか…しかし…なんでそんな…汗だくで…」
魔王「何かあったと見るべきじゃないかな?…急ぐべき理由が」
アルピス「ルナさん。何があったんですか?」
ルナ「…マヤさんが…軍に殴り込みを!!」
アルピス「え」
グラルト「だはははっ!!」
ゆきな「?……なんでルナさん達が町の話を?」
魔王「彼女が街まで遊びに行ったていたってところかな」
アカネ「重要な…事…ハァ…抜けてるぞ…ハァ…」
ユウカ「アカネ…?」
アカネ「…アイリスが拐われた…!……確証は無いが……」
ゆきな「!!」
魔王「………」
グラルト「なるほどな…」
アルピス「……」
魔王「ルナ」
ルナ「…?」
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[元帥室 テーブル]
元帥とアイリスが隣り合わせに座り
向き合うようにマヤ、俺が座っている
ヴァルキリーとマヤが対面…
俺とアイリスが向かい合っている
全員に配られたお茶をアイリスは手を付けていないが
ヴァルキリーはすぐに手を付けている。
俺も釣られて手を飲もうとしたが、一瞬思いとどまった。
こう言う腹の探り合いをする場で…素直に手を付けて良いのか?
毒とか…あるかもだし。
マヤはどうしてるんだと思い、マヤの方を見たら
おかわりをもらう勢いでゴクゴク飲んでいた。
杞憂だったか?
いや、もしかしたら妙に疑われないようにする為に
あえて手を付けたのかも。毒があってもマヤがどうにかしてくれるだろう。
今は俺も大人しく手をつけよう
アイリス(……空気…なんか重たい…?)
アイリス(私が眠ってる時に…何があったの?)
アイリス(わからない…分からなすぎて…変に口を開けない…)
ヴァルキリー「しかし、こうして私達が腰を据えて話すのは夢双病の対策会議をして以来だね」
「町の危機を乗り越えられたのも…ヴァルキリー元帥の活躍あっての物ですよ」
ヴァルキリー「はっは、よしてくれ…私はヴァンパイアを取り逃してしまったのだぞ?」
マヤピス「しかし、ヴァルキリー元帥が居なくては、私達は今も夢の中でした」
無難な会話…世間に公表された通りの内容……
嘘さえ付かれて無ければ元帥の記憶は俺の想像通りの状態だ…
マヤ(……さて…これで彼が危惧した要素は潰せたかな…?)
マヤ(次は…元帥その物を探る…!)
ヴァルキリー「…照れてしまうじゃないか」
マヤ(魔力量は並みの上…人間基準では多いけど女神やエルフを基準にすれば少ない)
マヤ(……元帥が女神って線は潰れたかな)
マヤ(…ただ…不思議な魔力の形をしているね…この特徴何処かで…)
アイリス「…本当に私だけが目覚めなかったんですね」
「………」
「あぁ。心配で毎日様子を見に来てたんだぞ」
アイリス「!!………暇だったんですか?」
「おい」
アイリス(…毎日私を見に来てくれてたってことは…)
アイリス「……ゆきなさんは…無事だったんですか?」
「!」
マヤピス「…!」
ヴァルキリー「……」
マズい…どう答える?!
確実に…綻びが生じる!
助けに行った…とは言えない
グラルトさん……はこっちじゃまだ行方不明扱いだ
だからと言って助けてないと言えば……
アイリスからの印象が…いや今更気にするな
……選ぶならこれしか無いだろ!!
「…アイリス…実は」
ヴァルキリー「ゆきなさんは。今軍で救出作戦を練っている所さ」
「?!」
マヤピス「私としても早く助けに行きたい物です」
ヴァルキリー「彼は、ゆきなさんを早く助けに行こうと私達を急かして居たんだけどね。魔王に拐われたとあれば、私達だって計画的に動かなくてはならない」
ヴァルキリー「だから彼には、私からアイリスの側に居てあげる様言っていたんだ」
アイリス「そう……だったんですね」
アイリス(ゆきなさん………)
「……早く助け出したいですね」
今…ヴァルキリー元帥が助け船を出したのか…?
でも…でも何故?!
まさか本当に救出作戦を…いや、俺達の真意に勘づいて…
分からない…だが分からねぇと
ヴァルキリー「そうだ。アイリスはまだ目覚めたばかりで、私達の近況をあまりよく知らないよね」
ヴァルキリー「……せっかくだ。君達皆に共有しておこう」
マヤピス「…?」
アイリス「助かります」
ヴァルキリー「アルピス。前に君が聞きたがってた話をしてあげるよ」
まるで本当に雑談でもするかのように
元帥がこの世界の根幹に迫る言葉を並べ始める…
ヴァルキリー「転生者と女神」
「!!」
マヤピス「?!」
ヴァルキリー「花鳥風月…オールーリスの正体」
アイリス「!!…?」
ヴァルキリー「そして」
ヴァルキリー「創世の力と」
ヴァルキリー「原初の女神の話を」




